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第7話【脱出経路】

ハブデビ!です!

作品を手に取っていただきありがとうございます!

初作品なので、気軽に読んでいただけると嬉しいです!

 ───────針木研究所、地下15階の通路。

 鳶人(とびと)は、この地下迷宮とやっとオサラバできる。

 それはこの、蓮王(れお)の活躍が大きく作用していた。

 二人は現在、地下15階の最北部に居る。


「─────ここは『食品専用エレベーター』だ。

 フツー人間様だけで入らねぇから、連中はまさかコレで上に行くとは考えん。」


 鳶人の顔は引きつっている。


「……これに乗るってか?」


 蓮王の説明する『食品専用エレベーター』……それは、二人が入るのがやっとの狭さ。

 本来は、人間一人と食品ワゴンが乗るモノだと、見て理解出来る。

 鳶人が少し考えている隙に、突然、蓮王はいきなりボタンを押し始めた。

 カチャン─────鳶人は驚く。

 蓮王の腕を掴み、「何してるんだ!」と言い放つ。


「イヤ、ボタンを押したらアイツらにバレるじゃないか!

 何も用のない食品専用エレベーターが動いたら、不自然に思うのが普通だろ!!」


 しかし、蓮王は逆に冷静である。フンッと、すました顔は崩さない。

 掴まれた腕を振り払うと、コメカミに指を当てるジェスチャーを披露し、説明し始めた。


「大丈夫だよオッサン。

 奴らはどうやら、正午────昼飯時にしか、このエレベーターの事を気にしないらしい。」


 鳶人は予想外の答えに、珍しく焦りが見える。


「答えになってるのかそれは……。

 ─────どうしてそう思うんだ? 出井加(でいか)。」


 ゆっくりと、小学生に言い聞かせるように、蓮王は答える。

 やれやれと、「わかってねぇな」と言わんばかりのドヤ顔を見せる。


「アイツらの行動パターン、研究員が腕につけている時計、エレベーターの動く音……。

 俺はこの全てを『観察』し、『把握』したのさ。

『瞬間記憶』と、『空間把握』は俺の十八番(おハコ)……現在は16時くらい。

 アイツらは、このエレベーターに見向きもしてねぇさ。」


 鳶人は何を言っているのか、理解はしていない。

「そこまで言うなら……」と、半ば諦め、蓮王の計画に賛同をした。

 そしてもし失敗すれば、その時はまず蓮王(コイツ)を殺せば良い────そう思った。


 ───────チーンッ……。


 いつの間にか、食品専用エレベーターが、地下15階へ到着したようだ。

 レジ横のベルのような、軽く抜けた音がそれを(しら)せる。

 ウィーンッと、左右へ開かれる自動ドア──二人は横に並び、搭乗していく。

 鳶人の左に、蓮王が乗り込む。


 ドアが閉まる。普通のエレベーターのような、アナウンスは流れない。

 蓮王は静かに、『上矢印』の描かれたボタンを押した。



 そして──────────……沈黙。



 こういう時、普通なら気さくなBGMが、この沈黙を乱してくれる。

 しかし、それすらなく、狭苦しい箱の中に男二人。


「「……。」」


 互いに気まずさを感じていた。

 ゴウンゴウンという昇降音。乗ったはいいが、話すような話題がなかった。

(気まずい……。)と、段々と耐えきれなくなる。


 痺れを切らし、沈黙を破るのは鳶人だった。

「な、なぁ!」と、久々に会った親戚のように、横を向いて話しかける。

 167cmの彼は、蓮王の顔の方へ見上げている。


「えーっと……出井加はなンでココに?」


 ビクッと、蓮王の肩が跳ねる。

 意外にも、最初に口を開くのが鳶人だったからだ。

 そして同時に、「最初に喋ってくれてありがとう」と、謎の感謝を心の中でし始める。

 蓮王は、「えーっとだなぁ。」と一呼吸置き話す。


「俺は元々、7年間少年院にいた……そんで、25の時に出たんだ。

 その時ココを紹介された。『更生施設』として、ここに行くようにと。

 つまり、2年間俺は薬品実験させられて───────。

 ほんとにカスだよな。」


 蓮王の目は笑っている。しかし光が灯っていなかった。


 鳶人は下唇を噛む。ここで話は途切れてしまう。

「もしかして……イカン事を聞いたか……?」と、自分の発言に危うさを感じてしまった。

 薬物投与をやられた身になると、その2年間の苦痛は想像を絶する。


 しばらく、「あー……。」とだけしか喋れなくなってしまった。

 42歳、武良 鳶人……ココでギブアップである。


 その複雑な感情を察した蓮王は、逆に質問を返す。

 沈黙は避けたい。リカバリーをする。


「じゃ、じゃあ武良のおっさん。

 ココのちょっとした『秘密』───詳しく説明しようか?

 仲間(バディ)として、知っとくべきだ。」


 鳶人は少し躊躇した。

 正直、利用しているだけで仲間意識はそこまで無い。

 しかし、鳶人はどうも『沈黙』が苦手のようで、会話を途切らせたくないと感じている。

 それに、気まづいのはもうコリゴリである。


 蓮王は、2年間で蓄積した、本研究所の闇を話す。


「ここは……ある組織の研究所らしい。

 組織の名は─────『ACADEMY(アカデミー)』……。

 何を目指し、何を野望としているかは知らない。

 世界征服……金融機関の破壊……俺には想像もつかない。

 ただ、ACADEMYってのは何かの頭文字……らしい。」


 鳶人は「ACADEMY……か。」と、腕を組みながら聞き入る。

 蓮王は続ける。


「そして俺ら『BORN ARMS(ボーン・アームズ)』と呼ばれる能力者は、『生物兵器』……はたまた『組織の兵士』として、仕事を振られる運命にある。」


 シリアスな雰囲気……空気が張り詰めている。


「俺が投与された薬品は、いわゆる『試作品』らしい。

 兵士を創り出すための、量産されたもの。

 しかし、組織の幹部に投与される、『最高傑作』という物もある。

 多分、鳶人のおっさんが打たれたのは、ソレだ。

『最高傑作』は、自由に能力の解除ができる。

 俺は永遠に……手首にシリンダーを備えて生きていく。」


 鳶人はふと、蓮王の右手首を見る。

 たしかに、リボルバーのシリンダーに似た骨は、常に突き出たままになっている。

 指先の銃口も閉じていない。


 鳶人は、新たなる組織の存在を知る。

『ACADEMY』─────自由になれるはずの『自分』を、人ならざるものへ拘束しようとする存在。


 同時に、心の奥底に新たな野望が根付く。

 

『自由を掴む』こと、そして……。

 ────────『ACADEMY』をぶっ飛ばすこと。

読んでいただきありがとうございましたー!

絶賛連載中なので、次も読んでくれると嬉しいです!!

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