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君の名は、何ですか?

作者: 田園風景

新しい連載を書いていましたが、その気分転換でさらっと書きました。

ストーリー、脈絡、常識、全て無視して、気分とノリだけで書いてます。見直して無いので無茶苦茶です。


恋愛ジャンルだなと思っていましたが、苦渋の決断の結果コメディへ投稿。

  よう! 俺は某高校1年のピチピチボーイ、千田川原陽介だ。

 そろそろ慣れてきた高校生活ではあったが、ふと九州阿蘇市の「天空の道」と言われる絶景を見たくなって、朝早く走って行ったのが運の尽き。思ったより遠くて、海を渡るのにも難儀しちゃったぜ。

 息絶え絶えに到着し、思ったより数段素晴らしい絶景を眺める事は良かったが、帰りの時間の事をすっかり忘れていて、学校に遅刻寸前だ。俺の家? 兵庫県の田舎だよ。


  その曲がり角を曲がれば直ぐ学校の校門だ。俺はスピードを緩めることなく壁を走って曲がりに備える。っとそこに人影が!


「ぶつかる!」

「きゃ!?」


  何とか避けようとしたらバランスを崩して、盛大に転がる。ガードレールにぶつかる前になんとか停止することが出来た。人とぶつかった感じは無いけど、相手は大丈夫かな? 声からして女の子だと思うが……


「ふふふ。慌てん坊さんですね」


  声が上から聞こえる。見上げると電柱の上に女の子が立っていた。


「けど、その程度でバランスを崩しているようじゃ、一人前の男の子に慣れませんよ。あっといけない。遅刻しちゃう。じゃあね」


  俺の返事を聞くことなく、女の子は電柱から飛び降り、校門の向こうへと跳ね飛んで消えて行った。


「服装からして、同じ学校の生徒か……惚れたぜ!」


  俺はあの子の顔を見た時から心のドキドキが止まらなくなっていた。顔も燃えるように熱い。これが恋って奴か。後、白だった。




  あの後、閉められようとしていた校門を蹴り破って、なんとか遅刻にならずに済んだ。今度から登校前の散歩は控えるようにしよう。

 教室に入り、席に着く。今日は朝から色々あって、ちょっと疲れたな。顔を机に寝かしながら、なんとなく教室のドアを見ると、これから来る教師に悪戯しようと、濃硫酸が入ったバケツをドアの上に仕掛け、ワイヤーをドアに張り付けている。ワイヤーをぐるぐる巻きで余地を作ることにより、ドアを開けて一瞬後にバケツが傾くという、なかなか考えた仕掛けだ。


「くだらない事、やってるなぁ」


  呆れながら眺めていると、曇りガラスの向こうに人影が見えた。恐らく担任の先生だろう。さて、引っかかるかな?

 っと、ふと人影が沈んで消えた。その数瞬後に窓から担任の先生がダイナミックエントリー! 見事な前転着地を決めた後、素早く見渡し、悪戯に加わっていた生徒に何かを投げ、壁に貼り付けにする……貼り付けにしたのはチョークか。


「可愛い悪戯ではありますが、後始末の事を考えていないのは頂けませんね……直ぐにかたずけなさい。ホームルームを始めますよ」


  悪戯を仕掛けていた生徒達は、貼り付けのまま悔しがっていた。罠を回避されたのが悔しかった様だな。




  ホームルームが終わり、授業が始まったが、俺の考えは朝出会った女の子の事で一杯だった。っと、おもむろに先生が三角定規を俺に投げる。


「うぉ!」


  命中したのは、俺の後ろの席の奴だった。考えが一杯だった俺は気が付かなかったが、どうやら居眠りをしていたらしい。


「居眠りはいけませんよ。次は永眠に変えますので、注意するように。それと、千田川原君も。授業に集中してください」

「はい」


  どうやら、俺の心内もバレていたようだ。警告だけで済んだのは助かったが。なお、後ろの奴は永眠に切り替わる前に保健室に運ばれていったな。




  授業が終わり、今は休み時間。俺が友達と喋っていると、教室の隅で二人が一人を小突いたりしている。


「いじめって奴か。彼奴ら前にもやってるの見たぞ」

「この学校も荒れて来たな」

「……俺、ちょっと止めてくる。目に余るし、問題になる前に止めてやるってのが同じクラスのよしみだろ」

「千田川原は人が良いな」

「褒められるほど良い奴じゃないさ」


  俺はいじめている二人の背中から声を掛けようとした時、とうとう手が出そうになっているので、慌てて割って入る。


「おっと……気持ちは解るが、やり過ぎはいけないな」


  俺の両手はいじめられっ子の抜き手を止めていた。少し間に合っておらず、指先がいじめっ子の二人の体を僅かに切り裂き、埋め込まれている。もし止めなければ、心臓でもくり抜かれていたろうな

 俺はいじめられっ子の冷たく鋭い目を慰めるように言った。


「大丈夫だ。これ以上、お前に危害を加える奴は居ない。……だから大きく息を吸って吐け。そしたら心が落ち着く」


  いじめられっ子の目から殺気が抜け、俺の言う通りにしてくれた。この分ならもう大丈夫だろう。


「それと、二人とも。俺が止めなかったら騒ぎになっていたぞ。いじめるなら、反撃される覚悟をするんだな」

「ひ、ひえ~」「くそ!」


  二人がぴゅぅっと逃げていく。これ以上の騒ぎは要らないから良かったよ。




  とまぁ、そんな小事があったが、ついに待望の昼休みだ。

 この高校の食堂とその道のりは戦場だ。安くて旨く量のあるお任せ定食は限定50食だ。ほかのメニューも良いが、これを逃す手は無い。これを求めて、生徒たちはこの時間だけ戦士に成り代わる。


  授業終了まで5……4……足に力を込め、食堂までの最短ルートを考える。3……2……腰を浮かせ、足の指先に力を込めた。1……0!

 終了のチャイムが鳴ると同時に教室のドアを蹴飛ばし、廊下に出る。俺は戦士だ! 他の戦士たちも続々と廊下に出てくる。油断はできない。

 廊下を衝撃波を生じさせながら走るのは、先生から禁止されているので、音速に届くギリギリの速度で廊下を階段を攻める。今日はいいスタートを切れたお陰で俺がトップだ。食堂への道のりも後数回曲がれば到着する。

 しかし……今日は曲がり角に嫌われているらしい。曲がった先が爆発物処理現場になっていた。

 やばい。流石の俺も爆発に巻き込まれれば怪我をしてしまうかもしれない。しかし、避ければ大幅なタイムロスになる。戦士たちがその隙を見逃すとは思えない。


「こなくそがぁ!」


  爆発物処理に当たっていた処理員を押し退け、爆発物とおぼしき物を掴む。幸い、空は晴天で視界を遮る物は何もなかった。気兼ねなく飛ばすことが出来る。爆発物のコードを引き千切り、わざと起爆させる。爆発する前に上空に投げると、空一面が炎に包まれた。


「ふぅ、危なかったぜ」


  目を食堂に向けると、何故か大勢の戦士たちが既に列をなし、並んでいた。どう見ても50人以上居る。


「ど、どうしてだ……」


  理由は簡単。自習の教室が複数あったようで、そこの生徒がフライング気味に出ていたようである。

 畜生、そんなのずるっこだろ……今日は仕方がない。涙を呑んで、代わりの満貫全席で腹を満たすことにしたのだった。




  午後は珍しく平和だった。ま、テロリストと異星人が学校を侵略しに来た程度だ。

 もう直ぐ放課後になるが、その前に俺はあの子に渡すラブレターを用意することにした。

 こういうのは手書きの方が気持ちが入るという奴もいるが、俺はそうは思わない。思いの丈を伝えられるなら、手書きだろうがパソコンだろうが、どちらでも良いの。

 タイプライター準備よし、インクリボン予備300個準備よし、A4用紙50,000枚準備よしだ。パソコンは俺のタイピング速度についてこれないから駄目。この間なんか、キーボードを50個程潰しちゃって、流石に怒られたからな。

 唸れタイプライター! 俺の想いを吐き出すのだ!




  さあ、告白の時だ! 愛しのあの子はどこに居る?

 亜空間レーダーを展開し、今朝見た、あの子の体形と同一個体を探し出す。サーチの結果、同一個体はこの世に存在せず。ただ、サーチ不可のエリアがあった。きっとそこだ! 場所は……校庭、帰宅前か!

 書き上げたラブレターをリュックと手提げ袋に背負い、入りきらない分はバランスを取って、指先に置く。窓から校庭に向けてダイブ! 居たぞ、あの子だ!


  愛しのあの子の前で着地成功。


「ちょっと良いですか!」

「はい、何でしょう?」

「好きです! 結婚してください!!」


  ラブレターで愛しのあの子を埋める。

 困惑している愛しのエリーが口を開いた。


「えっと……ごめんなさい」

「あ……が……」


  絶望が俺の前に現れた。暗闇が俺を包んでいる。俺はきっと、残りの人生をスナフキンのように旅をしながら一人で生きることになるんだ……

 乾き切りひび割れた大地に染み込む雨粒のように、絶望に沈んだ俺に愛しのあの子が続けて声を掛けてくれた。


「私は君のこと何も知らないんだから。まずはお友達、からでしょ?」

「は……は、はい! 末永く宜しくお願いします!」


  俺氏勝利!


「ところで……一つ聞いていいですか?」

「ん? なんですか?」


  眩い笑顔を讃えた彼女が、女神のような子猫のような顔で答えてくれる。


「君の名は、何ですか?」

お粗末様でした。

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