15/151
どん底からの➐
ルジストに促されて部屋の中へと入った私は見回す。
「外から見るよりも中は広いんだな」
「ええ、私も初めて入った時は驚きましたよ」
「そうなのか……」
部屋の中は作業スペースやキッチン、寝台など区画に分けて置かれており、私がイメージする魔術師や研究者の部屋は資料などで散らばってるイメージとは違い綺麗に整理整頓されていた。
「飲み物を用意しますので椅子に座って待っててください」
「分かっ……いや、部屋の中を見て回ってもいいか?」
「構いませんよ」
許可をもらった私はさっそく作業スペースに向かう。
作業スペースには棚が幾つかあり、ざっと見た限り魔法関連や医学関連の本で埋まっていた。
その中には王宮でも見たこともない本が幾つかあり、気になるタイトルという事もあって私はとても興味が惹かれた。
「なあ、この中にある本を読んでも良いか?」
「良いですけど汚さないでくださいね」
「分かってる」
許可を貰えた事だし、とさっそく気になった本を手に取り読む。