第14話 切り裂きジャック(3)
……コレで、夜になってしまって、何もなければこれでおしまい。
とばかり思っていたのだけれど、残念ながら現実は違っていた。
◇◇◇
自室にて。
「……何だか、三年ぐらいの月日が経過してしまっているような?」
きっと気のせいだと思いたいし、そんなウラシマ効果みたいなことが起きるはずもない……ウラシマ効果の意味って、これで合っていたっけ?
「……それにしても、これからどうすれば良いのやら」
切り裂きジャック。
都市伝説。
口伝や言い伝えで知れ渡る存在である。仮にそれが刑部市がその話の発端であったとしても、人間の行動範囲を嘗めてはいけない。それがあっという間に隣の町へ広がってしまい、気付けば県境をまたいで全国規模になってしまうケースだってあるんだ。
例えば、昔インターネットがなかった頃に、同じようなゲームの裏技が広まっていたことだってあるだろう? それも同じケースだ。同一時期に複数地域でそれを広めている誰かが居たのか——とまた、都市伝説が生まれてしまいそうだけれど、答えは簡単で、親の転勤等で転校してしまった生徒が広めていたことが原因だったりする。そりゃあそうだよ。都市伝説は蓋を開ければそういう話が多いのだから。
都市伝説は都市伝説であり、それが実現することは有り得ない。
有り得ない——はずなのだけれど。
「……何というか、あのカミサマとやらが出てきてから、本当かどうかわからなくなっちまうんだよなあ」
こないだあった出来事。
確か、上位世界が管理している無数の世界が、俺達のような人間が生きている世界が、沢山あるんだってこと。
正直実物を見たことがないから何とも言えないけれど、生命の危機に瀕したことだってあるし、あんまり嘘とも想えないんだよな。
「そういや、ガラムドが言っていたよな……」
——天使が謀反を起こしている。
——だから、もう一度ラブコメを演じて欲しい。
……いや、冷静に考えて一文目と二文目の間に『だから』という接続詞は不適格じゃないかな?
そうは思うけれど、それを言ったところで、って感じなんだろうな。
翻って。
「天使……か」
そんな存在が、下界に降りてくることはあるのか?
仮にこの世界をどうにかしようとしているとして——その理由は何なのか?
「わからねえ……」
全くもって、わからない。
と言うか、夜間に——正確には寝る前に——こんなことを考えること自体が間違いだった。
「寝よう。さっさと寝よう……」
明日は旧刑部山トンネルへのハイキングだ。
はっきり言って、そう簡単に終わる道のりではない。
そう決意を固めて——俺は眠りに就いた。




