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20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
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手帳4-13

バトルロワイヤル終了(しゅうりょう)

卒業式(そつぎょうしき)。

高校(こうこう)生活(せいかつ)が終(お)わった。


入学(にゅうがく)式(しき)の時(とき)、A組(くみ)B組(くみ)合(あ)わせて80名(めい)居(い)たクラスメイトたちだったが、卒業(そつぎょう)式(しき)を迎(むか)えたのは36名(めい)だった。

退学(たいがく)者(しゃ)が多(おお)く、何(なん)と言(い)うか、「バトルロワイヤル」と呼(よ)ぶに相応(ふさわ)しい三(さん)年間(ねんかん)だった。


私(わたし)は孤独(こどく)だった。

皆(みな)が寄(よ)せ書(か)きを卒業(そつぎょう)アルバムに書(か)きあっている中(なか)、私(わたし)は誰(だれ)にも声(こえ)を掛(か)けられず、校舎(こうしゃ)の外(そと)でスクールバスを待(ま)っていた。


卒業(そつぎょう)したら自衛隊(じえいたい)だ。


こんな痩(や)せっぽっちの身体(からだ)で勤(つと)まる仕事(しごと)なのか。


国防(こくぼう)とは何(なん)なのか。

国(くに)を守(まも)るとは何(なん)なのか。

日本(にほん)という国(くに)の敵(てき)は何(なん)なのか。


そんな事(こと)を考(かんが)えていた。


ただ、その時(とき)の私(わたし)は「日本(にほん)の敵(てき)」ではなく、「自分(じぶん)の敵(てき)」から身(み)を守(まも)るのが最優先(さいゆうせん)だった。


私(わたし)は最後(さいご)のスクールバスが来(く)るまで、職員室(しょくいんしつ)から良(よ)く見(み)える場所(ばしょ)から動(うご)かなかった。

別(わか)れた彼女(かのじょ)から貰(もら)ったのマフラーをしていても、風(かぜ)が強(つよ)く、とても寒(さむ)かったのを覚(おぼ)えている。


生(い)きているだけで誰(だれ)かの恨(うら)みを買(か)う。

そして実際(じっさい)に私(わたし)は誰(だれ)かからの恨(うら)みを買(か)っていた。

私(わたし)が存在(そんざい)しているだけで問題(もんだい)が起(お)きる。


学校(がっこう)卒業(そつぎょう)最後(さいご)のこの日(ひ)に私(わたし)は殺(ころ)されるかもしれないから、絶対(ぜったい)に職員室(しょくいんしつ)から見(み)えない場所(ばしょ)へ移動(いどう)したくなかったのだ。


結局(けっきょく)「下級生(かきゅうせい)が卒業式(そつぎょうしき)に私(わたし)をボコる」などという噂(うわさ)は実際(じっさい)には起(お)こらなかった。


正確(せいかく)には下級生(かきゅうせい)に呼(よ)び出(だ)されたが、複数(ふくすう)の呼(よ)び出(だ)しに全(すべ)て大(おお)きな声(こえ)で、教員(きょういん)たちに聞(き)こえるように断(ことわ)って、私(わたし)は自分(じぶん)の身(み)を守(まも)った。


私(わたし)は教員(きょういん)たちが嫌(きら)いだが、教員(きょういん)権威(けんい)の傘(かさ)というか、教員(きょういん)たちに見(み)える場所(ばしょ)で私(わたし)に対(たい)してのリンチなど始(はじ)めたら、リンチを仕掛(しか)けようとする者(もの)は、後輩(こうはい)たちは自分(じぶん)の、将来(しょうらい)の進路(しんろ)がおかしな事(こと)になる。


農家(のうか)の長男(ちょうなん)ならば別(べつ)に進路(しんろ)も何(なに)も関係(かんけい)ないだろうが、農家(のうか)の次男(じなん)三男(さんなん)が多(おおい)いこの学校(がっこう)では、就職(しゅうしょく)出来(でき)なければ将来(しょうらい)路頭(ろとう)に迷(まよ)うだろう。

私(わたし)に危害(きがい)を加(くわ)えたいと考(かんが)えている相手(あいて)の将来(しょうらい)と、私(わたし)は今日(きょう)の自分(じぶん)の身(み)を守(まも)るという駆(か)け引(ひ)きの勝負(しょうぶ)をしたのだ。


私(わたし)は勝負(しょうぶ)に勝(か)った。

無事(ぶじ)自宅(じたく)まで着(つ)いて、学生服(がくせいふく)を「弟(おとうと)たちが着(き)るから寄(よ)こせ。」という母(はは)にくれてやった。


私(わたし)の灰色(はいいろ)の学生(がくせい)生活(せいかつ)はこれで終了(しゅうりょう)したのだった。

2017.7.28 金曜日 平成29年

高校生編終了。


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