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プロローグ
「刻は巡り廻る」
1度目の人生で祖父にあたる人物が死の直前に残した言葉だ。
だが祖父が亡骸となっては詳しい意味を知ることができない。
そのため、流れてゆく時に身を任せながら自分自身でその意味を考えてみることにした。
そしてたどり着いた結果は、何度も同じような出会いを経て自分というものが人間という形ではなく思念として世界に記録されるのだということだった。
命も自然も空気も何もかもが、見ることのできない魂をそのままに肉体を変えて生きるという行為をしているのだと。
この結論にたどり着いたのは何度目の生だったかは定かではない、がそう実感した刻をわたしは忘れていない。
忘れてはいけないものの如く脳裏以上に魂に刻まれているのである。
そんな人生を私は今一度思い出そうと思った。