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第10話 自由研究のテーマ(1)

 自由研究。それは夏休みの宿題の中で一番面倒臭い宿題だ。

 大方自己啓発の意味もあって、自分でテーマを見つけて研究することが自主性に繋がるなどと思っているのかもしれないが、それは全力で否定しておく。

 はっきり言って、自由研究など結局はありきたりなテーマで落ち着くから、何の意味もないのだ――と。


「そんなことをしている暇があるなら、私達の自由研究のテーマ探しを手伝え!」


 嘉神シスターズの姉、ひかりに言われて僕は我に返る。

 ここは学校の図書館だ。別に夏休みに登校している勤勉な学生――という訳ではなく、夏休みの宿題のテーマを探す為に作戦会議をしているのだった。

 作戦会議などと大層らしいことを言っているけれど、要するに楽するにはどうすれば良いかという話。

 学生って、そういうことに関しては頭の回転が速いからな……。


「お姉ちゃん。もっと真剣にテーマを探して。それと、ここは図書室だから静かに」


 そう言ったのは嘉神シスターズの妹、のぞみ。

 ひかりとのぞみ、というと新幹線が思い浮かぶけれど、確か嘉神シスターズの親は鉄道好きだったかな? 三人目が居たら名前はこだまになっていたのかな?


「とはいえ……だ」


 今目の前にある問題を解決せねばなるまい。

 例年どんな宿題を出していたかな――などと思いを巡らせてみると、そういえば去年は近所の神社についてレポートを書いたような気がする。近所の神社は、地方都市のくせに由緒正しい神社として知られていて、御朱印巡りが流行る前からもまあまあ人はやって来ていた。とはいえ、今はあんまり人も居ないんだけれどね。寂れちゃったし。


「……レポート系が一番楽そうよね。今更朝顔の観察日記なんて子供っぽいし」


 それが認められるのは小学生までじゃないかな?


「……で、どうしてあなたまで居る訳?」


 ぼくの隣にちょこんと座っているのはエルザさんだった。

 目立つんだよな、黒ギャル。うちの学校には先ず有り得ない属性だから。


「夏休みも暇ですからねえ。ちょっと時間を潰そうと図書館に入ったら、居たので」


 居たので……って。

 まあ、確かにそんな素振りを見せていたような気もするけれど。


「自由研究をどうするか、って話をしたいのであって。私達は別にあなたのことに興味はないのだけれど?」


 うわー、明らかに敵意を見せているよ、ひかりが。

 ちょっと怖いな。戸締まりしとこ。


「自由研究なら、私も是非参加させて欲しいんだけれどねー。ほら、だってこの刑部にやって来たばかりで何も知らないというか……。ほら、この町って七不思議とかないの? 都市伝説とでも言うんだったかな。どちらでも良いと思うんだけれどー」


 都市伝説、七不思議。

 そんな都合の良いものなどある訳が……。


「……あ」


 と、僕達が考えたところでのぞみが持って来ていた一冊のタイトルに目線が行った。

 その本のタイトルはこういう名前だった。

 月刊パンゲア、総力特集『地方都市の都市伝説』。

 ……おいおい、そんな都合の良い展開って有り得るのか? まさか上からガラムドが何か指示しているんじゃないだろうな。


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