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20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
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日記15

伯母おば

祖父の死から2年後。


伯母が死んだ。


死因は飛び降りによる自殺だった。


突然の話で私は驚いた。


私は仕事に伯母が亡くなった事を伝え、葬儀に参列した。

会場がわからず、随分道に迷った覚えがある。


「どうしておばさんが自殺なんてするんだ。」

従姉妹に聞いても泣くだけで、何の情報も得られなかった。


葬儀には人はまばらで、義理の伯父の仕事、警察関係者ばかりで、寂しい葬儀だったのを覚えている。


読経が流れ、お坊さんたちが会場を去った。


従姉妹たちの母への言葉が会場に響いた。


従姉妹の妹が、伯母へ送る言葉を聞いて驚いた。

従姉妹の妹は、伯母へかなり辛辣な言葉と態度で接していたのが、お別れの言葉で分かった。


伯母はかなり無理をしていたのが想像出来た。


私は伯母の最後のお別れに、伯母の遺体と対面した。


顔が半分以上包帯で巻かれ、その表情は苦悶に満ちていた。


私はそれを見て、耐えられず、お手洗いに向かい、便器に嘔吐した。


手の、脚の、全身の震えが止まらなかった。

痛みが、苦しみが、私に流れ込んで来て、その場に居たくなかった。


だが優しかった伯母の最後の別れだったので、私は気力を振り絞って最後まで参列した。


火葬場で伯母の遺体は焼かれ、壷に骨を納める作業を手伝った。


義理の伯父の親族だろうか、小さな骨壷に骨が入らないから、突き棒で骨を砕くのだが、力いっぱい突きまくっていた。


無表情で。


骨となった伯母だったが、見ていて可哀想に思った。

あんなに激しく、まるで怒りを込めたような骨壷への突きを、その伯母の骨を見て、私は表現出来ない怖さと、哀れみを感じた。


「もっと優しく突いてあげてください。」

私はこの一言が言えなかった。


ひどく悲しい後悔の記憶だ。

2017.7.29 土曜日 平成29年

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