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20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
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焼けた手帳5-1

後悔(こうかい)

「我(われわれ)々は、我(わ)が国(くに)の平和(へいわ)と独立(どくりつ)を守(まも)る自衛隊(じえいたい)の使命(しめい)を自覚(じかく)し、一致(いっち)団結(だんけつ)、厳正(げんせい)な規律(きりつ)を保持(ほじ)し、常(つね)に得操(とくそう)を養(やしな)い、人格(じんかく)を尊重(そんちょう)し、心身(しんしん)を鍛(きた)え、技能(ぎのう)を磨(みが)き、強(つよ)い責任(せきにん)感(かん)をもって専心(せんしん)その職務(しょくむ)の遂行(すいこう)にあたり、事(こと)に臨(のぞ)んでは危険(きけん)を顧(かえり)みず、身(み)をもって責務(せきむ)の完遂(かんつい)に努(つと)め、もって国民(こくみん)の負託(ふたく)に応(こた)える事(こと)を誓(ちか)います。」


何度(なんど)も何度(なんど)も、声(こえ)が枯(か)れるまで、すらすらと何(なに)も見(み)ずに言(い)えるまで誓(ちか)った、頭(あたま)の中(なか)に今(いま)でも残(のこ)る、不退転(ふたいてん)の決意(けつい)。


私(わたし)の中(なか)に欠(か)けていて無(な)かったもの。


使命(しめい)。


それが自衛隊(じえいたい)に入隊(にゅうたい)してから、自衛隊(じえいたい)が、私(わたし)に生(い)きる意味(いみ)をくれた。


たくさんの、私(わたし)の目(め)に映(うつ)るこの世界(せかい)についての情報(じょうほう)をくれた。

たくさんの、私(わたし)が生(い)きるための手段(しゅだん)を教(おし)えてくれた。


私に飯(めし)を与(あた)えて鍛(きた)えてくれた。


実家(じっか)に居(い)るよりも、ずっと快適(かいてき)だった。


「人間(にんげん)関係(かんけい)以外(いがい)は。」


それ以外(いがい)は私(わたし)にとって、天国(てんごく)のような環境(かんきょう)だった。


だが私(わたし)は人(ひと)を怒(おこ)らせる天才(てんさい)だったようだと気(き)が付(つ)いた時(とき)には遅(おそ)かった。


私(わたし)は自衛隊(じえいたい)で孤立(こりつ)していた。


誰(だれ)も助(たす)けてはくれなかった。


私(わたし)に目(め)をかけてくれていた人(ひと)がいた。


それに気付(きづ)けなかった。


たくさんの人間(にんげん)関係(かんけい)についての後悔(こうかい)がある。


私(わたし)は黙(だま)っていたら良(よ)かった。


自衛隊(じえいたい)を楽(たの)しいなどと言(い)わなければ良(よ)かった。


ただ黙(だま)って、黙(もくもく)々としていたら、私(わたし)は自衛隊(じえいたい)に残(のこ)れただろう。


後悔(こうかい)ばかりだ。

2017.7.29 土曜日 平成29年

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