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勇者亡き後の英雄譚風

『貴様らの希望は潰えた。


勇者と持て囃された者は魔王様によって亡き者になった。


絶望し、膝を折れ。


しからば苦なき死をくれてやる』


そんな宣告が届いたのはつい先日のこと。

勇者の活躍に一喜一憂していた僕の町はあの以来、逃げ出す者や絶望した者、妄信的に勇者生存を訴える者など阿鼻叫喚だ。

誰も抗おうとは考えていない。

勇者が稼いでくれたあの時間がありながら、鍛えることすらしないとは。

所詮は他人事だと、勇者がなんとかしてくれると信じ続けた末路か。


「いつまで眺めてるつもりですかい?」

「すまない、待たせてしまったな」


僕を呼んだ男の名はバルト。

僕の組織した結社の幹部の1人だ。

幹部全員が揃うまで眺めているつもりだったんだが思った以上に時間をかけてしまった。

後ろを振り向けばほぼ全ての席に全員が腰掛けており、後は僕が座るのみだ。

他とは趣の異なる椅子に腰掛け、幹部の顔を見回す。


「急な要請にも関わらず応じてくれたこと、感謝する。要件は皆分かっていると思うが改めて言おう―――勇者が死んだ」


その一言に場の空気が凍る。

重苦しい緊張感が漂う中、僕は声を発する。


「人類の希望は潰えた。これは事実だ」


誰もが声を発さない。

だがしかし、その表情や瞳から感情を察するには十分。


「悲しい気持ちはよく分かる。僕も同じ気持ちだ。だが、嘆いたって勇者は帰って来ない。今は嘆く時ではなく抗う時だ。彼の稼いだ時間は無駄ではないと証明しよう――」



万感の想いを言葉に乗せ、皆に宣言する。



「――あの不死の魔王を我々で討伐するのだ」

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