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後悔ばかりの男の逆転人生  作者: れんれん


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100話 ジャックの告白―涼香の決意

夜。

部屋の灯りは落ち着いた色で、外の喧騒は遠い。

涼香が帰ってきてから、二人は並んでソファに座っていた。

テレビはついていない。

沈黙が重いわけじゃない。ただ、言葉を選ぶ時間が流れている。

ジャックが、先に息を吸った。

「……涼香」

名前を呼ぶ声が、いつもより低い。

「今日さ」

一度、言葉が途切れる。

喉が鳴る音が、やけに大きく聞こえた。

「俺、気づいてる」

涼香は驚かない。

ただ、まっすぐ彼を見る。

「朝からずっと」

「何かを決めた顔してた」

笑って誤魔化すこともできた。

でも、ジャックはそれをしなかった。

「聞きたい気持ちと、聞く資格があるのかって気持ちが……ずっとぶつかってた」

拳を、ぎゅっと握る。

「俺はさ」

視線を落としたまま、続ける。

「涼香に“普通の幸せ”を渡せてるとは思ってない」

「危ない話も、隠してることも、全部ある」

そして、顔を上げる。

「それでも――」

声が、震えた。

「俺は、涼香を手放したくない」

空気が止まる。

「自分勝手なのは分かってる」

「巻き込みたくない気持ちも、本当だ」

「でも」

一歩、距離を詰める。

「それ以上に」

「一緒に生きたいって思ってしまった」

沈黙。

涼香は、ゆっくりと手を伸ばし、

ジャックの握りしめた拳を、そっと包んだ。

「……ジャック」

声は、静かだった。

揺れていない。

「今日、私ね」

ほんの一瞬、視線を伏せてから、また見つめる。

「一人で、考える場所に行ってきた」

詳細は言わない。

何をしたかも、何を決めたかも。

ただ。

「怖かったよ」

「あなたの話も、これからのことも」

「でもね」

涼香は、少しだけ笑う。

「私が一番怖かったのは」

一拍。

「あなたが、私を“守るために一人になること”だった」

ジャックの目が、わずかに見開かれる。

「私は、守られるだけの人じゃない」

「あなたの隣で、同じ方向を見るって、決めた」

その言葉は、もう迷いではなかった。

「世界を越えるなら、一緒に」

「留まるなら、それも一緒に」

「選択肢から、私を外さないで」

静かに、でも強く。

「それが、私の決意」

ジャックの胸の奥で、何かがほどけた。

長い間、絡まっていた罪悪感と恐怖が、ゆっくり解けていく。

「……ありがとう」

それしか言えなかった。

涼香は首を振る。

「ありがとうじゃないよ」

少し照れたように、でも真剣に。

「“これからも一緒に考えよう”って言って」

ジャックは、深く息を吸い――

「これからも、一緒に考えよう」

その瞬間、

涼香は初めて、完全に安心した顔で微笑った。

二人の間に、答えはもうあった。

まだ見えない未来も、越えるべき世界もある。

それでも。

選ぶ覚悟を、二人で共有した夜だった。

後書きという名のお願い

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