第一話:集う子供たち
この詠は…
巡り続ける輪廻の詠物語―。
――――――――
天舞璃詠―テマリウタ―
――――――――
第一話
「集う子供たち」
夜…静かな暗闇と化す森に
何者かの術により操られた
何人かの少年少女が円を
描くかのように集った。
少年少女たちは見るからに
貧しそうな服を着ていて
操られているせいか
目に光が全く無い。
まるで壊れてしまった玩具のよう…。
そんな少年少女たちを
高い木の枝に、ちょこんと
座りながら、見下ろし…
不適な笑みを浮かべている者がいた。
火のように赤い髪。
そして、ぱっちりとした目。
一言で言うならば…美少女。
名は、季咲 天舞璃。
「おいおい…
お前、また操ってんのかよ;;」
と言って、はぁ…と
溜息をついた少年の名は
碧瀬 祈璃亜。
彼は、天舞璃とは正反対に
水のように青い髪。
そして、優しそうだが
どこかキリッとした目である。
こちらも一言で
言うならば…美少年。
「うるさいわね。
最近、楽しみが無いんだから
これくらい、いいじゃない。」
どこか、つまらなそうな表情と
鬱陶しそうな声で話す天舞璃。
そんな天舞璃に、また溜息をつく祈璃亜。
自分が悪いと自覚しているのか
いやはや、自覚していないのか…
天舞璃は、祈璃亜に向かって
「そんなに溜息ばっかりついてると…
現在の幸せも未来の幸せも
逃げていっちゃうわよ?」
と、嫌味のように言った。
祈璃亜は‘誰のせいだと思ってんだ…’と
思ったが、口に出すと面倒なことになると
予想したため、心の中で呟くだけにした。
「ったく。それより…
お前さ、知ってんの?」
突然、真剣な表情になり
天舞璃に聞いてみる祈璃亜。
しかし、天舞璃は興味なさげに
「何を〜?」と聞き返した。
「だから…夜、子供が消えては…
山のどこかで変死してるって噂だよ。」
祈璃亜が、さらっと言うと
天舞璃はピクッと微かに反応した。
「もう噂になってるのね…。
でも人間たちは
これを祟りだとでも思って
偽りの噂話を作るんでしょうね。」
そう言って、クスッと笑う天舞璃。
祈璃亜は、そんな天舞璃を
見て、背筋がゾクッとした。