第二話:終わる生命(いのち)
第二話
「終わる生命」
「な、なぁ…天舞璃…」
祈璃亜の声が震える。
天舞璃は、知ってか知らずか
「何?」と聞き返すだけだった。
「あのさ…もう、やめとけよ。」
勇気を出して、訴えた祈璃亜。
その時、強い風が吹いた。
木々は揺れ、数枚の葉が
地面へと舞い落ちていった。
「初めてね。
祈璃亜が誰かを庇うなんて…。」
風が止み、また静寂に包まれたあと
天舞璃は口を開いて、そう呟いた。
「天舞璃…?」
祈璃亜が、不思議そうに
天舞璃の名を呼ぶと…
天舞璃は恐ろしいくらいに
優しい優しい笑みを見せ
「そんなに子供たちを…
人間たちを救いたいわけ…っ?!
…なら、救ってみなさいよっ!」
そう言い放ったあと…
天舞璃が使える、そのうちの魔法の一つ
【烈火炎風】を唱えた。
「………っ!?!?」
祈璃亜は驚いた表情で
少年少女たちの体半分が
燃えてゆくのを、ただ…
見ていることしか、できなかった。
天舞璃は、そんな祈璃亜に
「やっぱり口だけね。
祈璃亜に人間を救うことなんて
できないに決まってるのよ。
だって、祈璃亜は無力だから。」
と、冷たく言い放ち
瞬時に消えてしまった。
取り残された祈璃亜は
あとから、悔む気持ちと
無力な自分に対する怒りと
天舞璃への想いが一気に込み上げ
涙が止まらなくなっていた。
(俺は…天舞璃の言うとおり…
人間すらも救えないほど
無力な奴なのか…?
でも…本当に庇いたかったのは…)
という想いを心で抱きながら…。