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20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
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日記10

死亡遊戯(しぼうゆうぎ)

職(しょく)を追(お)われた私(わたし)はすぐさま仕事(しごと)を探(さが)した。


家(いえ)を出(で)て行(ゆ)くつもりだった。


良(よ)い仕事(しごと)が無(な)く、経験(けいけん)不問(ふもん)、免許(めんきょ)不要(ふよう)の文字(もじ)からパチンコ屋(や)に就職(しゅうしょく)が決(き)まった。


客(きゃく)の出(だ)した出玉(でだま)運(はこ)び、深夜(しんや)の新台(しんだい)交換(こうかん)。

何度(なんど)もぎっくり腰(ごし)を起(おこ)こした。

金(カネ)を散財(さんざい)して激怒(げきど)した客(きゃく)の暴力(ぼうりょく)と罵声(ばせい)も、私(わたし)の心(こころ)を削(けず)って行(い)った。


その間(あいだ)に彼女(かのじょ)が出来(でき)た。

聞(き)けば大学生(だいがくせい)で、将来(しょうらい)卒業(そつぎょう)したら看護師(かんごし)になるそうだ。

彼女(かのじょ)は外見(がいけん)も性格(せいかく)も、タイプでは無(な)かったが、打算(ださん)で付(つ)き合(あ)う事(こと)にした。

学生(がくせい)特有(とくゆう)の世間(せけん)を知(し)らないワガママを、全部(ぜんぶ)聞(き)いて叶(かな)えてあげた。

その代(か)わりに私(わたし)は、彼女(かのじょ)の性格(せいかく)を、私(わたし)の好(この)みに調教(ちょうきょう)してやった。


その間(あいだ)に増(ふ)えては減(へ)る貯金(ちょきん)。

彼女(かのじょ)のワガママに応(こた)える度(たび)に、私(わたし)の目(め)に見(み)える貯金(ちょきん)という財産(ざいさん)は、増減(ぞうげん)を繰(く)り返(かえ)した。



従業員(じゅうぎょういん)には高校(こうこう)を中退(ちゅうたい)したという連中(れんちゅう)が多(おお)く、社会性(しゃかいせい)が乏(とぼ)しい奴(やつ)がほとんどだった。

だが私(わたし)はそんなに居心地(いごこち)が悪(わる)いとは感(かん)じなかった。


結構(けっこう)な数(かず)の女性(じょせい)従業員(じゅうぎょういん)や客(きゃく)に「一緒(いっしょ)に飲(の)みに行(い)かない?」などと声(こえ)を掛(か)けられたが、付(つ)き合(あ)っていた大学生(だいがくせい)の彼女(かのじょ)の「将来(しょうらい)確実(かくじつ)にお金(かね)を稼(かせ)ぐであろう」という魅力(みりょく)には敵(かな)わず、私(わたし)は全(すべ)ての誘(さそ)いを断(ことわ)っていた。


30歳(さい)になったある日(ひ)、店長(てんちょう)に呼(よ)び出(だ)されて言(い)われた。


「30になって鍵(かぎ)持(も)ちになれないなら、ウチの業界(ぎょうかい)では要(い)らないんだわ。他(ほか)の仕事(しごと)探(さが)してくれない?」

私(わたし)は再(ふたたび)び無職(むしょく)になった。


世(よ)の中(なか)はクソばっかりだと思(おも)った。

実際(じっさい)にクソみたいな考(かんが)え方(かた)をしていたのは、私(わたし)だったのだが。


若(わか)い従業員(じゅうぎょういん)の貴重(きちょう)な時間(じかん)を奪(うば)い、若(わか)さを吸(す)い取(と)り用(よう)が無(な)くなったら、ゴミのように捨(す)てられる日本(にほん)の社会(しゃかい)。


段(だんだん)々と社会(しゃかい)にうんざりしていたのを覚(おぼ)えている。

2017.7.29 土曜日 平成29年

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