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現代ダンジョン物の始まり

ソレは特別ではなかった。


人生に波は無く、かと言って苦労の無い人生でもなかった。


だが、それは凡庸の一言で済んでしまうものであった。


ソレがなぜソレに至ったのか己すら知らない。


覚えてないと言うべきだろう。


気が付いた頃にはもうすでにソレであったのだ。


目的もなく、生き甲斐もなく、彷徨い続ける。


終わりを望むのでもなく、始まりを望むのでもなく、ただソレは進む。


意味の無い旅を――



























―――それは唐突に終わった。


―――――――――――――――――――――――


なんて事の無い日常だった。


頭を揺さぶるけたたましいアラーム音に起こされ、朝の支度を始める。


時間を把握するためつけたテレビニュースでは昨今話題のダンジョンを特集していた。


「XXXX年1月25日、突如として世界各地で発生した建造物群、通称ダンジョン。様々な噂が飛び交っている訳ですが、その噂が本当かどうか現役の冒険者に聞こう!!という訳で今回はこちらの方をお呼びしました!!」


司会の合図と共に楽しげな声や拍手音に導かれるようにして現れたのはいかにもな見た目をした人物だった。


ウルフカットの髪型、片目には切り裂かれたような跡があり、ボサボサな無精髭、肌は日に焼かれた小麦色をしており、屈強な身体をした彼は――


「A級冒険者の師村(しのむら)鏡都(かがと)さんです!!」

「本人の前で紹介されるのはこっ恥ずかしいが、A級冒険者の師村鏡都だ。よろしく!」


そうだ鏡都だ。

一昨年あったスタンビートでは頭一つ抜けた活躍をしていたと話題になっていた。

武骨な見た目に反し、優しい一面もある事からギャップ萌えで落とされた人が多いと聞く。

最近は特に忙しそうだったが、落ち着いたのだろうか?


「いや~お忙しい中よくお受けしてくれましたね~」

「タイミングが良かったからな」

「最近特にお忙しそうにされていた事と何かご関係が?」


司会者の発言に手が止まる。


「まぁな。極秘事項だから詳しい事は言えねぇが、国からの発表がある筈さ」

「おお!!それは益々気になりますねぇ!!」

「だろうな。だが、先に今日の目的を済ませようや」

「これは失敬。では、気を取り直してまずは――」


国絡みか。

ダンジョンが発生した当初から後手の対応ばかりだったが、巻き返せる発見でもあったのだろうか。

気になる。だが、今は気にした所でどうしようもない。


溜め息一つ。

心に溜まる想いを吐き出しリセットする。


たったそれだけでスッキリとした気持ちになるのだから不思議な物だ。


何が起因しているのやらとどうでも良い事を考えながら準備を終え、家を出る。


屋根のある家を一歩出た途端に襲いかかる眩しい朝日に瞳を窄ませながら思う。


(素通り台風でも来てくれないもんかね)

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