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SFの創作に関連するもの

一つでは多すぎる

作者: 宮沢弘

 まぁタイトルの言葉の元とか意味、あるいは解釈は検索していただくとして。


 読んでいてちょっと思ったのが、「なろう」にあるSF作品は、その落とし穴に嵌っている作品が多いかもしれないということです。

 SFで言うならキーとなる科学技術が一つだけでは多すぎるのです。科学技術を扱うのであれば、それに対抗する別の軸となる科学技術が最低でももう一つ必要です。SFでも風刺小説でも、社会を扱うのであれば一つの社会では多すぎるのです。それに対抗する別の軸となる社会が最低でももう一つ必要です。

 「一つ」で「多すぎる」のに、なぜ「二つ以上」必要なのでしょうか。「一つ」より「二つ以上」の方が普通は「多い」はずです。まぁこれについての説明については検索してもらえればわかると思います。でも感覚としてわかってもらえるかどうかについては自信がありません。実感しないと難しいかもなぁというところです。


 SFでは今はまだない未来技術、あるいはありえたかもしれない過去技術が、だいたい現われると思います。その場合、「現実の現在」というものが別の軸として存在しているように思えるかもしれません。まぁ確かにそれはそれで確かに存在していますが。

 さて、そこで質問です。その作品は「現実の現在」との比べたいのでしょうか。比べたいのだとしたら、なぜ比べたいのでしょうか。何を比べたいのでしょうか。どうやって比べたいのでしょうか。

 SF、ファンタジー、風刺小説は「逃避文学」と呼ばれます。オーケー。現実の現在からの逃避として書きたいなら、それも成立するでしょう。それが「逃避文学」であるならですが。「現実の現在」と比べるのに近いのは風刺小説の類です。はい。ユートピア、すばらしい新世界、1984年、1985年、華氏451度、未来世紀ブラジル、Max Headroomその他色々見てみましょう。その中身は「一つ」ではないことがわかると思います。

 どの場合も、なぜ「一つ」ではないのでしょうか。その理由は簡単です。一つでは書けないからです。

 例えば、一つの社会では何かが当たり前だったとしたら、それは当たり前であるにすぎません。現実の現在と比べてどれほど異質であっても、それは物語内世界においては当たり前のこととしてしか書けません。当たり前のことが当たり前に進行するだけです。思い切って言ってしまうと、読み手が持っている世界とは隔絶したものであって、橋が渡っていません。

 「純文学」や「私小説」ではないのだから、隔絶していて当たり前と思われるかもしれません。ですが話は簡単で、隔絶していたら理解できません。あるいは「純文学」や「私小説」などは、そこのところを手を抜いているにすぎません。あるいはそれらを好む人の想像力の限界にすぎません。

 「橋を渡す」と言っても、現実の現在と直接橋を渡す必要はありません。むしろ、それをやったら野暮じゃないかなぁと思います。

 その「橋を渡す」ために、対立する軸が必要になります。対立があることによってこそ、読み手の理解に対して物語内世界から橋が渡ってくるのです。


 私が書いているものについて言えば、ネタが散漫と思われるかもしれません。どんな科学技術や社会であるかを緻密に描いていないと思われるかもしれません。それは確かに否定しません。書き込むの面倒だし。でも、それはそれ。これはこれ。今回は読み手として思うことですから。


 こんなことを思って書いていましたが。「なろう」に、神の狸さまの「「小説家になろう」改訂版という闇」というエッセイがあります。もしかしたらこれも「一つでは多すぎる」という例に当て嵌まるのかもしれないと、ちょっと思ったりもしました。

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