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ヒロインの母⑫
唐突な事に私の思考は一瞬止まり、羞恥心も怒りも忘れ夫を見上げる。
間近で見た夫は愛おしそうに瞳を細め、私を見詰める。
その一途に愛おしいと雄弁に語る瞳に私は魅入られ、心臓が早くなる。幸せな、嬉しい気持ちが溢れる。
私達はお互いに惹かれ合うように顔を近付けると瞳を閉じ、唇を重ねた。
数秒、数十秒、数分、時間も忘れてキスをし続けた私達は唇を離す。そこでお互い我に返り、顔を赤く染めて逸らした。
今更これぐらいの事で、とは思うものの恥ずかしい物は恥ずかしい。
お互いに心臓が落ち着くまで顔を見合わせないようにしつつ、距離を取る為に私は外の空気を吸いにバルコニーへと出て、空を見上げる。
“こんな筈じゃなかったのに……”
当初の目的も忘れて長いこと会えなかった時間を埋めるようにキスをし合うなんて。
また先程の事を想起してしまい、頬が熱を持つ。これではいつまで経っても落ち着きそうにないと思いながらもこの幸せな気持ちに酔いしれる。
あれだ。現実に即した考えや行動よりも恋愛成分が強い。この話、読み直した時に思った。
一応、次話書いてるけど流れ戻せるかな?




