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第2話 異世界転生たぬき

歩き始めてから3日程で舗装された道を発見! この近くに人間がいるのか? 人間に見つかったら大変だ!


仮に、じいさんとばあさんに捕まってしまったら、確実にタヌキ汁にされてしまう。この場から離れなければ! 


――俺はタヌキ汁にされてた日には、折角生き返ったのに、また死に戻りじゃ話にならないので、走ってその場から離れた……


草原を走りに走りまくり、その先に緑の生物いきものを見つける。


緑の生物いきものはモゾモゾと動いているように見える。安全確保のため離れたところから様子を伺うことにした。どうやら一体しか居ない。念のため周りも見渡すが周りには仲間は居ないようだ。


緑の物体と言うよりは緑の生物(いきもの)だ。背は6歳の子供位の身長で鼻は長く、目は吊り上がり、口は横に裂け鋭い牙が生えている。耳は上に向けて尖がっていて、服装とえば腰に布を巻だけで、裸エプロンに匹敵する変質者である。


こんな生物(いきもの)を俺は見たこともない。ヤツは動物の死骸を食べていた。汚い食べ方で品位を感じない。 知能は低いようだ。 


――これが、異世界というところなのか?……


俺は、あることを考えついた。

じいさん神様が確か、魔力をLV900まで増大してくれたはず、自分の『化け学』がどこまで通用するか試したくなった。


俺は、その場に二足で立ち両腕を斜め上に広げる。右腕を時計回りに回し、左腕は逆時計回りに回して、左右交差させながら元の位置に戻す。


へ~ん()たい()!』


両腕を両腰に添える。


『トォッ!』


両腕で天に伸ばしジャンプする。どこからともなく白い煙が立ちこめる。

そして、煙が消散しそこに現れたのは……


水系日本妖怪 『河童』だった!


「さぁ、開演の時間だ!」


イギリス紳士のように立ち、最後にいつものように決めゼリフで決める。


――説明しよう!


これは俺、独自の『変体』の作法であり、ルーティーンだ! 誰にも文句は言わせない! 


白い煙はどこから? その質問の答えは…… 


『俺の放屁だ!』 


時々食べ物、腸の調子によって、白から黄色味かかった煙になることもある。


なぜ河童なのか? インスピレーションで頭に河童が浮かんだからだ!


河童の姿だけではなく、その変体した物の能力まで変体出来るのだ!


これこそが『100年に一匹の天才』と呼ばれる由縁である。


水系の妖怪ではなく、陸系の妖怪にすれば良いと思うだろうが、理性で生きる人間とは違い、俺は本能で生きる(たぬき)だ! 自分のインスピレーションはどこまでも信じる!


通常の変体時間は15分は持たない、それだけ、体力、気力、魔力が消費されるが、今回は魔力増し増しなので何分持つか楽しみだ!


そして、決めゼリフは魂のこもった、俺だけのポリシーだ! 誰にも文句は絶対に言わせない!  


以上だ!



俺は河童の姿で緑の生物いきものの後ろに近づき、後頭部を攻撃目標に絞り、張り手! 張り手! 張り手! 張り手のラッシュを繰り返した。


いきなり張られ動転していた緑のヤツも我に返り反撃してきた! 漢と漢のバトルであるが、緑のヤツがオスなのかメスなのかはわからないが、漢と漢のバトルなのだ!


河童は陸では不利に見えるが、河童には【相撲】スキルがある。張り手からの投げ技で緑のヤツを地面に叩きつけた。すぐにヤツは立ち上がったが、俺は相撲で言うところの水入りを申し出た。


ヤツは何故か、(こころよ)く水入りを快諾してくれた。そして俺は地面に土俵を描いた。ヤツとは言語が違うため俺は手振り身振りと地面に絵を描いたりして、相撲の『心』『技』『体』の何たるかを教えた。俺の相撲に対する情熱にヤツも感化され、ついには相撲マスターになった。


そして…… 異世界大草原夏場所を開幕! 参加力士 2匹!


『夢の15番勝負』の激闘が繰り広げられ、ついに、勝敗がついた!



 ――異世界大草原夏場所優勝杯を手にしたのは……



河童の姿をした俺だった。15戦8勝7敗の大激戦だった! フラフラしながらに緑のヤツに近づき手を差し出した。緑のヤツは俺の手を掴み俺は緑のヤツを引き起こしてやった。


その後は俺と緑のヤツは涙を流し、お互いの健闘を称えあい、握手し抱合った! 

これが、漢と漢の友情である。戦いが終われば、熱くうつくしい友情が爆誕するのである。


よく考えて見ると、何も悪いことをしていない、食事中の緑のヤツに背後から不意を突いて張り手! どこから見ても悪者にしか見えない…… まぁ、友情が芽生えたのでこれで良しとしよう……


緑のヤツとの別れを惜しみつつ、またの再会を約束し、寂しくも別れた。


きっと、近い将来、緑のヤツは大横綱となり、この異世界において相撲界の頂点に立つだろう!


俺はそう確信した……

お読みいただき誠にありがとうございます。

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