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プロローグ

その儀式は、神殿で行われた。



神官と巫女が円になって膝をつき、神への祝詞を捧げている。真ん中には見た目麗しい金髪の少女が立っていた。

その周りを王族、貴族、騎士など国の重要人物が取り囲んでいる。


少女の体がボウッと光だした。

どうやら、帰還の儀は成功したようだ。



「みんな、今までありがとう…この世界が、無事でよかった」



二年間、とてもお世話になった人物達の顔を見回して、最後のお礼を述べる。


本当は寂しくて寂しくて堪らない。

日本に帰りたくない。

その気持ちを押し殺して、微笑む。



そして意識が飛びそうになる瞬間、王子が駆け寄ってギュッと抱き締めてきた。



「ーーーーー」



何か耳元で囁かれた気がするが、その前に意識は遠のいていった。


そして、私の目の前は真っ暗になったーー。





□□□□□□□□□□□□□□□□




目を開けると、真っ白な世界にいた。

まず胸下まで伸びる自分の髪の毛を見ると黒い。日本人の姿に戻ったことが分かる。



ここの場所には1度来たことがある。

異世界に飛ばされる前にやってきた場所だ。



予想通り、金髪に青い目をしたボンキュッボンの美人と、胸元まである白髭を生やした優しそうなお爺さんが立っている。



「ワシの世界の為にありがとうな、リン」



私が目を覚ましたことに気付いて杖を持ったお爺さんは優しく声をかけてきた。

ザ・魔法使いのお爺さんといったスタイルだ。

そう、このお爺さんは先程まで私が飛ばされていた世界の神様ドゥーチェだ。



「無事に帰ることが出来て安心したわ。リンは無茶ばかりするんだもの」



フフフ笑いながら話す美人のお姉さんは少しラフな女騎士のような格好で、腰には剣をしている。

この女神様は地球の神様、アースデイ。



ああ、ついに地球に帰るんだーー。

そう思ったら涙が溢れ出す。

嬉しくてじゃない、寂しくて、だ。



「ど、どうしたんじゃ?」



「ご、ごめんね、私たちが振り回したものね。何かお礼できることがあったら言ってね」



突然私が泣くものだから2人はオロオロと動揺し出す。



「ご、ごめんなさい…私は、地球の神様には悪いんですが、帰りたくないんです…っ」



涙を拭いながら必死に思いを伝える。叶うことは無いかもしれないが、これが最後のチャンスなのだ。



2人は目を見開き驚いた様子だ。その後、お互いに目を合わせ、頷く。



「その可能性も考えておった…ワシの世界にいるリンは、本当に楽しそうだったからの」



「だから、リンちゃんがあちらの世界に戻りたいって言った場合の解決策も考えていたのよ。」



今度は私が驚いた。

まさか、小娘1人のワガママを聞き入れてくれると思わなかった。



「リンはの、ワシの世界を救ってくれた恩人なんじゃ。巻き込むだけ巻き込んで、リンの願いも叶えてあげられないなど、神として情けないだろう。」



「2年前からこうなる場合も考えていたのよ。今度はリンちゃんの生身の体で、あちらの世界に転移してあげるわ。」



ニッコリと微笑む2人の神様。


こんなにあっさりと願いを聞き入れてもらえるなんて、信じられない…。



喜びの言葉を口にしようとするが、それを止めるようにドゥーチェが少し気まずそうに言葉を続けた。



「しかし、な。何しろリンの魔力は大きすぎるんじゃ。このまま転移すると一気に魔力が溢れ出し、地球人の体には耐えられん。あちらの世界に移った時点で魔力は目覚めるものだからの。身体ごと転移してしまえばそれは抑えられんのじゃよ。」




「そうなのよ、そして地球で魔力を持つことは不可能なのよ。だからこの場所で、魔力を体に慣らすため、1年間待ってもらわないといけないの…。私たちと一緒に1年間過ごすのは嫌かしら…?私達は各々の世界をここで見守りながら過ごせるから問題ないのだけれど…」



ここで!?と思ったものの、私は優しい2人の神々のことが好きなので、抵抗はなかった。



私は、チラチラと様子を伺う神様方に向かって満面の笑みで微笑んだ。



もう戻れないと思っていた世界に1年で戻してくれるなら、1年なんて可愛いものだ。



「是非!お願いします!!1年間、剣と魔法を教えて貰えると嬉しいです!」

初投稿です。

よろしくお願いしますm(*_ _)m

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