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王道的異世界転生〜準備〜

「・・・・・・様、アヤ・・・・・・」


声が聞こえる。とても美しい声だ。


「アヤメ様、ようこそ死後の世界へ、まことに残念ながら貴方は亡くなってしまいました」


目と耳が機能するようになったので声の主を見てみると。


「・・・・・・」


とても美しかった、点数で言い表すとするならば100点中200点と人知を超えた美しさだった。


「確かに、いきなり死んでしまったなどと言われても全く現実味がないとは思いますが事実なのです」


「・・・・・・は、いえ自分が死んでしまったというのはわかっています。コンビニで買い物をしている時に車がきて吹き飛ばされて死んだというのはわかっています」


あやめの目の前にいる推定女神が心配していることがわかり、必死になって喋る。


「そうですか、もしお辛いようでしたらその気を苦を消せます」


目の前の女神らしき存在は安心させるように彼にに語り掛けている。


「・・・・・・いえ大丈夫です」


(まあ別に大丈夫だろ。死んだとは言え痛みとかも別に今はないし死んだと言う結果だけが記憶にある状態だから辺にトラウマになることはないだろう。きっと、多分、うん)


あやめはとても楽観視をして断っていた。


「そうですか、では本題に入りましょう」


女神らしき存在は安心したような顔をした後真剣な表情に変わった。


「ではまずアヤメ様まず私がどのような存在かというと女神なのです」


「・・・・・・」


 まぁそりゃそうだろうな。そもそも見た目からして神々しいのだからこれで女神でなければなんだというのだ。


 「あーやっぱりわかっていましたか。まあ私、見た目がthe女神だってよく他の人から言われますから」


女神は少し困ったような喋り方だった。見た目は真っ白い髪で、白い翼が生えておりさらには見た感じ滅茶苦茶高級そうな白い服を身にまとっている。そして先ほども思ったように顔は100点満点中200点も出したくなるような顔である。これで私は女神ではありませんなんて言われればそちらのほうが驚くレベルに女神みたいな見た目している。


(まあ胸は、うん・・・・・・)


 「まあとりあえず世間話はこれぐらいにしてアヤメ様の今後の話をいたしましょう」


(うんやっぱり笑顔が可愛い。しかし笑顔が笑顔に見えないのは気のせいだろうか)


 「アヤメ様には選択肢が3つあります」


 「3つですか」


 「はい、そして選べるのは三途の川で石ころを積むか、地獄に行くか、大地獄に行くかですね」


(あ、これはばれてましたね。)


そしてあやめは、さすがにこれは冗談だとわかるが次の言葉の選択肢によっては、本当にその三択、いやある意味一択しかない選択肢を選ばなければならないことを即座に理解した。


 「ふふっ、さすがに冗談ですよ」


 女神は先ほどまでは笑顔であった、しかし先程までのような笑っているようで笑っていない笑顔ではなく今はいたずらが成功した少女のような笑顔を浮かべていた。


 「それでは本当の選択肢をお教えしましょう」


 そして女神は一拍置いたのちに言い放った。


 「まずは1つ天国に行くことです」


(まあこれはど定番だな、死ねば天国か地獄というのは大体の人間が想像する末路であろうからな)


「そして2つ目は輪廻転生、記憶を全て消し新たな人生を歩むことです」



これも定番の選択肢であろう。天国でのうのうと過ごすより記憶を失ってもいいからまた現世で人生を歩む。と言ったものも多いのではないだろうか。


(もしこの2択だったらこっちを選ぶかな。三つ目次第だが)


「そして3つ目、これは記憶をそのままに異世界に転生する、言わばライトノベルとかによくある展開ですね」


(へ〜女神様ってラノベとか読むんだ。意外だな)


とあやめは思っただろう。実際この女神は暇さえあれば現世に足を運び色々なサブカルチャーを手に入れているのだ。最初は映画や小説などを読み小説をある程度見てからラノベの存在に気づきそれを手に取り読んでみると女神は見事にラノベにハマってしまっていたのだ。なので女神は大体このタイミングになると内心かなりワクワクしているのだ、尻尾があったのならばかなり横に振っているだろう、それはまるで餌を待つ犬のように。


「さて、おそらく決まっているとは思いますが念のために聞きます。どの異世界がいいですか?」


 女神様フライングですそれ、とあやめは思った。そしてあやめはここで悪戯心が芽生えてしまったのである。


「そうですね〜なら輪廻転生で」


「わかりました!輪廻てん・・・・・・せい?」


(困惑している顔も可愛いな)


「う、嘘ですよね。だ、だって大体の若い人は」


「えぇ嘘ですよ」


「え?」


「とってもワクワクしてて可愛いと思ったので少し悪戯を」


「そうですか、ならいっそ地獄に」


「わー!待って本当にすみません」


 あやめは女神が言い終わる前にそれはもう綺麗な土下座をした。


「はぁ、まったく。いえしかし私も少しはやとちりをしてしまっていましたしおあいこですね」


「えぇそうですね」


 あはははと2人は笑い合ったのだ。


「それでですがアヤメ様は結局どの選択をなさるおつもりですか?まさか本当に輪廻転生ですか?」


「確かに異世界転生がなければそれにするつもりでしたがやはり異世界転生はロマンですので」


「ということは」


 女神は目を輝かせまるで子供のようにはしゃいでいる。


「えぇ異世界転生にします」


「やったー!!あ、おほん一先ずはご決断いただきありがとうございます。それでは異世界転生にあたっていくつか注意事項を説明いたします」


 女神は異世界転生を選択した事にとてつもなく喜びはしゃいだが一瞬にして真面目モードに切り替えた。


「ではまず異世界転生においてひとつ大事なことがあります」


「それは?」


「それはですね、特殊な力を授ける事になっているのです」


(おぉ〜それはすごい。やっぱり異世界転生はこうでなくっちゃな)


あやめは内心ワクワクしながら数百枚有るであろう紙の束から自分の力となるものを選び始めた。



「き、決まらない・・・・・・」


数時間後、あやめはこれでもないあれでもないと紙を見ては隣に置いて行く作業を永遠と続けていたのである。


「あの〜あやめさん、そろそろ決めてもらわないと。流石にお一人だけにここまでの時間を使うのはアレなので」


「ゔ」


心苦しくなってきたあやめはひとまず残しておいた候補の方に手を伸ばして決める事にした。


「・・・・・・これですね」


そう言ってあやめが女神に見せたのは『身体能力超強化』と書かれていたものだった。


「なるほど、シンプルイズベストですね。分かりました、ではその紙をこちらへ。それとついでにですが勇者しか持つことができない剣を持つことができるようにしておきました。

これを使えば魔王を倒すことができます」


それを聞いたあやめはふと疑問に思った。


(それだったら現地住民にその力渡せば良かったのでは?)


「それはですね」


「⁉︎」


あやめが疑問に思っていると女神が突然その疑問に答えるように喋り出した。


「あ、すみません。そういえば神が人の心を読むことができるというのを言い忘れていましたね」


(そういうのもうちょっと早くあってほしかったな〜だから俺が胸・・・・・・このことも聞かれるのか。考えるのをやめよう)


「えぇそうですね。それが賢明な判断です」


やはり聞かれていたかと言った顔をしたあやめはとりあえず先ほどの疑問の答えを聞こうとした。


「それで結局なんで現地民に渡さなかったのですか?」


「実はですね勇者の力をあの世界で亡くなった方が転生する際に与えてみたのですが、産まれた瞬間に弾け飛んでしまったのです」


女神は悲しそうな顔をし話した。



(なるほど、それだったら俺の考えた方法は使えないよな。あ〜そういえばもう一つの質問ができたな)


「それはどう言った質問ですか?」


「それはですね」


あやめはもう自分の心の声に反応する女神に驚かなくなってしまった。


「自分以外での転生者はいるのですか?」


「あなたが行く世界の中で同じ転生者はいるのかで言えばいいえと言えます。しかし別の世界でも魔王による困難や、人口がだんだん減少してる世界へ若い人々を送り込んで人口を増やしているのである意味ではハイと言えます」


(へ〜俺が行く世界の他にも世界が色々あるのか。少し他の世界も気になるな)


あやめは名家の出身で本家も山奥の方で過ごしておりあまり山や東京以外で、外国やそのほかの県には行くことがあまり無かったのだ。


「でしたらもし魔王を倒したのであれば他の世界を見るだけなら出来ます」


「見るだけ?」


女神見るだけでの所の部分だけが強調されていることに疑問に思ったあやめはつい言葉を発してしまった。


「えぇ、魂だけを別の世界に送りその景色を見るだけとなります。流石に簡単に別の世界へはいけないので私ができるのはこれくらいだけなのです」


(まぁ流石に見れるだけいい方なのか。あの感じだとさっきのことでも本来は駄目な感じがするからそれが最大限の方法なのだろう。まぁ見れるだけでも嬉しいな)


あやめは先ほどの発言を聞きかなりワクワクし始め、まだ魔王を倒してもいないのに今からでも行こうてしてる気でいるのだ。


「とても嬉しそうですね。しかし魔王を倒せずに死んでしまえば、あなたはそのままその世界で輪廻転生を行われるのですよ」


「・・・・・・そういうのはもっと早くいうべきでは?」


「・・・・・・うふふふ」


女神は失敗を誤魔化すように笑った


(可愛いがそれで許すと思っているのか許します)


可愛いは正義。そんな事を思いながらあやめは女神を許すのであった。



「それでは準備が整いましたので転生を始めちゃいましょう」


あれから一時間が経過した。その間あやめ達は雑談や転生する世界についてなどを聞いていたりした。


「転生をするにあたりいくつかの注意事項があります。まず転生する際前世の肉体を使って転生するのではなくあちらの世界で生まれ直してもらいます。これはあちらの世界での常識や、言語を習得するために、私たちが脳に情報を一気に詰め込むよりあっちの世界で地道に習得していった方が楽で万が一が起こりにくいと言う点です。まぁこれは魔王や災害などがいきなり人間たちを滅ぼしにかからない場合のみに限りますがね。この場合は、前世の肉体を使い無理矢理脳に詰め込むといった方法になりますが、場合によってはその人の脳が使い物にならなくなる事もあるので、1から生まれ直すことにしているのです。それに大体の人は体を鍛えていることはしてないと思うので、あちらの方で鍛えていってもらいます。次に能力についてですが当たり前ですが悪用厳禁です。能力を使い正当な理由のない殺人や泥棒行為などのあちらの世界での常識などに反する行為をし続ければその能力を強制的に変換させてもらいます。お次はあちらの世界における目標の達成。魔王討伐ですが、別に魔王そのものを討伐しなくてもいいですし、和平交渉などをしてしまうなど、とりあえず人類の滅亡が阻止されれば方法はなんでもいいです。以上これらが異世界に行くにあたる注意点でした。ご清聴ありがとうございます」


(めっちゃなげー。というか最後ら辺適当になってない?長く喋りすぎて面倒になったんだろ)


「・・・・・・さあ質問はありませんでしょうか」


「露骨に無視するんじゃねぇよ!」



「それでは送るといたしましょう」


「さっきの質問には答えてませんけどね」


「何かおっしゃっていましたですの?」


「キャラ崩れてるし、心の中読めるんじゃなかったのですか」


「えぇそうですー面倒くさくなって省きましたー」


さっきからキャラ崩壊が止まらない女神。実はこの女神の仕事、は彼女は初めてのことなのである。それに加えて女神自身割とめんどくさがりでありこの仕事も選ばれたので仕方なくである。


「まあ確かにめんどくさそうですけど頑張ってくださいよ。一つの世界の命運みたいなのがかかってるんでしょ?」


「確かにそうですね。仕方ありません、上司にうだうだ言われない程度に頑張りますか」


(それにしてもこの女神、あの性格が本性だな。割と親近感湧くな)


「それでは送らしていただきます」


女神はそう言うとあやめの足元に魔法陣が現れ光り輝いた。そして次に上から紙が2枚落ちてきてあやめの頭の中に入り込んだ。


(これのせいで頭がパーになるとかないよな?)


とそんな心配をしながら待っていると、ふと体が軽くなるとが感じた。


(ん?あ、これは魂が抜かれたのか)


あやめの魂が天に登ろうと体から離れた瞬間体の方はダラリと力が抜け落ちているのが見えた。


(そう言えばなんで魂だけなのに周りが見えてるんだろう。ファンタジーだな。いや今からファンタジーの世界に行くんだけどな)


そんなしょうもない事を考えていると、意識が落ちるような感覚がした。


「それでは頑張って平和をつくってきてください。それができた時には異世界旅行が待っていますよ」


最後にあやめの意識が落ちる時、最後に聞こえたのはその言葉だった。

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