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後悔ばかりの男の逆転人生  作者: れんれん


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96話 涼香が友人にジャックのことを話す夜

夜。

部屋に戻って、シャワーを浴びたあと。

スマホが、ぽん、と震えた。

――友人からのメッセージ。

「最近どう?

なんか雰囲気変わったよね」

涼香は一瞬、画面を見つめる。

すぐに返信せず、ベッドに腰を下ろしてから、ゆっくり文字を打ち始めた。

「……実はね」

それだけ打って、少し止まる。

(言うんだ)

逃げ道は、もうない気がした。

「付き合ってる人ができた」

すぐに既読がつく。

「え!?

ちょっと待って、詳しく!!」

思わず小さく笑ってしまう。

自分でも、こんな反応を期待していたのかもしれない。

「ジャックっていう人でね」

名前を打った瞬間、

胸の奥が、ほんのりあたたかくなる。

「すごく普通の人だよ。

目立たないし、派手でもない」

そこで一度、手が止まる。

(……普通、じゃないかも)

でも、そう続けた。

「でもね、

ちゃんと話を聞いてくれるし、

何も言わなくても察してくれる人」

「一緒にいると、落ち着くの」

少し考えてから、さらに打つ。

「私、今まで

こういう感覚、なかったかもしれない」

すぐに返事が来る。

「それ、完全に本気じゃん」

涼香は、画面を見ながら息を吐く。

(……やっぱり、そう見えるよね)

「うん。

たぶん、そう」

文字にしてしまうと、

もう誤魔化せなかった。

「将来とか、

まだ何も話してないけど」

「この人となら、

一緒に生きていくの、想像できる」

送信してから、

少し胸がどきどきする。

「やば。

そんな涼香、初めて聞いた」

その言葉に、

涼香は静かに微笑む。

(……私もだよ)

スマホを伏せ、

天井を見上げる。

今日の会話。

ジャックの声。

何気ない仕草。

それらが、

自然と胸に浮かぶ。

(誰かに話したくなるってことは……)

それだけ、この想いが

本物になってきている証拠なんだろう。

涼香は、スマホを胸に抱き寄せる。

(大丈夫。

ちゃんと、選んでる)

夜は静かで、

外の音も遠い。

その中で涼香は、

初めて「恋を続けていく自分」を、

少し誇らしく思っていた。

.

友人が実際にジャックに会ってどんな人か見てみたいという

場所は、落ち着いたカフェだった。

昼下がり、人も多すぎず、少なすぎず。

涼香は少し早めに着いて、

何度かスマホを確認しながら、落ち着かない様子を見せていた。

(……緊張してる)

自分でも意外だった。

友人に恋人を紹介するなんて、今までほとんどなかったから。

「涼香!」

声をかけられて振り向くと、

友人が手を振りながら近づいてくる。

「久しぶり!

で?例の人は?」

「もうすぐ来ると思う」

その直後だった。

「お待たせしました」

落ち着いた声。

派手ではないけれど、清潔感のある服装。

視線は穏やかで、どこか安心感がある。

「初めまして。

ジャックです」

丁寧に頭を下げるその仕草を、

友人は一瞬で観察していた。

(……あ)

それが、友人の第一印象だった。

座って話し始めると、

ジャックは必要以上に前に出ることもなく、

かといって黙り込むわけでもない。

涼香の話を、ちゃんと聞く。

相槌も自然で、話を遮らない。

友人は、涼香の様子をちらりと見る。

――表情が、柔らかい。

――無意識に、ジャックのほうを向いている。

(なるほどね)

話題が一段落したところで、

友人が少し意地悪に聞く。

「で、ジャックさんは

涼香のどんなところが好きなんですか?」

一瞬、涼香が驚いた顔をする。

「ちょ、ちょっと……!」

ジャックは少し考えてから、

照れも隠さず、正直に答えた。

「……一緒にいると、落ち着くところです。

無理しなくていいって、思える」

その言葉に、

涼香は言葉を失い、少し頬を染める。

友人は、内心で深く頷いた。

(あー……これは、もうダメだ)

冗談でもなく、

軽い恋でもない。

「……うん」

友人は、コーヒーを一口飲んでから言った。

「大事にされてるね、涼香」

涼香は、少し照れながらも、

はっきりと頷いた。

「……うん」

ジャックはそのやり取りを見て、

何も言わず、ただ静かに微笑んでいた。

カフェを出たあと、

友人は涼香の耳元で小さく囁く。

「この人、逃しちゃダメなやつだよ」

涼香は、少しだけ胸を張って答えた。

「……うん。

もう、離す気ない」

その少し後ろで、

ジャックは二人の様子を見て、

何となく察したように、苦笑していた。

穏やかな午後。

何も起きない時間。

でもその中で、

三人とも、同じ結論にたどり着いていた。

――これは、本物だ。

後書きという名のお願い 面白い、こんな展開もありと思った方は 下の★マークをタップ 感想やご意見お待ちしてます

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