前回の続き
これで行こうか、やり直すべきか……。
こう、微妙に納得のいかない感じ、どうするべきか。
これ抜けば、後2話で終わるのに、それがなげぇ。
「ねぇ、本当に良いの?」
「はい。私は命令よりもお嬢様の幸せを優先したいのです」
「サリア……」
私達は今、外へと続く扉の前に居た。
ここまで私達を誰にも見られないように案内したサリアは、嬉しそうに笑っていた。
バレてしまえば命がないかも知れないのに、微塵も恐怖を感じさせないで顔で笑っていたの。
私は咄嗟にサリアに抱き付く。
「今まで本当にありがとう。サリアのお陰で私は寂しくなかったわ。サリアが居たからこそ、生きることを諦めなかったの。
だから、どうか、死なないで……!」
サリアは私を抱き締め返す。
「えぇ、大丈夫です。サリアは死にません。だから、安心して外へと旅立ってください」
サリアの声は涙声だった。
私と同じく、サリアもまた寂しいと、悲しいと思ってくれてるのだと知って泣く。
静かな涙を流す私達は笑い合う。
最後に思い出に残すのなら悲しい表情ではなく、笑顔でありたいとそう願うからこそ。
「開くぞ」
「えぇ、お願い」
ハリーによって開かれる扉。
その先にあるは暗い夜道。
初めて見る外は恐ろしげな雰囲気があったけれど、私にはハリーが居る。
それだけで怖さは霧散するの。
ハリーの手を掴んで一歩、外へと踏み出す。
今までが嘘のようにあっさりと外へと出られた。
たったそれだけ、その筈なのに私は鎖が砕ける音を聞いた。
幻聴だ。
けれど、体が自由になった感じがしたの。
重りが消え、本来の軽さを取り戻したようなそんな感覚。
後ろを振り返る。
此方に手を振るサリアの姿を視界に納めた。
「行ってきます」
「はい、行ってらっしゃいませ」
初めて言ったその言葉。
母を前に私はハリーと一緒に背を向けて家を飛び出す。
サリアの協力を無駄にしないために、ハリーと一緒に居るために誰も追いかけられない場所まで行くの。
零れ落ちる涙。
止めどなく溢れる涙は地面に染みを作る。
私ってこんなに泣きっぽかったのだと気付く。
こんな感情的に泣くのだと、本来の私はこんな子供っぽいのだと気付く。
悲しい筈なのに嬉しさを感じる。
私の周りには私を思って涙を流してくれる人が居た。
そんな当たり前の事実を改めて実感する。
「必ず逃げきりましょう!」
「あぁ、任せろ」
頼もしい言葉に私は笑みを浮かべる。
私を助けに来たのが貴女で良かったと、頼りにしてるとハリーに言うの。
この先もずっとハリーと居たい。
その願いが叶うことを祈って私は、私達は逃避行するのだった。




