終わりからの
「強き騎士よ。そなたはここに何を求めて来た。申してみよ」
「私は……貴女を倒すために来ました。貴女の悪列非道な行いは民を苦しめ、国を疲弊させた。もう限界なんです……貴女も分かってるでしょう?ニナイア女王」
玉座に座す1人の王と対峙する1人の騎士。
王の悪逆に耐えかねた騎士は仲間を引き連れここまで至った。
仲間の死、救えぬ命、無力な自分……数々の困難を越えてここまで来たのだ。
王には沢山言いたい事があった。
どうしてこんな事をしたのか、どうして民を鑑みなかったのか、どうしてあんな非道な事が出来たのか。
沢山言いたい事があったのに、出てきたのはたったそれだけ。
今、自分はどんな表情を浮かべているだろうか。
怒りだろうか、悲しみだろうか、それとも笑っているのだろうか……。
「――そうか、そうだろうな。私が行った事は決して許される物ではないだろう。だが、後悔はしない。あれは意味があって行った事なのだ」
「幼い子供達を犠牲にしてもそんな事が言えるんですか!!」
「異なことを言う。国を守るためであれば何であろうと切り捨てる。それが王と言う者だ」
「ッ~~~~~!!」
毅然と言い放つ王に私は声にならない声を上げ、駆け出す。
痛いと泣き叫ぶ子供達の声を思い出す度により速く、より強く駆け抜け、射程納めた王目掛けて力強く握った剣で斬りかかる。
今出せる最高の一撃はしかし、王の背後から現れた者によって受け止められた。
甲高い金属音が響く。音の発生源に目を向けた私は悍ましさのあまり力が抜けて行く。
「素晴らしい出来だろう?私の最高傑作だ。子供達だけではない国民のお陰でとても良い物が作れた。とても感謝してるよ」
「あぁ……アァアァアアアア―――!!!」
私の精神はもう限界だった。
ここに来るまでの間に信頼していた仲間を失い、やっとここまで来れたのに。
最後の最後でこんなのが出てくるなんて……。
王を守るようにして立つソレは異形だった。
幾つもの人間をこぬ繰り合わせ、1つの球体上に仕上げ。
球体上には無数の顔に無数の手足、浮かぶ表情はどれも苦渋。
人を逸脱したその姿はあまりにも悍ましく。
これを最高傑作と呼ぶ王は狂っている。
「どうやら戦意が挫けたようだな。そなたならこの子の相手も出きるかと思おうたが致し方なし」
私を見下ろす王は残念そうに溜め息を漏らすと、目の前に立つ異形に指示を出した。
研究室に連れて行けって。
私も異形に変えられてしまうの?
いやだ……あんな化け物になんてなりたくない。
戦わなきゃ。そう思うのに体は少しも動かなくて。
抵抗できないまま捕まった私の意識はそこで途切れた。
その時、私は死んだ。
なのに――




