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第9話【初めての共闘作業】

ハブデビ!です!

作品を手に取っていただきありがとうございます!

初作品なので、気軽に読んでいただけると嬉しいです!

 ───────廊下の奥……蛍光灯の影が不自然に揺れた。

 鳶人と蓮王。二人の視線は、それに集中している。


 13個程先の、右側のドア。ギィィイ……と軋む音を立てながら開く。

 明らかな人の気配。そして、鋭い殺意……姿が見えなくとも、鳶人はすぐに反応する。


「テメェ……何者だ。」


 鳶人の低く唸るようなその問いは、この廊下の空間に響き、反響する。

 湿気と鳶人の放つ熱気が、今混じり合う。



 ───────廊下の奥……『何か』が姿を現した。

 蛍光灯の不規則な光は、断片的に『それ』を照らす。


 人影───……180cmほどの巨漢の姿。

 広い歩幅に、前へ突き出す肥満体の腹。そしてその服装は、『警備員』……濃い青のユニフォームを着ている。


 その男は、ドスンドスンと扉から姿を現すと同時に、こちらへ視線を移す。

 ツバ付きの帽子を、片手でそっと整える。


「何者か……かァ。

 まるで、正義の味方にでもなったような口ぶりじゃねぇか。

 どちらかと言えば、お前らの方が侵入者だ。」


 警備員姿のその男。一目で『BORN ARMS(ボーン・アームズ)』と分かる、異形の姿をしている。

 男の左腕……肩から手にかけて。


 一言で表すなら、『蟹』……太い腕に、トゲトゲとした殻を纏った姿。

 そして手と言える部位は無く、『蟹のハサミ』のように変形している。

『左腕全てが蟹のBORN ARMS』……まさにその姿。


 男はとうとう全身をドアから出すと、右手で耳に触れる。

 無線通信機のイヤーピースのスイッチをピッと押し、向こう側にいる人間へ話しかける。


「──────コチラ『折土間(おるどま) 圭理(けいり)』……脱走したカスの二人を『裏の通路』で発見した。

 ……あぁ。脱走者を殺すアノ通路だ。」


 圭理と名乗るその男。

 イヤーピースから手を離すと、ズカズカとコチラへ歩いてくる。

 威圧感。圧迫感。目に見えるかのようである。

 圭理は、首を鳴らすと微笑みだした。


「お前らはマンマと誘い出されたんだ。

 いやぁ〜感謝してるぜ?……ずいぶんと暇してたんでな!!」


 カチッカチッと、左手のハサミを鳴らす。まるで……蟹の威嚇。


「お前らは『自由』が欲しいそうだな。

 自由の対価の相場は……高いのが世の常だ!!」


 圭理の歩みは止まらない。

 二人との距離は、15メートルを切ろうとしている。

 ─────鳶人は後ろの蓮王へ、視線を変えず呟く。


「出井加……援護しろ。

 前は俺に任せて、お前は『歯』を撃ち込んでやれ。」


 蓮王はコクリと頷く。

「合点承知……!!」と、右手を圭理へ向け、構える。

 遮蔽物の無いこの空間で、飛び道具を持つ蓮王は有利この上ない。

 狙いを定め、発射準備……右前腕部が、ググググ……と膨張し始める。

 そして──────放つ!!



 ────────パァン!!



 銃声、静寂の通路に響いていく。

 人差し指から射出された『歯の弾丸』は、真っ直ぐ音速で飛んでいく。

 勢い、それは本物の銃弾と同等のそれである。


 圭理は、弾丸の射出を予期し、左腕の『装甲』を身体の前に出し……防御の姿勢を完成させる。


 ……が、しかし。蓮王は気づく。自らの能力の、『弱点』と言えるべき点を。

「しまった……!」と、つい言葉を漏らしてしまう。


「まずい、今の弾丸は『臼歯』だ……。」

「……何か問題でもあるのか?」


 鳶人は即返す。

 蓮王が説明する間もなく、その歯の弾丸は、圭理の左腕……蟹の殻のような皮膚へ命中する。

 ─────しかし、命中……当たると同時に、その歯の弾丸は『砕け散って』しまう。

 バカァン!という破裂音、派手な音とは対照的に、圭理の左腕には傷一つとして付かなかった。


 余裕の笑み。圭理はニタリと笑う。


「なんだァ……? 今のは『銃撃』か……?

 痛くも痒くも無かったぞ!?」


 それを見た蓮王は、悔しそうな表情を浮かべながら、口を開く。


「俺の『歯の弾丸』は、少々『運』が絡む。

『犬歯』や『切歯』ならば、命中時のダメージは高い。

 しかし稀に……シリンダー内に『臼歯』が生えてしまう。

『臼歯』は、空気抵抗を強く受け、威力が下がってしまう……。」


 蓮王は構え直す。再び狙いを圭理につける。

 シリンダー内の残り、4発と生えかけが1発。


「滅多な事じゃなけりゃ、俺の弾丸は砕けない!!」


 鳶人は、蓮王のその言葉を聞いた後、左手に『外骨格』の生成を始める。

 グギギギ……と、中指に外骨格の刀を形成。生え、伸び、歪みながら……鋭い『凶器』が完成した。

 鳶人は、雄叫びを上げ、圭理の元へ駆けて行った。


「ウオォオォオ───────!!!」


 ダダッ!……と、コンクリートの床を蹴り飛ばすように、加速する。


「なら……叩き斬るッ!!!」


 鳶人は猛スピードで距離を詰める。

 約50センチの骨刀を振り上げ、圭理を真二つにする勢いで振り下ろす。

 シュンッと空気を切る音。その斬撃は、ストレートに圭理の脳天めがけて落ちていく。


 しかし、そう簡単に攻撃を受ける相手では無い。

 圭理は、刀の軌道を読むようにして、『蟹の殻』の左腕で防御をする。


 一瞬の無音……そして次の瞬間。


 ガキィィイン!!────────と鉄と鉄が衝突したような『金属音』を発し、殻は刀の斬撃を受け止めた。

 ……バカにできる硬度ではない。鳶人の『外骨格の盾』と同等か、それ以上の硬さを誇っていた。

 その硬さに鳶人は感嘆し、表情に力が入る。


「……結構硬ぇな。 ちっとばかし侮ってたワ……。」


 圭理は、その蟹のような左腕を振り上げ、骨刀を弾く。

 骨刀を弾かれた鳶人、身体ごと大きく後ろへ跳ね返される。


 しかし、鳶人の攻撃は続く。

 鳶人は、跳ね返される反動を利用して一歩引き───────すぐさま、二撃目へ移る。


「─────ッしゃあ!!」


 横薙ぎ。骨刀は地面と水平に走る。

 今度は頭ではない。狙いは、圭理の脇腹────『蟹の殻』に覆われていない、人間の胴体部分だ。


 しかし、圭理は骨刀の軌道を読んでいる。


 ドンッ!!……と、巨体を前へ踏み込み、硬質な左腕で斬撃の軌道を逸らす。

 骨刀は、圭理の突き出た腹を浅く掠め……その先にあるコンクリートの壁へと叩き込まれた。


 バギィン!!───────……壁に亀裂が走る。


「……『能力』の熟練度は俺が上だ!!!」


 圭理の低い声。

 次の瞬間、圭理の右脚が唸りを上げた。

 前蹴り……いわゆる『ヤクザキック』が、砲弾の如く鳶人へ突き進む。


 ──────ドゴォッ!!


 直撃……鳶人の腹へ、蹴りが突き刺さる。

 骨が軋む感触。肺の中の空気が、一気に吐き出された。


「グガ……ッ!!」


 身体が宙に浮く……だが、まだ鳶人は倒れない。倒れる前に、地面をダッと踏み締めた。


「……クッソが!!」


 鳶人は狂犬のように歯を剥き、距離を詰め直す。

 外骨格の刀を、今度は『突き』に切り替える。

 一点突破……防御ごと、貫く算段だ。


「───……ウオォォォッ!!」


 サイやイノシシを思わせる、直線の刺突。

 しかし───圭理は、その『直線軌道』を待っていた。


 ズシャッ……と、左腕が動く。

『蟹のハサミ』が、刃の進路へ滑り込む。

 防御では無い……圭理はカウンターを仕掛けるのだ。


 

 ───────ガギィィイン!!!



 ……刃が、ハサミの溝に噛み込む。


「ホォ〜ラ……捕まえたぜ。」


『蟹のハサミ』のような左手で、骨刀を挟み込んだ。

 ガシィッ……と骨刀を掴まれる鳶人。振りほどこうとしても、なかなか外すことができない。

 グッグと何度も引き戻す。しかし、ビクともしない。

 鳶人は超人的な『挟む力』に驚愕する。


「……へへッ

 じゃあ、どこまで耐えられるかお手並み拝見しようじゃないか。」


 圭理はそう言うと、更にハサミの力を加える。

 ミシミシミシ……ハサミの力が強まる度、鳶人の骨刀は悲鳴を上げる。

『刀を折る』……圭理は、鳶人の武器破壊を試みている。

 そして、その骨刀のダメージは、鳶人の指に直接流れていく。

 あくまで、生成する『外骨格』は『骨』……中に神経が通っているのだ。

 鳶人はその場に立ちながら、激痛に悶絶する。


「グぁあ……!!

 お、折れる……!!!!」


 段々とその痛みは肥大していく。

 鳶人は右手を左腕に添え、何度も何度も引き戻そうとする。

 圭理は見下すような視線を向けて、ニタリと……不気味な笑みを浮かべている。


 ミシ……ミシミシッ……──────────


 圭理の左腕が締め上げる度、更に骨刀は悲鳴を上げる。

 その悲鳴は、もはや……鳶人自身の悲鳴と区別がつかなくなっている。


「は、離せよデブ……!!」


 指先から、脳天へ。

 神経を通じ、直接引き裂かれるような激痛が、左腕を(むしば)む。

 歯を食いしばって耐えてはいるが、限界は近い。


「オイオイ……どうしたァ?」


 圭理は見下ろして嘲笑う。


「さっきまでの威勢はどうしたんだよ。

 お前らの望む『自由』ってのはァ……そんなにモロいのかよ!!」


 ハサミの力が、さらに増す。そして……


 ────────ビシィッ……と、嫌な音が響いた。


「クッ……ソォアアア……!!!」


 鳶人の声は、もはや言葉にすら聞こえない。

 必死に引き戻そうとする腕も、震えるばかりで力が入らない。


 ───────その時……後方で、蓮王が叫ぶ。


「武良のオッサァァアン!────ッ!!!」


 鳶人の指が、限界まで歪み、ヒビ割れるのを見ていた。

 これ以上は……耐えられない。

 次の弾がどんな『歯』だろうが、狙いは『蟹の殻』以外の、『人間の部分』……。


 蓮王は、右腕を、静かに構える……照準は決して迷わない。


 そして、すぐさま一発の銃声を放つ。



 ──────────……『パァン!!!』


読んでいただきありがとうございましたー!

絶賛連載中なので、次も読んでくれると嬉しいです!!

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