長編にしようか迷う
カタカタカタカタ
キーをタップする音。
もはや親の顔よりも聞き馴れたその音は心地好く、癒しでさえある。
それが分からない者からは奇異の目を向けられたが、そんな物は知ったこっちゃない。
キーをタップする度、増えて行く文字列もまた面白く。
ここからゲームが生まれるのかと何度、感動したことか。
職場の人間関係も程々に良い状態にできたお陰で煩わしさもなく楽しめている。
苦労した甲斐があると喜んでいたんだが……
「私とお付き合いしてくれませんか!?」
どうして告白なんてされる事になったんだよ。
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俺の名前は古中悟。
そこそこの会社に勤めるプログラマーだ。
好きなゲーム製作をするのが人生の楽しみだ。
なんてことを脳内でやってしまうほど強烈過ぎたんだよ、ほんと。
今日も1日頑張ったと、後は帰宅するだけだと思っていた。
帰宅する人の流れに沿って歩いていたそんな時、
「古中さん!」
俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
なんだと振り返れば同じ職場の同僚がいた。
同僚こと西野 未那は俺の同期にしてちょくちょく話す仲だ。
茶髪の髪にポニーテール、女性にしては高い身長、快活な性格、笑顔がチャームポイントと職場の男性からは結構モテる。
積極的には交友関係を持たない俺の数少ない女友達。
そんな彼女だが、今日は珍しく緊張しているのか表情がぎこちない。
この時点で何かあるのは明白だ。
厄介事でもあったのかと身構える俺だったが予想外の言葉に思わず呆けてしまう。
「私とお付き合いしてくれませんか!?」
「はっ……?」
(今なんて言われた?お付き合いして欲しい?じょうだ……な分けないよな……)
突然の事にパニックたが段々と落ち着いてくる。
正直、頭を抱えて蹲りたい。
未那からの告白が嫌な訳ではない。
むしろ嬉しい。
前々から付き合うなら未那が良いなとは思っていたんだ。
だが、場所が悪すぎた。
考えてもみろ。
帰宅途中で人が多い中、響く告白、なんだなんだと視線を向けた先には男女の姿。
全員とは言わないが、多くの人が告白の成り行きを見守る野次馬となったのだ。
こんな中で答えを返せるメンタル強者がいたら今すぐにでも会いたいレベル。
そのレベルなのだ。
一般人程度のメンタルしかない俺にはこの環境は辛すぎた。
「取り敢えずこの場から離れるぞ!」
そう言って俺は未那の手を引いて近くのカラオケ店へと向かう。
新たな目標として長編物の完結考えてるんですけど、これで行こうか迷い中。




