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第5話 1000年に一人の大賢者

ご主人様は興奮したように質問を繰り返した。


「あぁ~勿論じゃ。魔法も使えるし、体型もほっそりするじゃろうて。ところで、お主の名前は何と申す」


「申し遅れしました。ティーファンド王国、フォンティーヌ公爵家長女エリス・フォンティーヌと申します。」


さすが! ご主人様。優雅で美しく気品に満ちたカーテシーで挨拶をしてくれた。


「では、エリス・フォンティーヌよ! 天地創造の神、ネキザアニウスの名において命ずる! これよりは世の為、人の為に正しく魔法を使うのじゃ! お主の力は強大である。その力で人々を幸福にも出来るが、間違った使い方をすれば、人々を不幸にもしてしまう。そのことを忘れてはいかんぞ!」


俺は、最後に魔法の正しい使い方を教えたかった。間違った使い方は周りを恐怖に貶め不幸にする。ご主人様には悪になって欲しくはない! じいさん神様の名前を出せば一応は歯止めにはなるだろう。


「ハイ!私、エリス・フォンティーヌは、世の為、人の為に正しく魔法を使用する事を誓います!」


俺は、ご主人様の覚悟を聞き安堵した……


「それじゃ、儂の隣に立ってもらえるかのぉ」



「ハイ! 先生! これで良いですか?」


ご主人様は、俺の事を先生と呼んでくれた。たぬき冥利に尽きる。


「あぁ、それでいいぞ! あの木に人差し指を差してごらん」


「こうですか?」


ご主人様は一本だけ立っている木に向けて人差し指を差した。


「良いか?儂に続けて詠唱してみなさい」


「火の神よ 我が願い 聞き届けよ 火炎ファイヤー


小さな火の玉が気に向けて飛んで行った。木に触れると同時に火の玉は消えた。

かなり威力を押さえた結果だったが、ご主人様はどうだろうか?


「火の神よ 我が願い 聞き届けよ 火炎ファイヤー


人差し指から巨大すぎる火の玉が、木に向かって飛んで行った!


『ズズッズドォォォーン』


巨大な火の玉が木に触れた瞬間、木、その物が消滅し、木があった場所の周り一面は強烈な炎で燃え上がった。


――!? なんじゃこりゃあぁ! 何が起こったぁぁ! 火炎ファイヤーは火属性でも最弱な攻撃魔法だぞ!


俺は急ぎ水魔法で炎を消した。


ご主人様を見るとご主人様の顔は青く引き攣っていた。 ついでにレイニーさんも青くなっていた。さらに俺もおまけで青くなってしまった。その場にいた全員が白目となっていた……




「ゴホォン! ついに魔法が発動できるようになったのぉ…… しかし、しばらくは魔法は禁止じゃ。魔力の制御が出来るようになってから魔法発動の修行をするようにのぉ」


俺は褒めて伸ばすをモットーにしているが、この魔法はダメだ! 危険すぎる!



「うぅわわわわわわーん!」 


ご主人様が突然泣き出した!? ついでにレイニーさんも泣いていた。


「怖かったのぉ。安心なさい。火はもう消したからのぉ~」


ご主人様は顔を横に振り


「は、はじめて、ま、魔法がぁぁぁぁ!」


「お嬢さまぁぁぁぁ! 良かったですねぇぇぇぇ!」


二人はその場に座込み泣きながら抱きしめていた……


生まれて初めて魔法だったのだろう。二人共、どれだけ嬉しかったことか……


ご主人様が泣いている隙をついて俺はその場を離れた。さすがに変体の限界だった。

魔力回復の為、ヤモリ、イモリ、ヘビの干物を持って来て良かった!


たぬきの姿に戻り、ご主人様の元へ戻った。いきなりご主人様に抱き着かれ、


「ハルタン、聞いてよ! 私、初めて魔法使えたんだよ! これでみんなに魔法が使えないってバカにされないよぉ!」


苦しい……


「先生! どこに行かれたのですかー! まだ、お礼申し上げていませんのに……」


ご主人様とレイニーさんは俺が変体した、じいさん神様を探していたが、もう出会うことはなかった。



これ以降、ご主人様は毎日欠かさず魔力循環の練習をしている。気にしていた体型も少しずつだが改善が見られてきた。学校に戻る頃にはある程度、魔力の循環、制御は出来るようになっていたが、魔法発動の練習はしていない。


まだ、魔法が暴発する可能性があるからだ。


何よりも基本が大事なのだ! 基本を馬鹿にしてはいけない。これを疎かにする者は、いつか越えられない壁にぶつかり、その壁を超えることは出来ない。基本を大事にする者も壁にぶつかることもあるが、また基本に立ち戻り、その壁を越える事が出来るのだ!

お読みいただき誠にありがとうございます。

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