日記19
神様の数え方
彼女から送られてきたゲームは「ファーストパーソンシューティングゲーム(以下、FPS)」だった。
戦争物のゲームで、マルチプレイで、オンラインの対戦が出来るFPSゲームだった。
世界中にプレイヤーが居て、外国人とも銃の撃ち合いで勝負するゲームだった。
私は付き合いとは言え、殺されると非常にムカついてストレスになるゲームだった。
私は初めてのこういったゲームで、殺されてばかりで、イライラしていたが、彼女はとても楽しそうだった。
彼女は私とFPSのチームを組んで戦う事を望んだ。
そんな彼女は、とても撃ち合いに強く、今から考えると、生き急いでいるように思えた。
「た…たのしい。た…たくさん…殺せた…よ。」
彼女は何時間でもやれるよと私に伝えたが、私はストレスでちょっと休憩しようと、お喋りでもしないかと提案した。
「神様の数え方は知ってる…?」
不意に彼女が聞いてきた。
「え?1人2人…1つ2つ…ごめん、分からないや。」
私がそう答えると、彼女はぐふふと笑って、教えてくれた。
「神様はね、チュウって読むんだよ。柱と書いてチュウって読むんだよ。」
私は宗教に関しては、全く分からなくて、彼女の言葉に驚いた。
「私はね…いつか柱になるんだよ。でもまだ生きてる。だからね、…まだ生きてるのに、手を合わされるのが嫌なんだ…」
彼女は普段の現実で、神様扱いされている事をカミングアウトした。
「拝み屋なのか?」
私はかなり失礼な事を、というか自覚が無かったのだが、彼女がその発言で怒った事で、発言が失礼だった事を知った。
「私も変なものが見えるんだよ…。多分あなたが見えている物と…同じものだと思う。…配信に…画像に見えたのは…あなたのお母さん?」
彼女は私と同じように、見えると言う。
しかし、身体が弱く、ネットゲームと家の雑用しかしていないとも言っていた。
「ああ~…仕事したくないでござる…」
彼女はお花を摘みに行くと席を外した。
私は疑問に思った。
多くのやりとりで、名前を絶対に明かさない彼女が、何者なのかを知りたくなった。
多くのお金を持ち、FPSネトゲと家の雑用をする、彼女のプライベートが知りたくなった。
その事を彼女に聞いてみた。
「住所を検索したら分かるよ…。そして私の名を知るという事は、…私と縁が出来て、あなたの運命を狂わせるかもしれない。それでもいいなら…どうぞご勝手に。」
彼女はそう言うとログアウトしていった。
私は彼女がいつも送って欲しい、という指定していた住所をネットで検索してみた。
なるほど、彼女は神様で、そしていつか神様になる人なのだなと私は納得した。
彼女は「日本国の象徴」に関係がある人だった。
私はある日、彼女に聞いてみた。
「私は罪には罰が必要だと思う。では罰に必要なのは何なのだろうか。神様かなあ」
彼女は少し考えてから答えた。
「…罰に必要なのは赦しだよ。」
彼女は優しく答えてくれた。
私と遊んでいた彼女は、それからしばらくしてから連絡が途切れた。
大量喀血して倒れ、そのまま神様になってしまったと聞いた。
彼女との問答が頭を過ぎる。
「罪には罰を、罰には赦しを。」
私はもっと、彼女に対して優しく出来なかったのかと、今も後悔している。
2017.7.29 土曜日 平成29年




