職を追われた私はすぐさま仕事を探した。
家を出て行くつもりだった。
良い仕事が無く、経験不問、免許不要の文字からパチンコ屋に就職が決まった。
客の出した出玉運び、深夜の新台交換。
何度もぎっくり腰を起こした。
金を散財して激怒した客の暴力と罵声も、私の心を削って行った。
その間に彼女が出来た。
聞けば大学生で、将来卒業したら看護師になるそうだ。
彼女は外見も性格も、タイプでは無かったが、打算で付き合う事にした。
学生特有の世間を知らないワガママを、全部聞いて叶えてあげた。
その代わりに私は、彼女の性格を、私の好みに調教してやった。
その間に増えては減る貯金。
彼女のワガママに応える度に、私の目に見える貯金という財産は、増減を繰り返した。
従業員には高校を中退したという連中が多く、社会性が乏しい奴がほとんどだった。
だが私はそんなに居心地が悪いとは感じなかった。
結構な数の女性従業員や客に「一緒に飲みに行かない?」などと声を掛けられたが、付き合っていた大学生の彼女の「将来確実にお金を稼ぐであろう」という魅力には敵わず、私は全ての誘いを断っていた。
30歳になったある日、店長に呼び出されて言われた。
「30になって鍵持ちになれないなら、ウチの業界では要らないんだわ。他の仕事探してくれない?」
私は再び無職になった。
世の中はクソばっかりだと思った。
実際にクソみたいな考え方をしていたのは、私だったのだが。
若い従業員の貴重な時間を奪い、若さを吸い取り用が無くなったら、ゴミのように捨てられる日本の社会。
段々と社会にうんざりしていたのを覚えている。