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20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
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日記13

準特級じゅんとっきゅう

私はテストのカンニングの件で多くの信頼を得た。


ある日の射撃訓練前の座学が終了し、教官が出て行ってから私は教壇に登った。


「なあ皆、俺らの立場もっと良くしたいと思わねえか?」

口角を片方だけ上げて私は皆に聞いた。


「いいぞ、続けろ。」

顔の怖い先輩が許可を出した。


「みんなで結果を、準特取ってしまえば、現職は誰も文句言えなくなると思うんだが。」


教場の多くがざわついた。


「私は射撃に関しては誰にも知識は負けない。だからこの知識、皆と共有して、全員で準特取っちまおうぜ。」

我ながら調子に乗りまくっていたと思う。


「できんのかよ」

「大介なら出来るかもな」

「どうやんだよ」

「早く言えよ」


矢継ぎ早に催促の言葉が飛んだ。


私はチョークで黒板に方程式を書いた。


「これを知ってる奴は手を挙げてくれ。」

数名が手を挙げた。


「今手を挙げた人は大丈夫だ。手を挙げなかった奴で、今の悪口言われる待遇が気に入らない奴は、今日の外出控えて、風呂の後に集まってくれ。私が講習する。」

私は偉そうに言い放った。

陸士長の私が3曹2曹がたくさん居る中で異様な存在だった。


「金取るのか?」

「ジュースでいいか」

「タダなら残るぜ」


「タダに決まってるでしょうが。我々の立場を上げたいのだから。私は雑品と呼ばれる今の状態が気に食わないんだ!」

私は言い放った。


「いいぞー!」

「ありがてえ!」

そんな声が教場に響いた。


「じゃあ解散。みんなで準特取って、現職の口を塞いでやろうぜ。」

私はかなり悪い顔をしていたと思う。


その夜、10名程集まった連中と射撃のサイト調整について、私は講釈を垂れた。


方程式の読み方、どこに弾痕が集中したらどう調整したらいいのか、個人個人に、いつもどこに弾痕が集中するのかを聞き、姿勢の指導をして消灯前まで講釈を垂れた。


質問にも全部丁寧に答えた。


顔の怖い先輩がビールを買って来てくれた。

冷蔵庫など無かったのでぬるいビールだったが、自衛隊出頭中は貴重品だった。

ありがたく頂き、とても良い気分だった。



後日の射撃で出頭人数20名、準特18名という結果となった。


現職の中隊長が「雑品連中が良い成績を出しているのに、現職のお前らが手本を見せないでどうする!」などと言ってるのが聞こえて私たちは大爆笑していた。


後日、私が扇動して即応予備自衛官の射撃全体成績を上げたという事がバレて、強制昇進させられて私は「即応予備3等陸曹」となった。


「畜生、首輪をめられた。迂闊うかつな事を言えないし、やれなくなった。」

そうボヤく私に先輩の1人が言った。


「いいじゃねえか。報酬も結果上がる事になったんだ。喜んで首輪されとけ。」

先輩が笑っていた。



最高に楽しい時間を過ごしていた。

愚連隊と呼ばれた我ら即応予備自衛官。


この「我ら」という単語は、今は懐かしく、そしてとても寂しい記憶だ。

2017.7.29 土曜日 平成29年

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