日記18
電脳遊戯
「作ってもらいたい物がある。」
ネットの人間関係の人づてで、ある人が私にコンタクトを取って来た。
オーダーメイドで作っていたので、その人の希望する仕様を聞くために、私はその人と会話する事になった。
「ぐふふ…初めまして…」
老婆のような声の女性だった。
私は「気持ち悪い客に当たっちまったなあ」と思いながら、彼女の話を聞いてみた。
「は…初めて見た時から…つ…作って貰いたいと…」
私は何か、彼女と関わってはいけないような、そんな予感がした。
直勘というものを私は、結構信じるタイプで、彼女の言動は私の勘に、ビンビンと来るものがあった。
彼女はパソコンの通話ツールを使い、小物に入れて欲しいと言う画像を送ってきた。
それは可愛らしいエンブレムだった。
私は疑問に思った。
老婆のようなこの女性の年齢は、一体いくつなのだろうかと。
「失礼かと思いますが、御歳はいくつですか?」
思えばかなり失礼な話だ。
老婆と言えど、「可愛らしい物が好き」という人も居るだろう。
「24です…も…もしかして…声ですか?」
年齢の若さの驚きと共に、私の疑問の答え、それを彼女は言い当てたのだった。
彼女は自分の声を気にしていた。
そして私の考えている事を、全て先回りして言い当てた。
彼女はそれから私の良いお客さん、かなりの太客になった。
私の仕事に対する報酬も、私の希望額以上のお金が振り込まれていた。
「多すぎるよ」と伝えたのだが、決まっていつも「心付けです」「早く家から出られるように」と言うばかりだった。
彼女が頼むものは、いつも黒いものばかりを頼んだ。
24歳の女性が頼むにしては、色が渋すぎると思ったのだ。
「毎度ありがとうございます。思うのですが、いつも黒い物ばかり頼まれているので、たまには色鮮やかな物など如何でしょうか?」
染色には自信があった。
だが彼女からは意外な言葉が返って来た。
「私は色がわからないんです。だから…ごめんなさい。黒いものばかり頼んでしまって。」
私はショックを受けた。
私は何とデリカシーの無い言葉を掛けてしまったのだろうかと。
私は必死に謝った。
すると彼女はこう言った。
「私の遊びに付き合ってくれたら…許します。」
そう言うと、とあるネットゲームを一緒にやってくれと言う。
「ソフトのお金は…私が出しますから。私と遊んで欲しいのです…。」
私は贖罪の意味を込めて彼女と、電脳世界で遊ぶ事にしたのだ。
2017.7.29 土曜日 平成29年




