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第五話:夢となった記憶
第五話「夢となった記憶」
祈璃亜が結衣と別れた
ちょうど、その頃…
魔灯館所に
天舞璃と一人の男が話をしていた。
「天舞璃、今日も
人間の子供たちを殺したのか?」
「はい。」
「あまり人殺しはするな。
お前の罪が重くなるだけだ。」
二人しかいない静かな室内に
男の心地よい優しい声が響く。
「わかりました。
ですが…あと少し…
あと、もう少しなんです…!」
少し声が大きくなった天舞璃。
そんな天舞璃を落ち着かせるように
優しく抱き締め、頭を撫でる男。
「なら、あと少しだけだ。
だが、無理はするな…天舞璃…。」
「はい、ありがとうございます。
――――様…。」
天舞璃は、男のほうを見てそう言った。
男は、天舞璃を見つめ、無言で微笑んだ。
不安な気持ちを含ませながら…。
―果たして…
この男の正体は、一体…―
――――――――
一方、祈璃亜は…
懐かしい夢を見ていた。
現在、考えると
全てが嘘だったんじゃないか…
なんて思ってしまうくらいの
暖くて優しい夢を…。