4話
「さぁ、大人しく国中の石を差し出せ。そうすれば国民やお前に危害を加えないと約束しょう。」
黒い剣を石の国王に突きつけ、静かに言葉を発した。
やばいやばいやばい。
なんでステイルはこんなにも遅いんだ!
黒の国の大将が来ちゃったよ!どうする俺!?
内心は慌てながらも冷めた顔で返事をする。
「そんな事したらどっち道、俺達の国は滅ぶ。だから、無理だ。
あと、俺の名前は『お前』じゃなくて『セヴィオ』だ。以後よろしく。で、そちらのお名前は?」
「名前などどうでもよい。交渉が無理ならば・・・力尽くで奪うまでだ!」
黒の国の王は剣を構え、石の国の王セヴィオに斬りかかる。
切先がセヴィオを掠めそうになったとき、その剣は何かに弾かれた。
「俺もそう簡単に死ぬようなやつじゃあないんだ。」
セヴィオの手には少し前に届いた宝石があった。
黒の国の王は構わず何度も剣を振り下ろす。
その剣を弾くたびに光の壁ができ淡く光る。
「どういう事だ・・・!?」
「今度は俺の番だな。」
セヴィオは腰の剣に手をかけた。
「・・・ッ!」
黒の国の王は慌てて距離をとろうと後方に飛んだが、遅い。
キィン!!
セヴィオが握っている剣は相手の兜を弾き飛ばした。
「首を撥ねるつもりだったんだが・・・て、あれ・・・?」
兜が外れ黒い髪が流れるようにあふれた。
肩に着かないくらいに切られた黒い髪。
そしてその間からは白い肌が見え、赤く鋭い眼光がセヴィオを捉える。
一目でわかる、女だ。
「女、だったのか・・・?」
恐る恐る彼女に聞く。
「だからなんだ!一国の王が女で悪いのか!」
「あ、いや、その・・・悪い、女性に剣を向けるのは俺としてもちょっと・・・。」
女王はセヴィオを睨み、また剣を振るい迫る。
彼女の視線が自分の手にある宝石にいっているのがよくわかる。
この宝石さえも手に入れようとしている。それほどにまで飢えている。
「石なんて集めて何に使うつもりだ?宝石細工でも作って商売か?」
「貴様、それは冗談か?」
「俺たちにも協力できるかもしれないだろ?」
王セヴィオの言葉を聞いて彼女は肩を震わせた。
「お前たちな・・・のに・・・。」
「えっ・・・?」
「お前たちのせいなのに、よくもそんなことが言えるな!!」
俺たちのせい?どういう事だ?
彼女は強い怒りの感情を出しながらセヴィオに向かって力一杯剣を振るった。
その力はセヴィオの持つ宝石の光の壁を砕き、セヴィオ自身に渾身の一撃を与えようとした。
だがその剣は突如間に入ってきた人影に阻まれた。
「ステイル、遅いぞ!」
女王の目の前にはステイルが二本のナイフでセヴィオに向かう剣を受け止めていた。
「間一髪でセーフって感じだね!」
「な、何者だ貴様!どけ!邪魔をするな!!」
彼女は怒りながらも防がれた剣を払い距離をとる。
「そんな顔してたらせっかくの綺麗な顔が台無しだよ。」
「な、何を・・・!!」
意外と照れ屋だな!
突っ込みを入れたいが黙る。
「俺はこの頼りない王様のボディーガードみたいなものだよ。
王様を殺されると俺らみたいな国民が困るんで、穏便に話しあいで解決してくれないかな。」
「これで二対一。こちらの方が有利だが、まだ戦うかい?」
「・・・今はお前の前から引こう。だが、まだ探してるものがあるからな。
お前たち、この周辺に逃げてきた右頬に宝石を付けた女を見なかったか?」
右頬の宝石、ルフィアだ。彼女しかいない。
偶然遺跡で出会って黒い鎧の集団から逃げていたのを思い出す。
「俺はこの城から出てないから見てないが、ステイル知ってるか?」
「知らないなー。」
ここは黙っておいたほうが賢明かなあ・・・。
自分の持っている情報は何一つ渡さないようにした。
「・・・だそうなのでその女の情報は持ってないぞ。」
「そうか、わかった。だが、お前はいつか、必ず、この私が殺す!
それまで精々首を洗って待っていろ。」
黒の国の女王はガシャガシャと黒い鎧の音を鳴らし去って行った。
「お前、あの女王の行ってた例の女の事知ってたろ?
あの女王様気付いたっぽいぞ。」
「ハハハ・・・やばい?」
「色々と面倒なことになりそうだ。それにあの女王が言ってた『お前たちのせい』って言葉の意味が気になるし、・・・まだ名前も聞いてない!!」
「俺は寿命が縮まった気がするよ・・・。」
セヴィオの城を後にしてマルクとルフィアの元に戻ろう。
あの王女様にバレたらただじゃあ済まない気がする・・・!
ステイルは全速力で自分の帰るべき場所まで走った。
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チャリッ・・・
鎖の音が真っ暗な牢獄で響く。
暗闇の中で青く光る瞳だけが浮かび上がった。
「来たか・・・。」
小さく聞こえる男の声。
その男には幾重にも頑丈な鎖が巻いてあった。
「もう少し、もう少しだよ。」
一人嬉しそうに呟く鎖だらけの男がいた。




