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言葉に、できない、  作者: maya.kamimuro
4/10

忘れられない(Side大翔)


大石の姿を見て、心臓が鷲掴みにされたようにぎゅっと締めつけられた。

慌てて追いかけようとした。


「待って!!」


それを遮られる。

目の前の彼女は、俺の制服の裾を掴む。


一瞬忘れてしまっていた、今の状況を思い出す。


あきらめるからと頼まれて、彼女を抱きしめてしまった俺に、罪悪感が生まれていた。


正直、俺も男だ。

震える声で、顔を真っ赤に染めながら告白されて、かわいいと思った。


でも。

それは、あの時の大石の姿にかぶっただけだ。

想いを伝えられた時の、昔の彼女の姿に、かぶっていただけ。


「ごめん。俺、君の気持ちには、応えられない。」


「好きなやつがいる。」そう伝えて、掴まれた制服をそっと離す。




泣きそうな表情で走り去った大石の姿を思い浮かべながら、昇降口へ向かう。



俺じゃだめなのは、わかる。


でも、気になってしかたない。





靴が、まだ、ある。


教室だろうか。



何を話そうとしているのか。

そんなのちっとも頭になくて、ただ、大石の教室へ向かった。



そして、見てしまった。


照明が落とされ、降り続く雨で薄暗い教室で、あいつに抱き寄せられているところを。


目を離せずに見つめていると、ふと顔をあげたあいつに睨まれた。


足が、自然と教室から離れる。


再び走って。

イライラとしたため息とともに廊下の隅に座り込む。


俺を睨みながら、あいつは。

あいつは、いとも簡単にあの柔らかそうな髪にキスしてみせた。


(なんなんだよ!)


俺を牽制なんてしなくたって、わかっているだろ。

俺は、髪に触れるどころか、緊張してまともに話もできねぇんだって。



「……りあ…」


そう、呼ぶこともできない。

愛しい名前をひとり、つぶやいた。



ここまで読んでいただきありがとうございます。

毎日投稿を目標にしていますが、明日はお休みしたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

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