卵のゲームから
YouTube見てたら卵が貴重と化した世界を舞台としたゲームがあって、自分ならどう書くだろうと興味本位で書いてみました。
ニワトリだけが死滅するウイルス―――鶏死。
感染した鶏は凶暴化し、他の鶏を襲うことで感染を広げる。
そんな恐ろしいウイルスが突如として世界各地で発生した。
最初こそすぐに収まるだろうと思われていた感染症だが、一向に収まる気配がなくニワトリは死滅して行く一方だった。
民衆からは早くしろ、研究者だろ、と口がさなく糾弾されたが彼らがその状況をただ見ていた訳ではない。
対策をした。隔離をした。それこそ思い付く限りあらゆることをしたのだ。
だが、無駄だった。そのウイルスは順応性が高く、効果を発揮した物すら数度で無意味と化す。
そんな中で一番効果があったのが隔離だ。
下界と隔離することでウイルスの感染を防ぎ、繁殖にも成功した。
大成功とも呼べる成果に研究者達は大喜びしたが、すぐにそれがぬか喜びであったことに気付かされることになる。
最初の被害者は老齢のニワトリであった。
高齢のためか食欲が少なく、隅でじっとしているような個体だ。
研究者達もそろそろ寿命かと、今や貴重となったニワトリの死に悲しげな表情を浮かべながら見ていた。
それが変わったのは飼育を初めて1ヶ月ほど経った頃だ。
朝の餌やり。
いつもと変わらず餌に群がるニワトリを前に研究者は思う。
(たらふく食っていっぱい繁殖するんだぞ)
君たちが人類の希望だ。そんな重い期待をニワトリ達に向けていた。
餌やり後はニワトリの健康をチェックし、感染していないかどうかを確認する。
(どの個体も問題はなさそうだな。後は……)
研究者が最後に目を向けた先に居るは高齢のニワトリ。
ニワトリ達に埋もれて見えないが、いつもの場所に居るのだろう。
こちらも問題はないだろうと気楽な気持ちで近づく。
ブチッ!ゴリッ!
「ッ!?」
とても嫌な音だった。ここ何ヵ月で何度も聞いた音だ。
まさか、そんな、慌てて走る。
ニワトリが声を上げる。いつもと変わらぬ声だが、その声には確かに悲鳴が混じっていた。
慌てて走り出すニワトリの波を掻き分けて進んだ先。目にした光景を前に呆然とした。
「嘘だろ、おい………」
ニワトリがニワトリを喰らっていた。
その光景は、その症状はまさしく鶏滅だ。
「は、はは………せっかく上手く行ったと思ったのにまさかこんな事になるってか………!!」
ギリッ!
歯を強く噛み締める。
ウイルスの前には俺は、俺たちは無力だとでも言うのか。
憤りのない怒りに震える。
(やらせない……!!たかがウイルスごときにやられて堪るかよ!!)
コイツを殺す。今コイツを殺せば他のニワトリは助かる。
背中に背負ったライフルを構える。
(今解放してやるからな)
短期間とは言え、世話をしてきたのだ。
当然、愛着が湧く。
たかがニワトリ、されどニワトリ。
まさかニワトリで使うことになるとは思ってもみなかったが、緊張を解くにはちょうど良い。
震える手を律し、照準を定める。
ニワトリが此方を見る。
殺意に気付いたのだ。
「ゴゲェエ"エ"エ"エエエエエエ!!!」
鳴き声を発して突進して来るが――もう遅い。
「あばよ!!」
ドン!!
発砲音を鳴らして銃弾は飛んでいく。
(5、3、1)
避けもせずひたすらに突撃するニワトリの頭に銃弾が到達。
バン!!
頭が吹っ飛び、脳汁を撒き散らかす。
もはや機能すらしなくなった体でしかし、足が動く。
1歩、2歩、3歩。
ゆっくりと、だが、確実に近づいてくるその姿に恐怖する。
いつでも撃てるように銃を構える。
(近づくな!お願いだからこれ以上!俺に撃たせないでくれ!!)
心の中で祈る。
もうアイツが動いてるのを見たくない。
ただの操り人形になった姿をこれ以上見たくないと。
果たしてその願いは通じたのか、銃先を前にしてニワトリは力を失くしたように倒れた。
ここで「やったか!」とは言ってはいけない。
銃先を用い、確実に死亡したことを確認する。
「…………死んだ、か」
安堵の息を吐く。
キツい戦いであった。
これが初の殺しではない。
今までも実験の過程で殺さざるをえなかったニワトリ達がいた。
今回も同じだと思い込もうとするが、暮らした月日が違う。
ニワトリの身体に触れる。
本来はいけないことだと分かっていながら、今回だけは許して欲しいと心の中で謝罪する。
「すまない。お前をもっと早く隔離出来ていればこんなことにならなかったのに……」
死んだ者は答えない。慰めにもならない。
ただ、言いたかっただけだ。
心の折り合いを付けるため口にしてるだけ。
「あぁ……ちくしょう……」
なのに、どうして涙が流れる。
これじゃ何も見えないじゃないか。
これを生み出した研究者が憎い。
こんなただ一方的に、何の利もなく殺すウイルスがあって堪るか。
これは人工的に生み出された物だ。
人によって手の加えられたウイルスだ。
「俺が絶対にお前の、お前達の替わりに復讐してやるからな」
だから、安らかに眠ってくれ。
いつか必ず、俺もそっちに行くから。
立ち上がり空を睨み付ける。
「産まれて来たことを後悔させてやるからな、黒幕。首を洗って待っとけ!」
グダるかも知れないけど、要望があれば続き書きます。




