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アルフレド -世界の心臓に眠る少女ー

作者:北島 将
最新エピソード掲載日:2026/03/14
大陸中央にそびえる巨大迷宮アビス・グランデ。
そこは財宝と魔物を抱え、数多の冒険者を呑み込んできた世界最大最古の迷宮である。

辺境の町で育った青年レオン・ヴァルハイトは、幼い頃に迷宮へ向かったまま帰らなかった父の遺品から、一冊の手帳を見つける。そこには「最下層に眠るのは財宝ではない」「彼女を一人にするな」という不可解な言葉と、深層へ通じる鍵片が残されていた。父の真意を知るため、レオンは迷宮都市へ向かい、豪快な戦士ガルド、古代機構に執着する魔術師セレナ、裏路地育ちの斥候ミナ、神殿出身の治癒術士ユリウスと出会い、即席の仲間として迷宮へ挑む。

探索の中で彼らは、迷宮が単なる遺跡ではなく、古代の“保守区画”や“制御端末”を備えた巨大機構であることに気づく。さらにレオンは夢や端末映像を通じて、銀白の髪を持つ謎の少女の存在を知る。やがて最下層へ辿り着いた彼らが出会ったのは、魔王でも怪物でもなく、世界の気候、魔力、生命循環を維持し続ける管理者の少女ノアだった。

ノアはかつて人間でありながら、中枢へ接続され、世界を支えるためだけに永い時を生きてきた存在だった。だがその機構は限界を迎えつつあり、このままでは世界そのものが崩壊する。世界を維持する方法は、誰かが新たな管理者となって彼女の役目を継ぐか、中枢を停止させて世界の均衡を失わせるか、その二つしかない。しかも継承した者は人としての生を失い、永遠に最下層へ縛られる。

そこへ王国、教会、研究結社が介入する。国家は安定のために中枢の管理を求め、教会はノアを“解放”するため停止を主張し、研究者たちは世界の仕組みそのものを更新しようとする。仲間たちもまた、それぞれの正義から意見を違え、一度はばらばらになっていく。

だがレオンは、父もまたノアを“装置”ではなく“ひとりの人間”として見ていたことを知る。そして父が遺した未完の記録から、継承でも停止でもない第三の道――一人の犠牲に依存した世界の仕組みそのものを再構築する可能性へ辿り着く。

誰かひとりを永遠に縛ることで成り立つ秩序を、このまま守るべきなのか。
それとも不完全でも、誰も犠牲にしない新しい世界へ踏み出すべきなのか。
迷宮最下層で、少年は世界の在り方そのものを選ぶことになる。
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