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山門編-初国知らす王の章(6)-厄災のあと(6)

お仕置きを受けた豊城彦、豊鍬姫、活人は、次の悪戯を企みます。


 磯城の瑞籬邑みずかきむらがにわかに活気づいた。清らかな静謐が、躍動する熱気に変じた。


 邑宰むらのみこともちである石火いわほが族人に命じたのは、鳥見山に十日間で霊畤まつりのにわを整備すべし、というものだった。天孫族の磐余彦狭野姫いわれひこさのひめが挙行しようとする大祀おほのまつりは、天孫族の傘下もしくは協調姿勢にある山門諸族を集めてのものだから、参集する人間は数百人になる。それらが一堂に会する地を整備するには、磯城の族人は相当の労力を傾注しなければならないが、男どもは袖をまくり、女どもは裾をたくし上げてこの事業に躍進した。何しろ、山門東南の一隅で、饒速日にぎはやひの時代も、それ以前からも独立不羈を保っていた磯城族が、ついに山門の中核に躍り出るのだ。氏上このかみである入彦が県主あがたぬしの称号を得たときも族人は興奮したが、そのときを上回る熱情が、土をならし、巨石を掘り起こし、樹木を切り倒す力を次から次に溢れさせた。


 磯城族の活気の蚊帳の外にいたのが、豊城彦とよきひこ豊鍬姫とよすきひめ活人いくめの三人だ。彼らは母屋から独立したまどのない倉に閉じ込められ、反省を求められている。食事の差し入れはあるが、外出は許されない。父親である入彦としては、大祀が無事に終わるまでは三人を倉から出さないつもりだった。それはお仕置きではあったが、磐余彦狭野姫が磯城に現れることによって起こるであろう怪事から三人を護るための措置でもあったが、いつの時代も親心は子に伝わらないものだ。三人は何とかしてこの倉を抜け出し、磯城族発祥以来の慶事となるであろう大祀を自分の目で見ようと画策していた。


 三人といっても、活人は父の言いつけに従い、十日間おとなしく過ごすつもりだ。騒がしいのは、例によって兄と姉だ。とはいっても倉には強力な呪飾が施されているから、それを破って脱出するには、二人の呪能では圧倒的に不足している。建物全体に解除はらえの呪いがかかっているので、豊鍬姫が木片や小石に言霊の息吹を与えて、札として使役することもできない。食事の差し入れ口は、子どもの身体なら通り抜けられるが、そこは呪飾の代わりにかんぬきがかけられている。蹴破れないことはないだろうが、そうすると脱走が露見し、さらに面倒な事態を引き起こすだけだ。誰にも知られずに倉を抜け、自由を謳歌した後、次の食事の差し入れ時には神妙な面持ちで倉にいる。そういう形が、豊城彦にとっての理想だった。泥棒にも美学があるように、悪戯にも審美が必要というのが彼の主張だ。


 豊城彦は、豊鍬姫ほどの霊秀さを備えてはいない。彼の呪能は、霊的な存在を感知できるというこの時代一般の感覚として備わっている程度だ。もちろん、この後の修練や経験によって飛躍的に呪能が高まる可能性はある。ただそれは並大抵の努力で得られるものではなく、死神の息吹すら感じられる極限が必要だ。


 それほどの危険を要さず、豊城彦が生来、豊富に備えている特性が行動力と大人顔負けの洞察力だ。彼は、食事の差し入れ時に家人から聞き込んだ片言を紡ぎ合わせて、今、磯城族が置かれている状況を正確に把握した。


「つまり、こういうことだ」


 豊城彦は腕を組み、大人ぶった仕草で豊鍬姫と活人に話して聞かせた。まどのない倉の中は当然に暗がりだが、天井に埋められた呪飾が星明りのような仄かな光を降らせている。


 ひょんなことから退治することとなった木人形このひとかた土人形はにひとかたは、磯城族、なかんずくその代表者である磯城県主しきのあがたぬしである入彦に害意を持つ者が邸の庭に埋め込んだ怪士あやかしだ。七年前の厄災まがごと山門主饒速日やまとぬしにぎはやひを擁する斑鳩族を中核とした山門の祭政体制が瓦解してから、新しく山門を統合する磐余彦狭野姫いわれひこさのひめの天孫族の傘下で優位な位置を占めようと、諸族が躍起になっている。かつての登美族や春日族のような立場を望んで諸族が鞘当てをしているこの頃で、狭野姫から県主の称号を贈られた磯城族の入彦は、ねたまれるに十分な立ち位置にいる。


 そんな中、天孫族の使人の先触れが瑞籬邑にやって来た。木人形や土人形が起動したのは、その夜のことだ。先触れとなった天孫族の族人が大いに怪しいが、彼を疑うということは、何者かの害意が入彦ではなく、天孫族の使人に向かっている可能性を認めることになる。天孫族の内でも、遙か西の筑紫から中つ海の波頭を越えてきた古参の族人と、狭野姫が熊野や山門を征討する過程で配下となった新参の族人とがおり、主導権を競っている。


 さて、天孫族の使人の用向きは、山門の新しい祭政体制を天神地祇に報告し、あまねき恵みを請う神祝ぎの大祀おほのまつりを挙行するにあたり、その霊畤として磯城の鳥見山を借り受けたい、ということだ。氏上このかみである入彦は、それを快諾した。そして数百人規模が一堂に会することのできる霊畤を整備すべく、磯城族は老若男女、もっこを担ぎ、すきを振るっているというわけだ。


 磯城族は降って湧いたこの大事業を、磯城族発祥以来の慶事と捉えて張り切っているが、豊城彦が見るところ、慶事が慶事だけで終わるはずがない。磯城族を妬む者、天孫族の主導権を握ろうとする者、または野心を秘めた諸族の誰かが、必ず何事かを企んでいる。


「何を企んでいるの」


 震えながら聞いていた活人が、たまらず声を出した。彼は、みんなが仲良く暮らす世界の住人でいたいと望んでいる。誰かが、誰かを害そうとすることなど、恐ろしくて聞いていられない。


「それは知らん」


 豊城彦の返答は愛想がない。なぜなら、彼が話す物語の枢要は誰かの企みになく、それを誰が阻止するかにある。もちろん、


あれたちがそれを防ぐんだ」


 と、いうことになる。


客人まろうどは、桃枝ももえ百舌鳥もずか、暴雨はやさめか」


 空想の春景色を見ているかのような表情の豊鍬姫も、つまりは豊城彦に似た思考を持っているということだ。活人は泣きたくなってきた。猪突猛進型の庶兄まませ庶姉ももえが事を起こすときは、倉の真ん中に建っている柱にしがみついて同行を拒否するつもりの活人だ。しかし、無謀をまるめて童子の姿に仕立てたような二人を知っている活人は、頑丈に造られているはずの倉が急に心許なく思えてきた。


「この中のたちが、どうやって防ぐのさ」


 藁にすがる思いで、活人は豊城彦に無謀を悟らせようとした。


「案ずるな」


 豊城彦は胸を反らして請け負ったが、活人にはその自信満々さが案じられてならなかった。


「何も知らないんだな、活人は。この邑には、心強い仲間がもう一人いることを」


 大らかに微笑んだ豊城彦が同意を求めるように豊鍬姫を見ると、彼女も、


あい


 と、笑った。二人の笑顔は、活人には魑魅ちみ魍魎もうりょうの含み笑いのように思われた。ちなみに魑魅が山林の物怪で、魍魎が山川の物怪だが、そんなことよりも、自分が仲間に含まれているような豊城彦の口ぶりが心外だった。


 そうこうしているうちに、食事が運ばれてきた。夕食だ。団栗どんぐり麵麭パン、川魚の姿焼き、鹿肉と山菜のあつもの、水菓子として瓜やすもも土器かわらけに載っている。


 食べること以外にすることのない三人は、あっという間にそれらを平らげた。その後、家人に付き添われて、一人ずつ用を足してくる。もちろん、用足しの生理現象は三人の悪事とは関係がないので、倉に備え付けの鈴を鳴らせば、いつでも家人は来てくれる。

用足し中に、家人を欺いて逃走することは容易だが、そんなことをすれば家人に迷惑をかけるし、余計な拳骨が増えるだけだ。そこらあたりにわきまえのある豊城彦らであったが、実は十分に家人に迷惑をかけている自覚に欠けている。良くも悪くも、豊城彦と豊鍬姫、活人の悪童三人組は、入彦邸に仕える者たちに手間を嘆かれつつも、愛されていた。


 まず素直さがいい。三人はそれぞれに性格は異なるが、氏上の子女であることを鼻にかけず、家人や族人には身分の高低に関わらず、年長者は敬い、同年者には親しみ、年少者は慈しんだ。邸の雑用や族の祭礼は積極的に手伝い、習わしや故事を意欲的に学ぼうとした。天神地祇や祖霊を敬う心も篤い。そして、


「ありがとう」


 を、とても綺麗な声で言えた。その清らかさに触れることが、家人や族人にとって何よりの幸せに感じられた。


 しかしながら家人や族人にとって不可思議なのは、あの素直で愛らしい男童女童をわらべめわらべが、どうやったら毎度毎度の悪戯を考え出すのだろうか、ということだった。


「やはり、大彦様の血も、少しは混ざっているのだろう」


 家人や族人は、とりあえず大彦のせいにすることで納得した。大彦が聞けば抗議するだろうが、彼の諧謔を受け入れるおおらかさを愛されてのことだ。


 ともあれ、夕食を終えた三人は、家人が食器を片付けにきたあと、しばらく静かにしていた。


 倉の周囲に人気がなくなったのを見計らって、豊城彦は食事の差し入れ口に耳を副え、外の音を聴いた。


 家人が周囲にいないことを確信した豊城彦は、豊鍬姫にうなずいてみせた。


 すると豊鍬姫は、上衣のポケットから二枚の青葉を取り出した。用足しに行った帰り、さり気なく庭木から拝借してきた山吹の若葉だ。


 兄にかわって差し入れ口そばに座った豊鍬姫は、隙間に二枚の青葉を差し込んだ。


 外から閂がかかっているとはいえ、多少のあそびはあり、二枚の青葉をつまんだ豊鍬姫の可愛らしい指は隙間を通って外に出た。


霊響たまゆら、霊響、なれら彩なるはね持つもの、花に親しむもの」


 言霊を細々と紡ぎ出すと、二枚の青葉は体を折って羽ばたいた。


 本来生きていないものに言霊の息吹を吹き込むときは、術者の想像力が重要だ。心で描いた物象が、言霊を介して注ぎ込まれるのだ。二枚の青葉は、いささかの疑いなく、二匹の蝶のように飛び立った。とはいえ、その動きはどこかぎこちない。


 倉に呪飾を施したのは磯城族の祝人はふりだろうが、彼はなかなかの呪能者だったらしい。食事の差し入れ口の隙間は、まさに山塊の風穴で、そこから細々と流れ出した言霊の息吹は微弱で、二枚の青葉の蝶々ぶりはかなり危なっかしかった。


「あとは待とう」


 一抹の不安を陽気な声で払いのけた豊城彦は、宵闇の青紫色が染み入る差し入れ口を閉じた。


 待つと言ってもすることもないので、三人は他愛ない会話をしばらく交わしたあと、褥に寝転がり、衾を掛けて眠った。


 任務の割に十分な息吹を与えてもらえなかった気の毒な青葉の蝶は、よたよたとよろつきながら、それでも邑が背に負う山裾の森に向けて飛んで行った。


 磯城の森は、祖霊の眠る三輪山の聖地へと続いてゆく。そこら辺りはすっかり夜が垂れ込めていたが、霊山の樹木は霊気を吸い上げるからか、梢や枝葉がどことなく光を灯しているような幽明さにあった。


 青葉の蝶は、邑の土塁とその上に建つ木柵を超えるために、まだ赤みの残る空の金星を慕うように一度高く上がり、春霞の中に舞い降りて、森の幽明を頼りに、三輪山の霊域へと入っていった。


 磯城族であっても、氏上の他は高位の祝人やかんなぎしか立ち入ることを許されない禁足地には、一枚の巨石が苔むしてある。


 三輪山の祭壇のひとつ、辺津磐座へついわくらだ。そこは祖霊の降りる神座かむくらで、三輪山の深みに進めにつれ、中津磐座、奥津磐座があり、祖霊の尊位ごとに降りる座が定められている。磯城の地を拓き磯城族の始祖としてかむあがった玉手看たまてみの声を聞くには、奥津磐座を目指さなければならない。かむあがりは、神上がりとも言う。


 さて、祖霊にしか触れることの許されないはずのその辺津磐座に、黒々とした影が横たわっている。周囲も夜色の黒さにはあるが、その影の黒は、まるで輝くような艶を持っている。


 青葉の蝶は、その艶黒の影へ近づいた。


 はじめに、青葉の蝶の気配に気づいたのは、黒影に庇護されるようにその懐にいた栗鼠や兎だ。彼らは小首を起こして、のんきな寝息を立てている黒影の主に注意を促した。山のどこかで梟が鳴いている。


 黒影の主はのっそりと頭をもたげ、眠たげなあくびをしてから、舌で口の周りを一舐めした。炯々(けいけい)とした目とその中の黒々とした縦長の瞳孔に、青葉の蝶は尻込みしたが、よく見ればその目の中に夜獣の獰猛さでなく優しさが湛えられていることを認め、黒影の主の鼻先にまで近寄った。


 青葉の蝶が、主人から言付かった伝言を音のない声で伝えると、黒影の主は何度か瞬きしてからゆっくりと雄偉な身体を起こした。背伸びをすると、軽やかに磐座を降りる。そして、青葉の蝶な先導されて、黒影の主は歩きだした。勤めを果たした二枚の青葉は、やれやれとばかりにふわりと地表に降り、ただの青葉に戻った。


 夜に沈んだ地上は彩を失ったが、空には零れ落ちるほどの輝きがある。月は細く、星々のさやぎに耳を澄ませている。ひと時立ち止まって天空を見上げれば、願い事が足りないほどの光のすじが縦横に流れてゆく。


 黒影の主に、星に願いを掛ける風習はないが、夜に灯る星の美しさを見ると、とても懐かしい人との日々が思い出されて切なくなる。彼は寂しさを置き去りにするように、四つ足を躍動させて駆け出した。


 艶やかな黒影は山肌を滑り降り、初瀬川沿いの草地を黒い疾風のように走った。跳躍した黒影が、濠と土塁と木柵とを飛び越えたことに気づいた者はいなかった。


 夢を見ていた豊城彦が、物音を聞いた。それが夢の世界の音でないと知覚するや、彼は目を覚ました。妹と弟を揺り起こした豊城彦は、興奮を沈めた声で、


「いくぞ」


 と、言った。


 食事の差し入れ口の板をそっと押してみる。すると、何の抵抗もなく板は押しのけられ、春の深夜の冷気が流れ込んできた。閂が外されているということだ。豊城彦はするりと外へ出た。


 外気を解放感と共に胸いっぱいに吸い込んだ豊城彦は、まず空を見上げ、満点の星に笑顔を向けてから、視線を地上に下ろした。そこにも二つの輝きがあり、星が落ちたかとも見まがうほどだったが、すぐに獣の瞳であることが知れた。


如虎にょこ


 歓迎の声を静かに挙げた豊城彦は、輝く瞳と艶黒の主の首筋に抱きついた。閂を外してくれたのは彼だ。次いで抜け出てきた豊鍬姫が、同じように如虎に抱きついた。


 最後に出てきた活人は夜獣の姿に怯えたが、さりげなく近づいた如虎が活人の震える手に優しく鼻面を擦り付けると、恐怖心をいくらかは解いて、如虎の頭に手を載せ、そこの柔らかい獣毛を撫でた。


「大きなむじな?」


 戸惑いながら兄姉に問いかけると、豊城彦と豊鍬姫は微笑を交わした。活人が如虎を受け入れたことがうれしかった。


「何もしらないんだな、活人は。こいつは豹というんだ」


「豹!そんな獣、聞いたことがないよ。山門にそんな獣がいるなんて、聞いたことがない」


 勉強好きな活人は、五歳にして族の古老から多くの話を聞いており、山門に暮らす鳥獣の名をあらかた覚えていた。


「でも、ここにいるのだから、しかたがないじゃない」


 豊鍬姫の指摘に、活人は反論できなかった。彼はこの夜、百聞は一見に如かずという世の法則を知った。不可解さを口の中でまごつかせている弟に、豊城彦は多少の説明を与えた。


 如虎はもともと旅芸人一座に飼われていた獣だが、豊城彦たちの父の入彦と共に、七年前に山門を襲った厄災まがごとと戦った英雄たけるの一人だ。厄災を起こした剋軸香果実ときじくのかぐのこのみの妖力を封じるために犠牲となった黒衣の少女、豊の親友た。如虎はそういう経緯から族人の畏敬を受けており、入彦も豊を偲んで、如虎に三輪山の霊域に暮らす自由を認めた。族の古老が如虎のことを活人にまだ教えていなかったのは、如虎を神獣と崇め、他の鳥獣と一緒にしなかったからだろう。


「如虎は山門の生まれではなく、西の海の果ての地の大真から来たのかもしれない、と父上は言っていた」


 如虎の出生のことは、彼が飼われていた旅芸人一座の親方である輪熊が知っているだろうが、輪熊も厄災から山門を護るために犠牲になった英雄の一人だ。もっとも父の話によれば、輪熊は地祇くにつかみ大山祇おおやまつみの化身であったそうだから、現世うつしよの肉体の力は失っても、大気の中にその魂は存在しているはずであり、いつかまた会えるかもしれないとのことだった。


「じゃあ、そのときに如虎のことを聞けばいいね」


 知識欲の旺盛な活人は、輪熊にいつか会えることを楽しみに思った。


「おまえ、地祇に出会ったなら、他に聞くことがあるだろう」


 豊城彦は苦笑したが、弟の無邪気さを愛している。


 三人の会話を静かに聞いていた如虎は、ときおり、輝く瞳をぱちくりさせていた。活人は、もうこの獣を好きになっていた。


おぼろなる 月も望月 いつぞやと」


 豊鍬姫の独り言で、豊城彦はのんびりしてはいられないことを思い出した。


「こうしてはいられない。大祀で、きっと誰かが悪いことを企むぞ」


 豊城彦は駆け出した。向かう先は、磯城族が霊畤まつりのにわを整備した鳥見山だ。


 神祝かみほぎの儀式は、日の出と共に行われる。そうであれば、悪事を企む者は、その前から鳥見山の樹陰に隠れているはずだ。


 豊鍬姫も走り出し、如虎も跳躍する。


「どうして僕たちが悪者を懲らしめないとならないんだろう」


 怪訝に思いながらも、活人は二人と一匹の後を追った。


 神祝ぎの大祀は、この朝に執り行われる。

心強い四人目の仲間と合流した豊城彦たちは、勇躍して悪者退治に向かいます。



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