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ヴェルディア領

目が覚めるとそこは、大精樹のふもとだった。

辺りの精霊の気配が心地よく、戻れたんだなと実感する。


大精樹があるのは、以前の転移で住んでいた大国ルキア王国でも端の方にあるヴェルディア領。



このヴェルディア領という場所は領地のほとんどが森林で、魔物や精霊が多く住んでいる。

他の国や海とも面しており、ルキア王国の砦のような領地だ。


砦というだけあってヴェルディア領は王国の騎士団よりも最強と言われる軍隊があり、そして数々の冒険者が集う街だ。


魔物も他の地域より多く、強い。

討伐依頼も群を抜いて多いので、冒険者達はお金も稼ぎやすいし、成長もできる。


ヴェルディア領に一度も来たことない冒険者は、まだ半人前らしい。

ヴェルディア領で討伐依頼を成功させてからが冒険者のスタート、という言葉があるぐらいだ。



魔法が得意の毒舌だった友人から言わせると、むさ苦しい脳筋の街らしいが…


しかし、私はこのヴェルディア領の人間性も景色も、全て大好きだったのだ。

裏表のない明るい人達に、たくさんの自然。

大精樹が、この地にあった為何度も訪れたことがある。



この領は地名と同じく、ヴェルディア辺境伯が収めている。

辺境伯は、ガタイのいい男性で国内最強と謳われている。ガハハハハと豪快に笑う姿は貴族と言うより冒険者のようだった。

王国の騎士団長とも学園時代からの親友のようで、周りから脳筋コンビとバカにされていた。

有事の際は領主自ら最前線で戦うらしい…死んだらどうするんだ。



そしてヴェルディア辺境伯には三人の子供がいた。

長男がライア・ヴェルディア

次男がドルア・ヴェルディア。


そして妹のフレア・ヴェルディア。


3年前、私の依代になってくれた女の子である。

この世界に魔力が膨大でも耐えられる者は数多くはなく、代々魔力が多く体も人一倍強いヴェルディア家に白羽の矢がたったらしい。


2年間、フレアの体で過ごした私は、フレアのことをもう他人だとは思えない。

フレアは美しく可愛い少女だった。鏡を見た瞬間、天使かと思うほどに。

白い肌に金髪の髪。グリーンの瞳はまるでフランス人形のようで、聖女に相応しい見た目だった。

真っ黒な黒髪に、真っ黒な目をしている日本人の私とは正反対で、転移してしばらくはまるでシンデレラ気分だったものだ。



もう一度自分の体で転移できると聞いて、はじめは嬉しさしかなかったが、この1年間で色々な心境の変化があった。


まずフレアの姿で出会った人達に再会したら、ガッカリされるだろうな、ということだ。


魔力は変わらないとはいえ、天使のような金髪聖女が、真っ黒な髪の地味な顔の女になっているのだから、当然だろう。



転移する少し前に2人の神に相談すると、リンは可愛い自覚が足りないとか、もっと危機感を持てやら、笑顔は凶器だから気をつけろやら色々言われたが、本当に優しいと思う。

私があまりにも自分の見た目に自信が無いから、励ましてくれたんだろう。



正直、皆に会いたいようで会いたくない。

なので、今回の転移はとりあえず始めは完全に別人として過ごしていくことに決めたのだ。

向こうから気付いてくれるなら、それはそれでいいのだが…


『私だよ!リンだよ!聖女だよ!』


なんて言ったらきっと頭のおかしい女と思われるに違いない。

最悪、不敬罪で牢獄に入れられるかもしれない…。


信じてもらえなかったら、不敬罪。

信じてもらえたとしても、ガッカリ。


どちらに転んでも悲しい結末だ。

もちろん、いつかは打ち明けたいとは思うけど…



だが、今回の転移ではフレアと直接話せる事ができるかもしれないと思うと嬉しい。

身分も何もない私が再会出来る保証もないのだが、もし会うことがあれば今回は友達になりたいなと思ってる。



そして、ヴェルディア家長男のライアも面倒見が良くて、本当にお兄ちゃんのようだった。

辺境伯から受け継いだ大きな体に、得意の剣。

学園に通っていた頃、護衛役としていつも傍に居てくれた。

何度も迷惑をかけてしまったけど、呆れながらも笑ってくれる姿が大好きだった。



次男のドルアは父と兄とは全然似ていなくて、常に冷静沈着で頭がよかった。

魔法が得意で、魔法の基礎を教わったのはドルアからだ。

1度私が新しい火の魔法を実験している時に、髪の毛を燃やしてしまった時以外は、取り乱す姿を見た事がない。

あとから死ぬほど怒られたのは懐かしい思い出だ。



私はこの大好きなヴェルディア領で、新しい人生をスタートさせようと、決心したのだ。

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