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2話 屋上での告白

 屋上へ向かうと扉が開かれたままになっており、燈子と東郷凛とうごうりんが扉を覗いていた。


 階段を駆け上がってきた俺達を見つけて、凛が両手で手招きする。



「もうすぐ、告白するよ。早く。早く」


「凛、止めなさいよ。皆も集まってくるんじゃないの。屋上の無断使用は校則で禁止されているのよ」


「少しぐらいいいじゃん。燈子も楽しんでるんでしょ」


「私は委員長として屋上にいる二人を注意しないといけないから、告白が終わるまで待っているだけよ」



 凛と燈子が騒いでいるが、今は無視だ。屋上の二人が気になる。


 凛と燈子を押しのけて、俺、結愛、湊斗、大和の四人は扉から顔だけ出して屋上の様子を窺う。


 三年生の男子生徒が心を決めて、楓姉さんに告白した。



「楓さん、好きです。付き合ってください!」


「……」



 一瞬の間があり、楓姉さんが困ったように唇に人差し指をあてがう。


「困ったわね。今は誰ともお付き合いする気持ちはないんですけど」


「そこを何とかお願いします!」



 三年生男子も必死だ。


 楓姉さんが両手を前に揃えて、ぺこりと頭を下げる。



「あなたのこと知らないですし、ピンときません。申し訳ないのですが、お断りいたしますね」


「誰か、ピンとくる人がいるんですか?」


「深くは考えたことはないのですけど、気になる人はいますよぉ。秘密ですけど」



 楓姉さんが蕩けるような笑みを浮かべた。


 え……気になる人がいるって? これはクラスでニュースになるぞ。


 三年生男子がガックリと肩を落とす。



「わかりました。ありがとうございます」


「あなたも早く、彼女ができるといいですね。影ながら応援していますよ」



 楓姉さん……それってフラれた男子にとってトドメだよ。


 三年生男子生徒が肩を落として俯いている。もしかして泣いているのか?


 あ……走ってこちらに来たぞ。やっぱり目に涙が浮かんでるぞ。


 三年男子生徒は扉を潜り、階段をダッシュで駆け下りていった。呆然と見送っていると楓姉さんが歩いてきて、俺達を目があった。



「あらあら、皆さん、覗いていたのですね」



 楓姉さんが落ち着いた笑みで俺達を見回す。



「ピンと来る男子がいるって、楓姉さん、どういうことなんだ?」


「あらあら、湊斗くんは気になったのね。そうでも言わないと諦めてくれないでしょ。だから方便ですよ。気にしないでくださいね」


「本当に気になる男子はいないんだね?」


「さあ、どうですかね。ウフフ……それは秘密ですねー」



 湊斗はチャラ男を気取っているが、本当は楓姉さんに惚れていることは、ここにいる面々は知っている。もちろん楓姉ちゃんも知っている。


 湊斗が隠しているつもりなのが面白いから誰も突っ込まないのだ。



「さっきの三年生男子、サッカー部主将だよ。イケメンだし、決めちゃえが良かったのに何が悪いの? 聞かせてちょうだいよ」



 凛が身を乗り出して、顔を楓姉さんに近づける。凛はアニメオタク、エンタメも好きで、突撃レポートが大好きだ。情報通でクラスの噂の半分は凛から発せられると言っていい。


 口は災いの元ということわざは、凛のためにあると思うぞ。


 楓姉さんが頬に手を当てて悩まし気に口を開く。その仕草が妙に色っぽい。



「確かにイケメンでしたよね。でもイケメンには興味ありませんし、蹴鞠には興味はないわ。ルールも知らないもの」



 蹴鞠……いつの時代だ。ワールドカップは見てないのかな。



「凛はどうなの? 決めている殿方はいるの?」



 楓姉さんに話題を振られた凛がアワアワと両手を振って慌てる。



「い、いるわよ」


「誰?」


「ルルーシュ様」



 某漫画の主人公じゃねーか。二次元かよ。


 その凛の姿を見て、大和がガックリを肩を落とす。大和は密かに凛のことを気にしている。そのことは凛以外の皆が知っている。凛って鈍感なんだよな。


 楓姉さんの雰囲気とペースに乗せられて、皆で雑談をしていたが、燈子がハッとした顔になる。



「階段の踊り場で雑談している場合じゃないわ。もう下校時間をとっくに過ぎてるじゃない。早く下校しないと先生達が見回りにくるわ」



 どこまでも真面目か。



「教室の掃除……途中でやめて来ちゃった。先生に怒られる。悠人、早く行くわよ」


「下校時間も過ぎているんだし、もう掃除はやめて、適当に帰っても良くない? 面倒だしさ」


「あんたはいつもそういう態度だから先生達に目をつけられるのよ。私までとばっちりを受けたくないわよ。早く、早く」



 結愛が俺の肘を引っ張って歩き始める。



「あらあら、今日も結愛と悠人は仲がいいわね」



 俺としては不愉快だ。四月からなんとなく腐れ縁になっているだけだ。



「楓姉さん、違うからな。俺は女に興味がない」


「私も悠人なんかに興味ないわよ」


「あらあら、二人とも仲が良いですねー」



 楓姉さんが面白そうにコロコロと笑う。楓姉さんの微笑みには勝てる気がしない。なんだかほっこりしてしまうんだよな。



「和んでいる場合じゃないわよ。早く教室へ戻りましょう。皆で教室の掃除を手伝うのよ」



 燈子がテキパキと指示を出す。さすが生粋の委員長。



「「「「「「はーい」」」」」」



 気の抜けた返事をして、教室に向かって階段を降り、皆で教室の中を適当に掃除して下校した。


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