タイムカプセル
何億年も後の話、地球にはるか彼方の地球と同じような大きさのカポル星からカポル星人がやってきた。
本当は地球文明との接触を図りたかったのだが、時すでに遅し。
人類はもう絶滅して、地球の文明は滅びていたのだ。彼らは代わりに滅びた地球文明の痕跡をした。
そして、四角い形の小さな箱をみつけた。
随分風化してきているが、明らかに文明のもたらした物である。
それは地球でその昔「タイムカプセル」とか呼ばれていた物。
中身はほとんど風化していたが、彼らにとっては百の宝石より貴重な物だった。
彼らは故郷から調査団を呼び寄せて、同類の物がないか必死に探し回った。
遺跡もいくつか見つかった。住居らしきもの。用途不明のやたらと高い金属性の建物などなど。
もちろん、「タイムカプセル」も多数みつかった。
しかし、それらのほとんどは既に風化しており、彼らはもっと完全な文明の痕跡を探し求めた。
そして、やっとのことで、完璧な状態で残された「タイムカプセル」を発見した。
が、しかし、なかなか開かない。非常に丈夫にできているようだ。
仕方がないので、カポル星に持ち帰って開けることにした。カポル星では大騒ぎだった。
他の星の文明に興味を持つのは一部の科学者だけでなく、カポル星のほとんどの住民が興味を持っていた。
カポル星人は好奇心の旺盛な種族なのだ。
カプセルを開ける作業場には、その作業を見ることのできる観客席が設けられた。
カポル星中のいたる所から続々と集まってきた。
更に、作業の様子はカポル星中にリアルタイムで報道され、
ほとんどの人がその様子を固唾を飲んで見守っていた。
やがて、カポル星で開発されたばかりの超強力なレーザーカッターが運ばれ、セットされる。
カプセルにはその星で平和を意味する黄色と黒の縞模様があったので、
彼らは全く危険を感じていない。
何故、原子の構造の略図がカプセルに彫ってあるのかも知らずに、
全住民が期待に満ちた目で見守る中、最新鋭のレーザーカッターの刃はカプセルに入っていく。
その星は正に光に満ちていた。