3周年記念5
ここに来て、やっと流れが見えてきた。
今まではテーマとも呼べない感覚だよりで書いてたのが、やっとこさテーマが出来た感じ。
あと、思った以上に大事になりそう。
P.S.
にゃんにゃん打つの面倒くさくなったんで、一部例外を除いて『』でやって行くんで、よろです。
あの後、親子と別れた私は探索の続きを再開した。
とは言えど、やることは変わらない。
熱中症にならないよう、遮蔽物の影の上を歩くだけ。
目的地は特になかった。猫探しを目標に掲げているが、猫への興味がうすかった私では猫のいる場所はわからない。
こういう時にスマホが使えれば、とは思うが、それこそタラレバだ。
この街中だ。あまり見掛けたことはないが、頑張って探せば猫の1匹や2匹、すぐに見つかるだろう。
それがフラグでないことを祈りながら探索すること暫く。それが杞憂であったことに、私はホッと安堵した。
『そこの方、今よろしいかな?』
私が声をかけたのはブロック塀の上にいる1匹の黒猫。うつ伏せで日向ぼっこする黒猫は、私の声に反応して耳をピクピクと動かし、のっそりと顔を上げて私を見下ろす。
『おや、初めて見る顔だね。新参者か?』
『そんなところです』
『やっぱりね。で、私に何か聞きたいことがあるだろう?』
『ここの近辺に、不思議な力をもった猫を見かけなかったか?』
『不思議な力?』
私の問いに、黒猫は思案するように目を瞑る。
暫し流れる沈黙。辺りに響くセミの声。やがて、ゆっくりと黒猫の目が開かれる。
『残念だけど聞いたことがないよ』
首を横に振って返される返答。予想範囲内の答えではあったが、あわよくばと、思っていただけに残念でならない。
思わず肩を落とす私に、黒猫は続けていう。
『わからない、とは言ったけどね。力になれない、とは言ってはいないよ』
『それはどういう……』
『これでも私は長くこの街に居るのさ。知らなくとも、当てぐらいあるんだよ』
『ッ! ありがとうございます!』
思わぬ提案に驚き、咄嗟にお礼をいう私に、横に置かれた黒猫のしっぽが揺れる。
『それじゃあ、案内するから着いてきな』
そういって塀から下りてきた黒猫はスタンと、軽やかに着地する。
その姿をみて私は瞠目した。
なんと綺麗に着地するのだ。声色通りなら高齢のはずだが、それにしては体感がしっかりしている。
歩行にも違和感はなく、健康そのもの。高齢でこれだけ健康なのは、この猫が特別なのか、猫全体がそうなのか。
歩き出した黒猫だったが、私が着いて来ないことに気づいたのかこちらを振り返る。
『おや、来ないのか?』
『いや、すぐに行く』
これで無かったことにされては困ると、私は慌てて黒猫の後を追う。
次回あたり、ヒロインを出そうかお悩み中。