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後悔ばかりの男の逆転人生  作者: れんれん


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101話 ジャックの決意―勇気を振り絞る

十二月の空気は、どこか急かすようでいて、同時に人の背中をそっと押す。

街にはクリスマスの装飾が増え、赤と金の光が夕暮れに溶け込んでいた。

(もうすぐ、今年も終わるのか……)

ジャックは歩きながら、自然と涼香の顔を思い浮かべていた。

こちらの世界で過ごす時間が増えるほど、「向こう」の存在は現実味を帯びてくる。

お正月休みには帰るつもりだ。

――それは、最初から決めていた。

涼香を連れて行くことに、問題はない。

フェンリルも、すでに彼女を正式に認めている。

向こうの世界で彼女が守られることは、保証されている。

だが。

(それでも、順番はあるよな)

日本で生まれ、日本で育った彼女には、ここに大切な人たちがいる。

涼香の両親に、何も告げないまま連れて行くことは、

どんな理由があろうと、ジャック自身が許せなかった。

「……まずは、挨拶だ」

独り言のように呟いたその言葉は、

同時に、もう一つの決意を伴っていた。

挨拶の前に、やるべきことがある。

ジャックは足を止め、コートの内ポケットに触れた。

そこにある小さなケース――

向こうの世界で採取した、淡く柔らかな輝きを持つピンクダイア。

戦いや探索の合間、

偶然のようでいて、どこか必然的に見つけた石だった。

その色を見た瞬間、理由もなく涼香の笑顔が浮かんだ。

(これを、指輪にしよう)

そう決めた時、不思議と迷いはなかった


ジャックは宝飾店から出てきたところで、コートの襟を立てた。

――思ったより、早かったな。

指輪は、十二月の早めに仕上がるという。

向こうの世界で採取した、あの淡く柔らかな光を宿すピンクダイア。

この世界の職人ですら「初めて見る色味だ」と息を呑んだ石は、余計な装飾を拒むかのように、細身のプラチナに静かに収められていた。

派手さはいらない。

涼香の指に、日常の中でそっと寄り添うものがいい。

十二月二十四日。

街が浮き足立つ夜に、彼女の隣で伝える言葉は、もう決めてある。

――逃げ場はないな。

そう思って、ジャックは小さく笑った。

その次の週。

涼香の両親への挨拶も、頭の中で何度も段取りを組み直す。

向こうの世界の話を、どこまで、どう伝えるか。

娘を預かる覚悟と、必ず守り抜くという意思。

飾り立てた言葉より、真っ直ぐに話すしかない。

そして年末。

向こうへ帰る前に、家族への土産を揃える。

この世界でしか手に入らないもの、懐かしさを感じてもらえるもの。

涼香と一緒に選ぶ時間さえ、もう愛おしい。

さらにひとつ。

今回は――創造神への贈り物も用意するつもりだった。

感謝と報告。

そして、これから始まる未来への決意表明。

「全部、ちゃんと進めよう」

ジャックは胸元で、まだ見ぬ指輪の重さを想像する。

この十二月は、ただの年末じゃない。

人生の節目として、確かに刻まれる時間になる。

静かに、しかし確実に。

計画は、ひとつずつ前へ進んでいた。

後書きという名のお願い

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