杉山陽菜、執事喫茶に参ります!!
高等部二年生の教室を全て使って設けられた「コンカフェ横丁」は全体的に混雑していたものの、うまい具合に各教室に客が分散してくれたおかげか意外にもすんなりと執事喫茶「セバスチャン」に入店できた。
「いらっしゃいませ」
お出迎えしてくれたイケメン執事軍団。みんな黒い執事服が似合いすぎてもうこの時点で私は死にそうになっていたのに、リーダー格らしき執事さんはさらにバリトンボイスで囁くように話してくる。
「男装の麗人が何人も来られるとは。さては私どもの所作を学びに来た、男装カフェのスタッフ……というところでしょうか」
「ほえっ!? さっ、さすがは偏差値75! 初見でそこまで見抜かれるとは……」
「私どもにも至らぬ点は多々ありますが、参考になれば幸いです。それでは、席にご案内いたしましょう。お嬢様」
私は心の中できゃああああ、と絶叫した。
「きっ、喜入ちゃん……救心持ってる? もう心臓がバクバクバクバクして……」
「スギさん、深呼吸しましょ。ここで心臓麻痺起こして倒れたら末代までの恥よ」
キーレちゃんは私と違って冷静で、ぶつぶつ言いながらメモを取る。
「机にテーブルクロスを敷いて、壁には絵画を掲げて、窓には装飾を施して。このちょっとした工夫だけでもチープさと男子校特有のむさ苦しさをかき消している……これは活かさない手はないわね」
すぐに別の執事が注文を取りに来たが、
「い、いらっしゃいませっ」
まだ中等部の子だろうか、背丈がちっちゃくて初々しい。それがたまらない。
「なっ、ななななっ、何にするみんな?」
「アハハハ! スギさん、声めっちゃ震えてる!」
そりゃ震えますとも。
今は何を飲んでも食べても味を感じなさそうだけれど、とりあえずアイスティーを注文したのた。そしたらちっちゃい執事さんは体を震わせて、
「ご、ご注文を繰り返します、アッ、アッ、アイスティーを……」
な、なんといじらしい……!
そこへ、さっきの執事さんがやってきて、ちっちゃい執事さんの肩に手をやると、
「大丈夫、落ち着いて」
「せんぱい……」
うひいいいいい、背景に薔薇の花が見える!! うぐあああああダメダメダメダメダメダメしんじゃうううう!!!!
あっ……
「スギさん? スギさーん! おーい! ……だめだ、三途の川渡っちゃったかなこりゃ」
さすがにそこまでは行かなかったけど、頭の上を天使たちが飛んでいた。このままお空に連れて行かれてもいいわ……
今回は私にしては文字数少なめなので、サブキャラのキーレちゃんこと喜入静良を紹介します。内容は星花女子プロジェクトキャラクターシート準拠で。
名前:喜入 静良
読み:きいれ せいら
身長:155センチ
体重:47キロ
3サイズor体型:上から下まで均整が取れている
髪型:ゆるふわパーマがかかっているショート
髪色:ほんのり茶色(地毛)
一人称:私
性格:優等生、意識は高いがいわゆる意識高い系ではない
誕生日:4月11日
血液型:A型
所属クラス:高2-5(立成20年時点)
部活動:購買委員/英会話部
通学手段:叔父夫婦の家からバスで10分
入学時期:高1
好きなもの:フルーツ、特にメロン 根回し
嫌いなもの:口だけの意識高い系
お気に入りのシャンプー:Lux
家族構成:実家に両親と姉。下宿先に叔父、叔母と従姉
イメージCV:長谷川育美
備考:
・中学生の頃に珠算検定初段を取得しており、その実績で星花女子商業科に推薦合格した。今は何と四段持ち。
・実家は現実世界でいうところの伊豆地方にあり、星花女子進学後は空の宮市の国道沿いで青果店を営んでいる叔父夫婦の家に下宿させてもらっている。休日は店を手伝っており商売とは何たるかを身を以て勉強中。
・入試の面接で「将来の夢は?」という質問に堂々と「天寿の社長です!」と答えてトップ合格を果たしたという噂があるらしい。
・購買にある商品の値段を全て頭に叩き込んでおり、購買委員の活動の性質上金銭に触れることはできないものの、商品の在庫から逆算して売り上げを即時計算できる。電卓で計算するより喜入に聞いた方が早いと言われるほど。
・英会話部に入ったのも将来外国人とビジネスでやり取りすることを見越してのこと。
・天寿に学校推薦枠での就職を狙っている。第一希望は食品部門。S県のフルーツをふんだんに使った商品を全国展開するのが夢。