第1回
いつか会えると信じている。
夜中の4時44分また見てしまった。ここ数年時計を何気なく見ると、
ゾロ目の時間を見ることが多い。3時33分とか、5時55分とか・・
ナゼだかわからない。そのくせ賭博などは全然向いていない。昔から
パチンコ、スロット、果ては友人とトランプをしてても、この恩恵に
あやかる事は自分で覚えている限りないに等しい。
そのくせ初めてやったマージャンでダブロンを喰らう始末。
ダブロンとは、友人いわくかなりの確立でしかおきないらしい。
ビギナーズラックなどとは、無縁の人らしい。。俺は。。
本当の物心ついたころからそうだ!
本当の物心とは幼稚園や小学校の記憶があることではなく、それは中学
3年位からついた、人格というのだろうか、まあその頃から今に繋がる
考え方や記憶が備わったときからの事だ。
なぜだか俺はいつもついてないように思える。それは女性に関しても。
いつか変われるのだろうか。。。
1
朝走ることが、最近のマイブームになっている。
昼間や夕方、では味わえない空気が気持ちよく、なんとも言えない
気分になれることが、一番の理由だ。
まあ良くある理由なのだろうが、それがとても気持ち良い。
いつもどうりの朝だった。6時のタイマーが鳴りそれを止め、15分
ほどウダウダしてシャワーを浴び、バナナ、牛乳を飲み、部屋で腹筋
50回・準備運動をして、玄関でランニングシューズを丁寧に履き、
家から出たところで紐の〆具合が気に入らなく結びなおし、足首を
グルグルと回して歩きだした。いつもどうり、ある程度歩いてから
走り出す。
家を出て5分たらず走りだした瞬間、T字路の右側から突然車が飛び
出してきて「キィィィィィィーーー」とタイヤからうなり声が聞こえ
あわやぶつかりそうになった。
その瞬間喉の辺りから頭のテッペンに熱いものが吹き上がって、
何か叫ぶ訳ではなく、敵意ムキだしで運転手を睨みつけた。
車の中には30才は超えてるだろうか髪先は少し茶色から金色に近く、
軽くウエーブがかった女性が乗っており、驚いたことが
敵意ムキ出しの俺よりもっと鋭く俺を睨みつけているではないか!
睨みつけたものの、その女性の睨みに押され、それ以上何もできることも
なく、車が立ち去るまでその状態のまま硬直してしまった。
立ち去った後になって更なる怒りが沸いてきたが、もう若くはない
自分と、相手が女性ということも重なり、怒りを納めるように勤めた。
なんか少し気分の悪いランニングを終え、またいつものように仕事に
向かい、すぐそんなことは忘れ、いつもと同じ生活に戻っていった。
2
子供の溢したジュースを拭き取るためモップで床を拭いて、いつもの
ようにシューズの向きを整え、お客様の動向を横目で確認し、
接客機会がないことをいいことに、最近入ってきたアルバイトの、
小向 咲にそっと近づき「すいませーん」と
お客様のフリをして声をかける。
その反応をみて面白がるのが最近の日課になっている。
俺はチェーン店のスポーツ用品店で社員として3年前から
勤めている。
仕事は3年もやっているとある程度のことは判ってくるので、少し
調子にのってそんなことをやったりしている。
この行為は時に悲惨な結果を生むことがある。完全にひっかかった時の
咲の怒りっぷりはお客様に聞こえてしまうほどの声で怒り、「静かに」
と促しても声のトーンが下がらず、お客様を越え店長にまで聞こえ、
その原因を問いただされ大目玉を食らうことだ。
それもこれも3ヶ月前位前に入ってきた咲がここ数週間の間に、少し
女性として気になり出してきてからなのだ。
今月初めにレジの研修が終わり、俺の任されているランニング関係の
コーナーで使えと店長に言われ、まあ言ってみれば部下に近い存在に
なったことからこの関係に至ったのである。
咲は少し背は少し小さめで、男から見ると太っては見えないが、
女性の中では少しポッチャリしているほうにはいっている、笑顔と
メガネが似合う23才のかわいい女の子だ。
年が近い事もあり、同じコーナーで働くようになってすぐ打ち解け
仕事に行く事がとても楽しいことになってきている。
また今日もいつもの通り、いたずらをしかけて
「また店長に怒られますよ!」と言われて喜んでいた。
そんな会話をしていたら、球技コーナーの同期 藤田 行人
が近づいてきて、「そーいやさ、今週末キャンプ行かない?」と誘って
きた。隣にいる咲はまだ行人とそこまで仲良くなっていないからか、
すぐにその場を離れようとしたが、俺が行くとも言っていないのに、
「咲ちゃんもいかない?」と声をかけた。
まだ咲に対して少し惹かれていることは、行人には言っていないのだが
良いタイミングで咲と遊べる機会ができそうになったので、
心の中で「でかした行人!」と叫んでしまった。
咲は誘われるとは思っていなかったので、少し困惑していたが、
「行きたいです」「ただ親に聞いてからでもいいですか?」と返事を
した。
「もし親が心配なら俺の彼女から親に説得させる事もできるから。ただ
無理にはしないでね。職場変えろなんて言われたらかわいそうだし。」
「わかりました。少し心配性な母親なんでダメな時はすいません」と
返事をした。
明日返事をすることになり、行人は休憩所に向かっていった。
「藤田さんて彼女さんいるんですねーうらやましい」と言った彼女の
横顔が少し寂しそうで気になったが、次の日「親大丈夫でしたと」
返事をしたらしく、それを聞いた俺は少しフワフワとした気分になって
週末のことを考えたらワクワクしている俺がいた。
行人と咲は、元々休みだったらしく俺だけ店長に頼みこんで、週末の
2日間の休みをもらう事ができた。
土曜の明け方から出発して日曜の夜帰ってくる予定を組み当日を
迎えた。
あっという間に週末をむかえることになったが、今週月曜日に
キャンプに行こうと誘われ、火曜日に咲が返事をし、木曜日は俺は
休みだったので、私服のダサイ俺は慌てて週末用の服を買いに行って
気が付いたらもう当日という慌しい日々を越えて気が付いたら当日
になっていた。
キャンプ地には行人のSUVで行く事になっていて、朝迎えに
来てくれる事になってなっていた。咲と俺はよくよく話してみたら
結構家が近く、ちょうど真ん中辺りにある、コンビニで拾ってもらう
ことになった。
「優子ちゃんおひさー」と迎えに来てくれた行人と優子ちゃんに、
声をかけ咲は、2日間よろしくお願いしますと伝え足早に車に乗り込み
出発した。車のBGMは昔のPAFFYの~カニ食べいこおー~などの
少し古い音楽などが流れ、4人はノリノリでキャンプ地に向かって
行った。咲と優子ちゃんはなかなか気があったのか後ろの席で、
もうすでに仲良く話していて少しほっとしたのはつかの間、急に
2人して大笑いをし始めた。前に乗っている男2人は何のことかわから
ず、なにがおかしいのか2人を問いつめた所、俺のTシャツにタグが
ついたままになっていることに気がつき大笑いしたのだった。。
またやってしまった。ワクワクしてたらついスキを生み恥をかいてし
まった。木曜日にわざわざ買いに行って、ダサイ私服をなんとかしよう
とした結果がこれだ。ちょっとオシャレに見られたかった俺が背伸び
したらすぐおかしなことになってしまうのだ。
それもこれも運転席に座る行人のせいだ!こいつは会社の制服さえ
なぜかカッコよく着こなし、同じ物をきてるとは思えないほどの
センスをもっている。同じ制服なのに変えてほしいとおもうほどの
着こなし方をする。まあ制服じゃなくて顔やセンスの問題なのだろう。
ちょっと気分を害したが、せっかくのキャンプなのにイラっとしても
しょうがないので笑ってなんとかその場をやり過ごし、そのあとは
しりとりなどくだらない事をやって、現地までたのしい車中を過ごした。