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アバター作成1∥仮名❰無気力者のVRMMO❱

最後の言葉が気になったものの気にしない事にして『FRO(フィロー)』にログイン。


意識が落ちるように薄れ、一瞬のブラックアウトの後、目を開ければ見知らぬ白い空間。


「『あの頃夢想した世界を現実に』と唄っている割には殺風景な光景だな」


もっと神々しさや幻想的な、現実ではお目にかかれないような光景を想像していただけに少し拍子抜けだ。

……これにも何か意味があるとは思うけど。


「それにしても……」


感覚がリアルだ。

手に力を籠めればそれに必要な筋肉が動くのが分かるし、軽く傷を作れば痛みを感じる。

血が流れる際の感触も現実と変わらず、血の味もする。


本当に凄いと改めて思う。


このリアルさは今までのどのゲームと比べても一線を博してる。


【お気に召されたようで何より】


「ッ!?」


反射的に顔を上げ、そして呆然とした。


最初に来た際には何も居なかった、無かったその空間にギリシャ神殿を想起させる壮厳な建物。

それを背に立つ威厳を感じさせる白髪の老人。


「はは……」


なるほど、この為にわざと殺風景な光景にしたのか。


“神の降臨”


それはまさしくファンタジー物には欠かせない存在であり、だからこそよりらしさを追究した。

その結果が今目の前に存在している。


「ハ、ハハ……」


――柄にもなく高揚してる。


「ハハハハハハ」


――それは分かっている。


「アハハハハハハハハハハハハハハ」


――静かになれよ。いつもの自分に戻れ。


「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」


理性が効かない。本能のままに動き回りたい。


感じた事の無い程のアドレナリンに理性が溶けて行く。


今までの無気力が嘘のようだ。


世界はこんなに色づいていたか?!!


あぁ、ダメだ……早く発散しないと――


【鎮静】


「…………?」


今までの興奮が嘘のように消えた?


【すまんな】


「はぁ? えっと、何かされたんですか?」


【う、うむ。主神(運営)より威厳たっぷりにやれと命を受けていたため、全力で神聖を解放してしまった】


「その影響でさっきのようになってしまったと?」


【そういう事だな。申し訳ない】


威厳ある老人が謝罪する。


「良いですよ」


僕としては感情疲労があるだけで特に害は無かったんだし。

強いて言えば、いつもより感情が豊かになったぐらいか?


【ありがとう。お礼と言ってはなんだかアビリティーの数を一つ増加させてもらう】


「良いんですか?」


個人を融通して大丈夫だろうか?


「これぐらいであればワシの権限で出来る。それに、そこまで影響は与えぬと思うからな」


「……なら良いですけど」


アビリティーが一つ増えるだけで結構なアドバンテージな気がするけど、言わない方が良いか。


【して、アバターの作成に移って大丈夫か?】


「はい」


【よし。ではさっそくそなたの写し身を召喚するぞ】


老人が言い終わると同時に見た目だけは素朴な木の杖を召喚し、それを手に持ち軽く一振。


たったそれだけの事で、波紋が僕の目の前の地面で発生し、透明な水が浮かび上がる。


ぐにゃぐにゃと蠢きながら人の姿へと変わって行く姿はまるでスライムのようで――


(なんというか気持ちわるい)


それが僕の姿を象ろうとしてると思うと尚更。


ただまぁ、出来上がった写し身は僕と瓜二つ。

……光沢を帯びた透明な見た目にさえ目を瞑れば。


というか、透明なのに光沢があるとか本当に摩訶不思議だ。

それに見ただけで再現出来てしまう老人の腕前は流石は神だと思う。


【よし。後は好きなようにカスタムしてくれ】


その言葉が終わると同時に目の前に画面が出現した。

画面内には様々な項目があり、髪色から始まり、髪型、目鼻立ち、化粧と目につく範囲だけでも沢山ある事が分かる。


(拘る人は何日だろうと、とことん弄っていそうだな。僕は違うけど)


身バレしない程度に見た目は弄りつつ、後は髪色を変えて終了した。


「終わりました」


【意外と早かったな。本当に良いのか?】


「はい。身バレしなければ見た目には拘りはないので」


【なら良いが……次はアビリティーを決めよう】

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