第23話 マリーの家
マリーの星。エイト。
ここは、目覚めたばかりの星たちが、学びを受ける場所。
神々の学校などと呼ばれており、正式な建物名はシロモナリエというらしい。
ユタやマリーから何度か説明を受けたが、改めての説明がケイローからあった。
この学校で、ある程度の星たちの歴史や規律を覚えるそうだ。
習得したと判断されると、次は力の使い方を教えてくれ、きちんとした力をつければ、自分のやりたいことをしていいそうだ。
自らの力を伸ばすために修行をしたり、研究したり、自分の星の環境や生態を進化させることも可能らしい。
特に、自分の星を進化させることは大切なことらしく、ほとんどの星たちは自分の星を育てることに夢中になるそうだ。
しかし、星の進化は時間のかかるもので、変化も少ない。途中で飽きる者も珍しくないそうだ。
ティアも話しを聞きながら、自分の星をいい星にしたいと、期待に胸を膨らましたのであった。
しかし、まずは星の基本的な知識を身につける必要がある。
ケイローの話はとても分かりやすく、少ししか飽きずに聞くことができた。
話が一区切りした頃には、夕日が現れようとしていた。
「今日はこんなところですね。皆様がよろしければ、明後日より始めましょう」
「分かったのです! ケイロー、ありがとう!」
ケイローはにこりと笑顔を返してくれる。
居眠りを繰り返していたマリーが、ティアの元へ。
「ティア。しばらくは、私の家に住むってことでいい?」
「マリーの家! 楽しみなのです!」
マリーの提案には、即決で返事をした。
「明日の夕前には連絡する。それまでは目立つことはするなよ」
ユタとケイローは、まだやることがあるそうだ。
挨拶を交わし、マリーと部屋を出ようとすると、もう一度念を押された。
「目立つことはするなよ? 絶対だ! 約束だぞ!」
ユタは心配性なのです。
マリーがいくらお転婆だとしても、私が見張っているから大丈夫なのです。
元気良く返答をして、マリーに抱えられて学校を出る。
空にたくさんの星が出ていた。
「うわぁ! キレイなのです!」
「日が落ちると、もっと星が見えるよ」
マリーも嬉しそうに星を眺めている。
「あの一番大きく見えるのが、ユタの星だよ」
マリーが指差した星は大きかった。
青い星に斜めに走る太い雲がいくつも走っているように見える。
「ユタの星も行ってみたいのです!」
「ユタの星は、生身の生きものには過ごし辛い星なんだよ。代わりに、すごい生きものがたくさん住んでるけどね」
「すごい生きもの?」
「今は、秘密だよ。いつか一緒に行こうね」
マリーは口に指を当ててウインクしてきた。
く! かわいいのです!
なんでも許しちゃうのです!
マリーは学校を出て、斜向かいの立派な門を通り、家にしてはずいぶんと大きい建物に来た。
マリーが玄関を開けると、奥の部屋から女性が出てきた。
「マリー様! お帰りになったのですか!? お出迎えも出来ずに申し訳ございません」
「オルローフ、気にしなくていいよ。連絡しなかった私が悪いんだよ」
オルローフと呼ばれた女性は顔を上げる。
「お帰りなさいませ」
「ただいま」
二人とも嬉しそうだ。
オルローフは、マリーの手の中の私に気づいたようだ。
「ティアなのです! よろしくなのです!」
オルローフは目をパチクリさせている。
「しばらく一緒に暮らすの。よろしくね」
「もしかして、星の神でしょうか?」
「そうだよ。かわいいでしょ?」
オルローフは目を輝かせている。
「しばらくご一緒にということは、色々と用意しないとですね?」
「オルローフ、よろしくね」
オルローフは大きく頷くと、テキパキと動き出す。
まるで、いつマリーが帰ってきてもいいように準備していたような動きだ。
できる女性って感じで、かっこいい。
マリーはティアをテーブルに置き、鞄を下ろして、荷物の整理を始めている。
「食事と入浴、どちらを先にしましょう?」
「食事なのです!」
オルローフの質問には、マリーの代わりに答えておいた。
窓の外は、暗くなってきた。
マリーに呼ばれて、窓から空を見る。
夜空には、無数の星たちが輝いている。
ティアの星から見る夜空より、一目で分かるほど星は多かった。
輪っかに囲まれた星や、色とりどりの星。
ひとつひとつの星たちもずいぶん大きいように見える。
「きれいなのです」
「ティアの星は、あの辺りかな? ここからだと小さくて分かりづらいね」
なぜか、遠くで小さく光る星が自分の星だと分かった。
私の星かぁ。
不思議な気分なのです。
二人で星を眺めていると、美味しそうな匂いが漂ってきた。
匂いの元を探して、辺りを見渡す。
「私の一番好きな食べ物。パンだよ」
「パン! すごくいい匂い!」
オルローフが、テーブルに食事を用意してくれた。
食事が始まると、無我夢中になってしまう。どれもこれも美味しすぎて、我を忘れてしまうのだ。
マリーが食事の説明をしてくれたらしいけど、全く覚えてないのです。
パンは焼きたてでふわっふわで、素敵すぎたことぐらいは覚えていたのです。
食べ終えると、マリーよりも早く寝てしまった。
幸せそうな顔で眠るティア。
マリーとオルローフは、その寝顔を見ながら、土産話に盛り上がるのであった。




