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20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
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日記21

ドロップアウト

私はぎっくり腰の回復の直後、ネットによる経済活動と愚連隊での報酬を使い、ついに実家から引っ越した。


初めて親元を離れたのだ。


母が死んでから奇行と、私への嫌がらせと、信じられない暴言を繰り返す父。


「この豚が!死ね!」と、家にお金を入れずに私を罵る、父にそっくりになった下の弟。


何を考えているのか分からない上の弟。


ポルターガイストと呼ばれる、家具が動く家にうんざりして、ネットの協力者に引越しの仕方や、ライフラインの契約の仕方を教えてもらい、自信をつけて私は秘密裏に引越しをした。



最後の荷物である私が家を去る日。

引越しをする最後の日、何を考えているか分からない上の弟に「家を出て行く。二度と帰らない。絶対に探すな。親父と下の弟にも言っておけ。」と伝えると、上の弟は寂しそうに「分かった。」と言った。



今考えるとかなり無謀な引越しだったと思う。


ネットの協力者の1人に洗濯機を貰い、愚連隊時代の先輩に、車を処分してもらったり、保証人になって貰ったりと、たくさんの人たちに知識や物、保証人として名前まで貸してもらった。


小物作りだけで生きて行ける程、この世界は優しい世界では無かった。


しかし私は小物作りに没頭し、ネットで客と取引を続けていた。

だがいつしか腰のダメージにより、座っていられる時間が、どんどん短くなっていった。


溜まる予約、進まない作業、痛む首と腰と右脚、貯金は底を尽き、そして冬になった。


真冬の部屋の寒さは、耐えられるものでは無かった。


手が凍えて、作業が進まない。

灯油が買えない。

家賃が払えない。

食い物は食パンだけで、どんどん私は痩せて行った。


年が明けて、収入を証明するために税務署へ行った。

年収36万円。


それをネットの人たちに、小物作りの中継で伝えると、過去に取引をしていた客の1人が、個別で通話を求めて来た。


「あんたもう限界だ。役所へ行け。そこに生活保護課という窓口がある。あんたが言ってる事が本当だったら、生活保護は通るだろう。ホームレスになって死ぬつもりなら、ダメ元で行け。」

そう彼に言われた。


私は次の日、吹雪が吹く中、徒歩で役所へ行き、生活保護課に助けを求めた。


数日の間を置かず、審査が通り、保護費が支給され、灯油が買えて、家賃もきっちり払えて、人並みの生活が出来る基盤が出来た。


私は再就職へ向けて、病院へ先ず通い、身体を治す事が最優先と判断されて、近所の整形外科に通う事になった。


「私は生きる事を許された。」整形外科の帰り道、当時はそう思った。

2017.7.29 土曜日 平成29年

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