世間知らずの白髪の少女と古代魔法都市(世界が終わる前に・姉編)終末へのカウントダウン
この物語は、【タイトル】:世間知らずの白髪の少女と古代魔法都市(絶望と再生の物語)「あなたが見ている世界。それは、本当に本当の世界ですか?」完全版(挿絵80枚以上)の”あやの”の姉ユイが故郷の王国の危機を救い、そして、故郷の王国を旅立ってからの物語です。
【星影の軌跡 - 魔法使い失踪事件と惑星落としの陰謀】
夜の帳が降りた王都ルーテシアは、いつもより一層静寂に包まれていた。そんな中、一軒の酒場では、旅の疲れを癒す冒険者たちの喧騒が響いている。その一角に、ひときわ異彩を放つ五つの影があった。
青いフードのコートを深く被った、銀色の長い髪を持つ女性。その紅い瞳は、静かに揺らめく蝋燭の炎を吸い込むように、奥深く、そしてどこか憂いを帯びていた。彼女こそ、冒険者チーム『ステラ』の隊長、ユイ。根は優しいが、多くを語らず、その過去は謎に包まれた、不思議な魅力を持つ魔法使いだ。
その隣では、金色のツインテールを揺らし、豊満な胸を誇らしげに張る少女が、不機嫌そうにジョッキを叩きつけていた。彼女はベル。魔法使いの血を引く自信家で、その強気な態度の裏には、仲間を思う熱い心が隠されている。
テーブルを挟んで向かいに座るのは、黒いフードのコートを身につけた赤髪の青年。とても真面目な性格であり、腰には二振りの剣が佩かれ、その瞳は常に冷静に周囲を観察している。彼の名はシュナイザー。創剣魔法という特殊な魔法を操る、チームの頼れる剣士だ。
その隣には、黒髪の大男が、まるで水のように酒を飲み干していた。屈強な肉体は、一見すると荒くれ者のようだが、その表情にはどこか温かさがある。彼の名はアックス。豪快な笑い声が特徴の、チームの頼れる肉壁だ。
そして、テーブルの端に控えめに座る、緑色の長い髪を持つ女性。白いフードのコートに身を包み、その瞳は不安げに揺れている。彼女はルナ。心優しい治癒士で、その内気な性格とは裏腹に、仲間たちの傷を癒す確かな力を持っている。チーム『ステラ』の副隊長を務める、縁の下の力持ちだ。
「また1人、魔法使いが消えたってよ」
アックスが、空になったジョッキをテーブルに置きながら、低い声で言った。
「この国に来てから、もう三件目だ。一体何が起こっているんだ?」
シュナイザーが、眉をひそめて答える。
「妙だな。ただの失踪事件にしては、あまりにも頻度が高すぎる」
ベルも、腕を組みながら同意する。
「隊長、どう思いますか?」
ルナが、静かにユイに問いかけた。
ユイは、グラスの中で揺れる琥珀色の液体をじっと見つめ、ゆっくりと口を開いた。
「……調べてみる価値はあるだろう」
その短い一言には、 チーム全員の意識を引き締める力があった。彼女の言葉は常に重く、そして的確だったからだ。
数日後、チーム『ステラ』は、噂の王国へと足を踏み入れた。豊かな自然に囲まれた美しい国だったが、街にはどこか重苦しい空気が漂っている。人々は皆、表情を曇らせ、互いに警戒し合っているようだった。
ユイたちは、情報収集のため、いくつかの街を回り、人々に話を聞いた。すると、魔法使いの失踪事件は、この国だけで起こっていること、そして、失踪した魔法使いは皆、王国の王、ゴルディアに招待されたという共通点があることがわかった。
「王族にしてやると甘い言葉で誘い、連れ去っているらしい」
ベルが、憤慨したように言った。
「一体、何の目的があるんだ?」
シュナイザーも、疑念の色を濃くする。
調査を進めるうちに、チーム『ステラ』は、王都の中心にそびえ立つ巨大な城が、異様な魔力を帯びていることに気づいた。そして、城の奥深くから、微弱ながらも、複数の魔法使いの魔力を感じ取ったのだ。
「間違いない。失踪した魔法使いは、あの城に監禁されている」
ユイは、静かに断言した。
そして、ついに彼らは、ゴルディア王の恐るべき計画を知ることになる。
王は、かつて魔法使いだった。若かりし頃、彼は魔法を使えない一人の女性を深く愛した。しかし、二人の初めてのデートの日、彼女は待ち合わせ場所に現れなかった。心配したゴルディアが彼女を探し回った末に発見したのは、無残な姿となった恋人の遺体だった。
魔法使いとそうでない者が存在する世界。魔法を使えない者は迫害され、差別される時代。それでも、彼は分け隔てなく彼女を愛した。それなのに、なぜこんな悲劇が起こったのか。
絶望と悲しみに打ちひしがれたゴルディアは、世界を呪った。「こんな世界など、いらない……!すべて壊してやる!」
彼は、自らの王国を築き上げると、世界中の魔法使いを甘い言葉で誘い寄せ、彼らを監禁し、その魔力を搾り取っていたのだ。集められた魔力は、巨大なエネルギーの結晶となり、王城の地下深くに蓄えられていた。
そして、ゴルディアは、そのエネルギーを使って、世界に対して復讐を企んでいた。彼の計画は、惑星落とし。かつて、ユイが自分の王国を守るために、落下する浮遊大陸を空間操作能力で防いだという話を聞き、彼はその魔法に目をつけたのだ。監禁した魔法使いの中に、空間操作能力を持つ者がいたかどうかは不明だが、彼は集めた莫大な魔力で、強引に空間を歪め、惑星を地上に落下させようとしていたのだ。
惑星落としの決行当日。王城は、異様な静けさに包まれていた。空には、不気味なほど巨大な影が迫りつつある。それは、ゴルディアが長年の歳月をかけて準備してきた、復讐の象徴だった。
その時、王の玉座の間に、突如として五つの影が舞い込んだ。
「ゴルディア!貴様の悪行、見過ごすわけにはいかない!」
先陣を切ったのは、ベルだった。彼女の指先から放たれたのは、眩い光の矢。それは、一直線にゴルディアへと向かって飛んでいく。
「邪魔をするな、愚か者ども!」
玉座に座るゴルディアは、冷酷な笑みを浮かべ、軽く手を振った。すると、光の矢は、目に見えない力によって弾き飛ばされ、壁に激突して砕け散った。
「くっ!」
ベルは、舌打ちをする。
続いて、アックスが雄叫びを上げながら、巨大な斧を振りかざして突進する。その巨体から繰り出される一撃は、岩をも砕くほどの威力を持つ。
「消えろ!」
ゴルディアは、指先から漆黒の魔力を放出した。それは、巨大なエネルギーの奔流となり、アックスを押し戻そうとする。
「うおおおお!」
アックスは、全身の筋肉を隆起させ、必死に踏ん張る。しかし、その強大な魔力の前に、徐々に後退を余儀なくされる。
その隙を突き、シュナイザーが二振りの剣を抜き放ち、目にも止まらぬ速さで斬りかかる。彼の創剣魔法は、剣に様々な属性の力を宿らせることができる。炎の剣、氷の剣、雷の剣…… カラフルな剣閃 が、ゴルディアを襲う。
「小賢しい!」
ゴルディアは、身を翻しながら、繰り出される剣撃を軽々とかわしていく。その動きは、まるで訓練された戦士のようだった。
ルナは、後方から仲間たちをサポートする。彼女の治癒魔法は、傷ついた者の肉体を瞬時に修復し、疲労を回復させる。ベルの傷を癒し、アックスの体力を回復させ、シュナイザーに魔力を供給する。彼女の存在は、チームにとって不可欠だった。
一方、ユイは、王城の外で静かに待機していた。彼女の空間操作能力は、モノを浮かせるだけでなく、空間そのものを認識する力も持つ。城内で繰り広げられる激しい戦闘の様子、そして、仲間たちの窮地を、彼女は手に取るように感じ取っていた。
「……時間がない」
空を見上げると、漆黒の惑星が、 街の灯りを飲み込むように、巨大な姿を現していた。ユイは、覚悟を決めた。
彼女は、自らの体に強大な魔法をかけた。それは、彼女の秘めたる力を最大限に引き出す、危険な魔法だった。全身の血管が脈打ち、肌が赤色に染まっていく。激しい痛みが全身を駆け巡るが、ユイはそれを鉄の意志で抑え込んだ。
そして、彼女は、風のように王城へと駆け出した。
玉座の間では、ベル、アックス、シュナイザーが、満身創痍で倒れていた。ゴルディアは、彼らを冷たい目で見下ろしている。その体には、わずかな傷跡があるものの、その強さは圧倒的だった。
「無駄な抵抗だったな、愚か者ども。これで、私の復讐は完了する」
ゴルディアが、そう言い放った瞬間、背後の扉が激しい音を立てて吹き飛んだ。
現れたのは、全身から赤い血のオーラを放つユイだった。その銀髪は逆立ち、紅い瞳はさらに深く、そして狂おしい光を宿している。
ゴルディアは、その姿を見た瞬間、動きを止めた。ユイの容姿が、彼の殺された恋人、メレンに瓜二つだったからだ。
その一瞬の隙を、ユイは見逃さなかった。彼女は、信じられない速さでゴルディアに肉薄し、その顔面に渾身の拳を叩き込んだ。
「ぐああああ!」
ゴルディアの巨体が、まるでハリケーンに吹き飛ばされた新聞紙のように吹き飛んだ。
理性をほとんど失ったユイにとって、もはや戦術も戦略も意味をなさない。彼女の脳裏にあるのは、迫り来る惑星の巨大な姿と、傷つき倒れた仲間たちの姿だけだった。時間がない。一刻も早く、この男を倒さなければならない。
ユイの空間操作能力は、常識を遥かに超えていた。彼女の意志一つで、巨大な城壁が宙に浮かび上がり、ゴルディアに襲いかかる。 城が、大地から剥がれ落ち、空を舞う。巨大な岩盤が、隕石のようにゴルディアに向かって降り注ぎ、町一つを飲み込むほどの巨大な水の塊が、津波のように押し寄せる。
ゴルディアは、信じられない光景を目の当たりにし、 戦慄した。彼は、自身の持つ全ての魔力と知識を駆使して対抗するが、ユイの攻撃は、全く経験のないものだった。まるで、自然の猛威そのものが、彼に襲いかかっているかのようだった。
防戦一方のゴルディアは、徐々に魔力を消耗していく。彼の繰り出す魔法は、かつての力を失い、ユイの攻撃を防ぎきれなくなっていた。
そして、ついにその時が来た。ユイが放った二発目の拳が、ゴルディアの顔面に直接トドメを決めたのだ。
「がはっ!」
ゴルディアの体は、再び吹き飛ばされ、王城の外へと吹き飛んだ。彼は、そのまま近くを流れる 大きな川の中に落ち、二度と水面に浮かび上がってくることはなかった。
激しい戦闘が終わった後、ユイは、勝利に浸る暇もなかった。空には、依然として巨大な惑星が迫っている。
その時、彼女の脳裏に、旅の途中で出会った赤いドラゴンの姿がよぎった。傷ついた仲間たちは、あのドラゴンと、なぜか友好的なゴブリンによって、既に安全な場所へと救出されていたのだ。
残るは、落下してくる惑星を何とかすることだけ。
ユイの紅い瞳が赤く強く光を放つ。彼女は、残された全ての魔力を解放した。目からは鮮血が流れ出し、体中の血管が破裂し、血しぶきが舞い上がる。それは、彼女の命を削る、 最後の抵抗だった。
彼女の空間操作能力は、極限まで高められ、巨大な惑星を、ゆっくりと、しかし確実に押し戻していく。大地が震え、空が歪む。 信じられない光景の中、ユイは、ただひたすらに力を込めた。
そして、ついに、惑星は元の軌道へと戻っていった。
力を使い果たし、 意識を失いかけたユイを、 あの金貨を渡したゴブリンがそっと抱きかかえた。
その後、チーム『ステラ』は、近くの小さな村の宿屋で、静かに療養生活を送ることになった。傷ついた体と心を癒しながら、彼らは、今回の事件の大きさと、ユイの信じられない力について、改めて思い知らされていた。
平和な日々が戻ってきたかに見えたが、ユイには、拭いきれない不安があった。彼女には、もう一人の妹がいた。奔放で、時に危険な力を持つ妹が。そして、いつかその妹が、世界レベルの大事件を引き起こすことになるだろうという予感が、彼女の胸を氷のように締め付けていた。
それは、まだ遠い未来の話。今はただ、仲間たちと共に、この静かな時間を大切に過ごすことだけを願っていた。星影の下、チーム『ステラ』の軌跡は、まだページを重ねていくことになるだろう。
【おまけ】
(ユイと買い物)
(ユイと水浴び)
(ユイと牛乳)
(ユイとおこづかい)
(ユイとドラゴン)
(ユイと熊)
(ユイとスライム)
(ユイとスリ)
(ユイと汽車)
(ユイと勉強)
(ユイと収穫)
(幼少期のユイと熊のぬいぐるみ)
「ここまで、お付き合いいただきありがとうございました♪また、どこかでお会いできる日を楽しみにしています♪それでは、良い一日をお過ごしくださいませ☺」
ここまで、ご覧いただきありがとうございました。
それでは、貴方様が心から安らげる良い一日をお過ごしくださいませ。
親愛なる貴方様へ。
希望の王より。




