第三話:偶然…それとも必然か…
第三話「偶然…それとも必然か…」
祈璃亜は一人、枝に座り
色んな想いを巡らせていた。
すると、誰かの声が聞こえてきた。
「おーいっ!」
祈璃亜は、声のしたほうに
すぐさま視線を向けた。
木のすぐそばには、人の影が
祈璃亜を見つめて手招きをしている。
祈璃亜は不思議に思ったが
スッと木の枝から飛び降り
影のほうを向いた。
すると、月の明かりに照らされて
女性だということがわかった。
風になびく、綺麗な紫色の髪。
そして、少しキリッとした目。
いかにも大人の女性という感じだ。
祈璃亜は少しドキッとしながらも
見つめていることしかできなかった。
「ね、ねぇ…」
少し困ったように
祈璃亜に、声をかけた女性。
祈璃亜は、少し驚きながら
「な、なんだよ?」と聞き返した。
「あのね、君…
ここの道、詳しいかしら?」
「え?…あぁ、一応…詳しいけど?」
拍子抜けしたような感じだが
詳しいということを返事すると
女性の表情が、みるみるうちに
ぱあっと明るくなっていた。