スマイル0円
朝ご飯の準備ができたら、あいつから声がかかる。
俺もうとっくにに目覚めてたけど。
我が家のルールその35、朝はあいつから声がかかるまでは、たとえ目が覚めていようとも部屋から出ない。
「おとーさん、おにぃちゃん、歩くん、翔くん、渉、ご飯できたよー」
その声を合図に各部屋のドアが開く音が重なる。
ゾロゾロと階段を、降りる音が続く。
まず食卓に着いたのは、
親父、伊原 大地 で次が、三男の駈
で次かおにぃちゃんこと長男の進で俺、四男の渉で、次男の歩で、あいつこと
我が家のお姫様、未來が配膳を終えて最後に席に着く。
あいつ以外俺も含めてまだ、半分寝てるのか、食器の音以外静かな朝。
みんな、なんとなくゆらゆらと揺れているように見える。
まぁ、進と駈は昨日仕事で遅かったからまだ眠いんだろうけど、ひきもり次男歩はただの夜更かしだろう。
親父は、大男の癖に朝にめっぽう弱いだけ。
「はいっ!いただきます!」
あいつの声を合図に口々にいただきますと呟き、メシにとりかかる。
そんな様子をあいつはニコニコしてみてる。
あー身内贔屓なんだけど、こんなの思う事恥ずかしいのかもだけど、可愛いと思える。
ガキの頃からの英才教育の成果なのか?
妹にそんな風に思うのは、自分の事ながら、ちょっとまぁ、なんっていうか、引くよな。
まぁ、親父以外兄貴達、みんな目尻下がりまくり。
これでもイケメン一家って言われてるのに。
あいつがニコニコなら我が家は安泰!
たとえ、前日の仕事がどんなにキツくても。
長男と三男の顔にそう書いてあるし。
本人達が、幸せならさ、キモかろうが他人にどーこー言われる筋合いねーしな。
多分、俺ももう少ししたら仕事を始める事になると思う。
親父にそう告げられている。
でも、あいつの笑顔と作ったメシがあれば、
乗り越えて行こうって気には、させてくると思う。
思いたい。
親父だって鬼じゃねーんだし、いきなりハードな仕事は振らねーだろうし、と思いたい。
と思ってんだ。この時はまだ。