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3話

「…で、俺の所に来たって訳か。」


「マルクごめん!頼む!少しでもいいから!」


マルクはしょうがないと言うかのようにため息をつく。


マルクはクセのある明るめの金髪に赤い瞳の男。

目つきは悪いが見た目ほど怖くはない。

料理人であり、ステイルの義理の兄、または保護者の様な存在である。


「ほら、さっさと中に入れ。飯にするから。」


その言葉を聞いてステイルもルフィアもパッと明るい表情を見せる。


あいつ、いつの間に彼女を…

飯くらい豪華にしてやるか。


*************


遅い、遅い…


「遅いんだよ!!!」


国王の大声に驚くのは家臣と護衛にあたる兵士達。

それもそのはず。

文書を付けた鷲が戻ってこない。

一応、命の危険があるという状況下で国王を待たせている。


「あいつ、絶対に道草くってるぞ…!」


バサバサとデッキの方で音がした。

鷲が丁度いいタイミングで戻ってきた。


「よく戻ったな!よ~しよしよし!」


鷲の体大きいため多少乱暴に撫で回しても平気なのだが、鷲は明らかに嫌がっている。


「ん?この宝石…文書は無いのか…?」


鷲はピィと一つ答える。


自分の身は自分で守れということか…?


鷲の持ってきた宝石には大量の魔力が込められていた。

恐らくステイルが宝石に蓄積させたものだろう。

宝石は10cmほどの大きさで、まだ加工すらされていない原石だった。

これ程の魔力が宿った宝石であれば大体の攻撃から身を守ることができる。

攻撃に関しても、とてつもない威力の魔術が10発は放てる程だ。


「つまり、あいつが来るまでお守りにしとけという事かはぁ……。」


肩を落としながら、ただ黒の国の動きを探りながら待つ事しかできない自分が情けない。


すまない、みんな…。


心の中の謝罪は誰にも届かない。


*************


「おー、食った~!」


ステイルは満腹。ルフィアは未だ食べるのをやめない。

積み重ねられた皿はどれも空。

いつもよりも消費が多い…。


「〜♪」


この娘の食欲がすごい。


「お前、中々見所ありそうな腹してやがるな…。お前の名前は?」


口いっぱいにご飯を頬張りながらその娘は笑顔で名前を言った。


「ルフィア!おわかり!」


おわかり!と言いながら皿を差し出すルフィアという娘。

マルクはおかわりのことだろうと皿を受け取りご飯をよそう。

マルクもここまで食べてもらえると嬉しいのか笑みがこぼれる。


「嬉しそうだな。」


ニヤニヤしながらステイルはマルクの事を見ていた。

マルクも上機嫌で目をらんらんと輝かせながら答える。


「ハッ、当たり前だろ。これは作り甲斐がある…!」


あ、スイッチ入った。


「間食はこれくらいにしてちょっと国王さんの所に行ってくるわ。

だからその、これから作る飯は夕飯にしてくれない?」


「おう。あと、俺じゃあ言葉があまり通じないかもしれんが…今度はおかわりなんて言わせないくらい作っておくからってそいつに言っておいてくれ!

俺の飯で満足させてやる…!!」


「はいはい。」


『どこか行く?』


ルフィアが口をモゴモゴさせながらも宝石を使って話しかけてきた。


『とょっと偉い人の所に行ってくるだけだよ。

マルクと一緒に待ってて。

あいつ、ルフィアにいっぱいご飯を食べてもらえるように沢山ご飯を作ってるみたいだから楽しみにしてるといいよ。』


ルフィアにもちゃんと意味が伝わるようにする為こちらも宝石を使って話す。


ステイルの言葉を聞いてルフィアの顔は満面の笑みに変わった。

嬉しそうで何より。


「じゃ…行ってきます!」


飯でスタミナはついた。

後は待たせている国王の元に行くだけだ。


*************


「ここが石の国かー!広いねー!!」


「はしゃがないの。あ、このお店の小物可愛くない?」


「……。」


馬に乗った見慣れない女性二人組と立派な黒い鎧の人がいた。

黒の国が攻めてきたとの報せを受けてここ周辺の人々は警戒してあまり外に出てこない。

外にいるのは出店の店主などの数人だけだ。


「警戒して正解。外に出てきて邪魔なんかされたら困るもの。」


二人組のうち一人の明るい青紫の髪を持った女が冷たく言い放つ。


「それより、目的の物を集めなきゃね。」


もう一人の明るい青緑色の髪の女が笑顔で言う。


「早くしろ。私はここの国王に会ってくる。」


「「はい。」」


黒い立派な鎧を纏った者は国王の居る城を目指す。


「やはり、何処へ行っても色が無い…。」


小さく消えてしまいそうな声で呟くと手綱を振るい馬を走らせた。

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